5.出発前
俺は、倒れたまま、ステータスを確認する。
なんと、剣術と身体強化のレベルが上がっていた。
土壇場でスキルレベルが上がったおかげで、最後に良い動きができ、一撃をあたえることが出来た。
呼吸を整え終わった俺は、ダンさんの手を借りながら、起き上がる。
「あっ!!」
俺は、大きな声を出してしまった。
「どうかしたのかい?」
ダンさんは聞いてくる。
「いえ、どうもないです。」
「そう、なら、いいけど。」
苦笑いを浮かべつつ、自身のステータスをよく確認する。剣術と身体強化のレベルが上がっているだけでなく、なんと、風魔法を使えるようになっていた。
すぐに、ダンさんのステータスを確認する。
特に、スキルのレベルが下がっている様子はない。
「ダンさん、体調とか、大丈夫ですか?」
それでも、気になった俺は、尋ねる。
「? 特にどうもないよ。最後の攻撃も寸止めだったしね。」
「それは、良かったです。」
特に体調面ではどうもないようだ。たぶん、ダンさんが降参したから、そのせいで、盗神スキルの条件を満たしたことになり、ダンさんから風魔法を盗んでしまったんだろう。
「そういえば、最後のは何だい?今まで手を抜いていたんじゃないだろうね。」
「そ…そんな事ないですよ。いつも全力です。火事場の馬鹿力じゃないですかね。」
「まぁ、そう言うことに、しておこうか。」
少し怪しんでいるようだが、納得してくれた。
「それにしても、本当に一撃をあたえられるとは、思わなかったよ。」
「たまたまですよ。次やったら、無理ですよ。」
そんなたわいもない話をしながら、帰路についた。
その日の夕食はダンさんも一緒にご飯を食べた。
ダンさんは明日すぐにでも、ここを出発して、冒険に出るそうだ。聞いたところによると、前の冒険で仲間が負傷し、その療養の間だけ、父さんがダンさんに頼んで、先生をしてくれる約束だったようだ。
色々な話をし、俺は部屋に戻り、眠りについた。
次の日、俺達は、ダンさんを見送る。
「ダンさん、今までありがとうございました。」
「どういたしまして。日々の訓練を忘れては、駄目だよ。」
「はい。本当にありがとうございました。気を付けてください。」
「ダン、本当に気を付けろよ。何かあったら、また戻ってこい。出来る範囲の事は、どうかしてみる。」
「分かってるよ。その時は、お願いするよ。それじゃあ、行ってくる。」
お別れを済ませ、ダンさんは旅立った。
その後も、俺はダンさんに言われたとおり、日々の訓練を続け、時には、父さんたちの目を盗み、森にモンスターを倒しにも出掛けたりもした。
そんなこんなで、俺も10歳になった。
明日、父さんたちと、王都へ、出発する。
今の俺のステータスは、こんな感じだ。
名前:アイン・フォン・シルベール
種族:人間
性別:男
年齢:10
レベル:65
体力:6650/6650
魔力:4850/4850
攻撃力:850
防御力:680
俊敏力:460
魔法攻撃力:360
魔法防御力:360
スキル:盗神Lv3 盗神眼Lv- 盗神の勘Lv- 朧歩行Lv- 剣術Lv6 身体強化Lv5 体術Lv4 気配察知Lv3
魔法スキル:風魔法Lv2 火魔法Lv2 水魔法Lv1 土魔法Lv1 回復魔法Lv1 付与魔法Lv1
称号:伯爵家の次男 転生者
新たなスキルや魔法系のスキルをかなりの覚えることが出来た。少し奥に行くと、ゴブリンマジシャンやゴブリンウィザードなどがいて、それらをひたすら倒した結果だ。
俺は、明日に備えて、早めにベッドに入った。
盗賊の勘 ・・・ 直感力がアップする。
朧歩行 ・・・ 音、匂い、気配を完全に絶ち、相手に認識されない特殊な歩法。