2.先生
次の日、俺は、父さんの書斎に呼ばれた。
「アインです。」
「アインか、入れ。」
「失礼します。」
そこには、父さんと父さんと同じくらいの男性が座っていた。
「まぁ、そこに座りなさい。」
進められるまま、正面の椅子に座る。
「こちら、私の知り合いのダンさんだ。冒険者をしている。アインの事を見てもらおうと、思い来てもらった。」
「冒険者のダンです。君がアイン君だね。話はペールから、聞いているよ。冒険者になりたいんだって?」
「アイン・フォン・シルベールです。はい、なりたいです。」
そんな話を、していき、今日から、見て貰えるように、なった。
「それじゃあ、少し実力を見てみたいから、行こうか?」
「はい。」
俺は、1度、部屋に戻り、装備一式を着込み、木剣をもち、ダンさんと合流する。
そして、2人で裏庭へむかう。
「ダンさんは、父さんとは、どのような関係なんですか?」
「ペールとかい。そうだね、簡単に言えば、幼馴染みかな。昔から、平民とかに対し、差別意識のない人だったから、小さい頃、一緒に鍛練していたんだよ。今でもこうして、たまに、お酒を飲み合う仲だね。そんな時に、君の話が出て、教えることになったんだよ。」
「そうだったんですね。」
話しているうちに、裏庭に到着する。
「それじゃあ、実力を見てみたいから、少し打ち合ってみようか。」
そういい、俺が持ってきた、木剣を構える。
「分かりました。」
そう言い、俺も木剣を構え、ダンさんへ打ち込む。
剣術スキルは、ないが、前世では、多趣味で、色々なことをしていた。剣道もそのうちの1つだ。
そんな俺の打ち込みでも、ダンさんは軽く流してしまう。
何度行っても、結果は同じ。
しばらく、打ち合うをし、
「もう、大丈夫だよ。だいたいの実力は、分かった。それにしても、その歳で、それだけ出来るなんて、凄いじゃないか。」
「全然ですよ。軽く受け流されましたし。」
「これでも、現役の冒険者だからね。流石に負けるわけには、いかないよ。でも、その実力なら、大丈夫かな。」
「何が、大丈夫なんですか?」
「実戦。」
「じ…実戦ですか?」
「そう。今から、近くの森に出て、モンスターと戦ってもらう。ペールに許可はとってあるし、危なくなったら、助けに入るから、そんなに緊張しなくても、大丈夫だよ。」
「わ…分かりました。」
2人で街を出て、森へとむかう。
以外にも、街の外に出たのは、数えるほどしかない。
キョロキョロしていると、ダンさんが歩いていくため、慌てて追いかける。
しばらくして、到着する。
森に入る前に、ダンさんより、
「ここからは、1人で探索してもらう。倒すモンスターはゴブリンだ。」
「ゴブリンですか?」
前世の記憶では、漫画やアニメなどで見たことあるが、実物をみたことはない。
「そう、ゴブリン。冒険者になると、必ずと言っていいほど、相手にするモンスターだね。一応、後ろから着いていくけど、本当に危なくならない限り、助けには入らないから、最初からいない者だと思って、行動するように。」
「わ…分かりました。」
そう言い、俺は、出来る限り気配を消し、森の中へと、入っていく。
途中、後ろを振りむくも、ダンさんの姿は見えない。
気を引き締め直し、探索を進める。
しばらく進むと、少し奥の方で、俺とそう変わらない、身長の小鬼を発見する。たぶん、あれがゴブリンだろう。手には、所々錆び付いた剣を握っている。
俺は、息を整え、一気に行こうと、剣を抜き、踏み出した際、足下から、パキッと音がする。
小枝を踏んでしまったようだ。
急いで、前をむくと、先程の音で気づかれたのか、ゴブリンがこちらにむかって、走ってきていた。
剣を構え、ゴブリンを迎え撃つ。
ゴブリンは、俺に斬りかかってくる。それを受け止めるも、力はむこうが上なのか、押しきられそうだ。
すぐに、受け止めるのではなく、受け流し、その際に、体を斬りつける。
無我夢中で剣を振り続け、気づいたら、ゴブリンは倒れていた。
すると、胃の中から、込み上げてくる。たまらず、吐いてしまう。
疲れも、どっと押し寄せてきた。
吐いて、少し楽になったのか、その場に座り込むと、
「ギリギリ、及第点だね。」
「ダンさん!!」
「お疲れ様。これを使うといいよ。」
そう言い、液体の入った瓶を、受けとる。
「これは?」
「それは、回復薬だよ。所々切り傷があるみたいだから、振りかけるといいよ。」
俺は、自分の体をみると、たしかに所々切り傷が出来ていた。認識したとたん、切り傷が痛み出してくる。すぐに、回復薬を振りかけると、先程まであった、傷が消えた。
「それじゃあ、今度は解体とその後の処理について教えようか?」
そう言い、1本のナイフを渡してくる。
それを、受け取り、解体の仕方と後処理の仕方を教えてもらった。
「それじゃあ、今日はここまでにして、帰ろうか?」
辺りは、暗くはないが、疲れていたので、ありがたかった。
2人で来た道を戻り、家へと帰った。
「それじゃあ、また明日な。」
「はい。」
ダンさんは、父さんに報告するようで、途中で別れた。
俺は、部屋に戻り装備一式を手入れする。
手入れに時間がかかったようで、メイドが夕食の時間だと呼びに来た。
装備一式を片付け、夕食を食べに行く。
夕食の際に、今日あった出来事を、母さんに聞かれたため、答えながら食べる。
夕食後は、する事を済ませ、明日に備え、早めに休む。
寝る前に、ステータスの確認を行う。
名前:アイン・フォン・シルベール
種族:人間
性別:男
年齢:8
レベル:5
体力:400/400
魔力:250/250
攻撃力:50
防御力:40
俊敏力:25
魔法攻撃力:15
魔法防御力:15
スキル:盗神 剣術
称号:伯爵家の次男 転生者
レベルが上がっていた。
でも、ゴブリン1体倒しただけで、こんなにも上がるのかと思い、調べてみると、判明した。
【転生者】 ・・・ 異世界より、転生した者に、与えられる称号。取得経験値アップ。ステータス上昇率アップ。
絶対これだ。まぁ、冒険者になるため、強くなるんなら、いいかと思うことにした。
他にも、剣術スキルを覚えていた。
これは、たぶん、盗神スキルのおかげだろうと、思う。
断定できないため、何ともいえないが、スキルが増えたことを、喜ぶことにした。
そんなことを、考えている際に、思考が鈍っていき、眠りについた。