いつか素敵なお茶会を
はじめての投稿です。
誤字脱字や設定の甘さなど、お見苦しい部分があるかと思いますが、楽しんでいただけると幸いです(*^_^*)
私の名前は、高梨ひまり。
好きなものはお菓子、好きなことはお菓子を食べること。
アップルパイにエクレア、タルトにババロアにダックワーズ、マシュマロにレアチーズケーキにマロングラッセにガトーショコラ、etc…。
ここでは挙げきれないくらい、私はありとあらゆるお菓子を愛している。
そのせいもあってか、体型も女子高生にしてはぽっちゃり気味。恋愛もほど遠く、周りからは食いしん坊な女の子扱い。
でもいいの。お菓子があれば生きていける。
私はこれからも、ずーっと美味しいお菓子に囲まれて生きていくんだから。
だけど、それは叶わぬ夢となってしまった。
実はさっき、交通事故に遭って死んでしまったったんです。
覚えているのは、車のクラクションが聞こえた後、体に走った信じられないほどの衝撃と痛み。
これが、前世・高梨ひまりの最後の記憶。
さぁ、お察しの通り、実は私の話はまだまだ続くんです。
結論から言うと私、転生しちゃいました!
それも中世ヨーロッパ風の異世界に!
起きたら周りには、見たことのないアンティークな調度品が目に入りました。しかも私はいつの間にか赤ちゃんになってて、これまたびっくり。さらに、知らない言葉を話す外国人風の美女に抱っこされた時には、混乱しまくりました。
のちにその美女は母親だと判明。その後父親の顔も見たとき、二人の圧倒的な顔面偏差値の高さに気絶するかと思いました……。
前世の記憶を持つ私の理解力は、もちろん普通の赤ちゃんを遥かに超えていました。
転生してわかったことは、この世界の私の名前がセーラ・クロフォードだということ。
そして私はクロフォード伯爵とその夫人の間に生まれた伯爵令嬢だということ。
どうやら私は貴族らしい。
みなさん、これが何を意味するかわかりますか?
そう! 貴族ならば前世でも食べたことのないありとあらゆるお菓子が食べ放題なのでは!?
かの有名なマリー・アントワネットみたく庭園でコーヒーとブリオッシュを優雅に嗜むなんてことができたり、マリア・テレジアみたく食卓に欠かさずミルクのシュトゥルーデルを用意させることもできるのでは!?
私はいろんな想像を膨らませてわくわくしながら、頑張ってこの世界の言葉や文化を覚えたりした。
……えぇ、そんな時期もありました。
この世界に転生してしばらく経った時、私は信じられない事実を知ってしまったのです。
なんと、この世界には甘味を摂るという習慣はないらしい。
わかりやすくいうと、お菓子を食べるという概念がないらしいのです。
お菓子が欲しいと言えば、両親も使用人も揃って、何のことかさっぱりわからないという表情をした。
……そんな馬鹿な………。
パンはあるけど甘味はなくて、炭っぽい味がする。
砂糖や蜂蜜は今のところ見たことがない。
あったとしても大前提に、私は前世で料理をしたことがないため、絶望的に料理ができない。
……こんなことってある?
いつか大好きなお菓子を食べるために、元女子高生にはキツい赤ちゃん時代も乗り越えたり、初めてできた一歳下の弟と二歳下の弟の相手をしたりもできた。
魔法が使えるとわかった時には、真っ先に魔法でお菓子を出そうとしたのに、それもできなかった。
どんなに頑張ってもお菓子を食べることができないとわかった今、私は何を生きがいにして生きればいいのかわからない。
……ううん、諦めるのはまだはやい。
お菓子がないなら作ればいいだけ! 作れないならば練習あるのみ!
その精神でなんとかやっていこうとするものの、幼い子ども、しかも伯爵令嬢をキッチンに立たせる両親や使用人がいるはずはない。
キッチンに行こうとすれば使用人に真っ青になって引き止められ、駄々をこねればお母様に厳しいお叱りを受けた。
あぁ、甘いものが欲しい。お菓子が欲しい……。
テンションだだ下がりな私を見るに見かねて、可愛い弟たちが不器用ながらも慰めてくれた。
姉上はもうすぐ魔法学院に通うためにこの家を出られるので、寂しくて仕方ないのですね、と。
別に私は寂しがっているわけじゃなくて、何よりも大好きなお菓子が食べれないことに悲しんでいるのであって……。
…ん? 今なんて言った!?
詳しく聞くと、この世界の魔法使いの子女は10歳になると王立魔法学院という魔法学校に5年間通うのだそう。
魔法学院は全寮制であるため、家を出て寮生活しなければならないらしい。
これがこの世界の常識とのこと。
お菓子のことしか目になかった私は、常識的な知識では弟の方が優秀らしかった……。
というか、これはチャンスなのでは!?
大好きな家族と離れて暮らすことは寂しくもあるけど、その分少しの自由を得ることはできるはず。
そうすれば、夢にまで見たお菓子を作って食べることができるのでは!?
生きる希望を見出して、私は気を取り直し、今まで通りの暮らしが続きました。変わったことといえば、成長するにつれて弟たちがよく喧嘩するようになったことぐらいかな?
とはいっても、前世では一人っ子だった私は、子どもだからよく喧嘩するものなんだろうなぁと思いながら生活してきた。
そして10歳になった私は、家族に見守られながら魔法学院へと足を踏み入れたのだった。
初めての魔法学校生活は不安だらけだったけど、今では優しい友達に恵まれて素敵な日々を過ごしています。
そうそう、魔法学院に通い始めて、新たにわかったことがあります。
それは我がクロフォード家は“聖貴族”と呼ばれているということ。
この世界には魔法が使える人間・魔法族と魔法が使えない人間・非魔法族がいて、魔法族のなかでも家系に魔法族しかいないのを純魔法族、魔法族と非魔法族の混血を混魔法族というらしい。
そしてさらに、純魔法族のなかでも長年にわたって世襲してきた家柄を“聖貴族”と呼ぶのだそう。
つまり、クロフォード家は世間的にはかなりトップクラスらしいのです。
でもやっぱりそれをよく思わない人もいるみたい。
そもそも“聖貴族”のほとんどが混魔法族と非魔法族に対して横暴な振る舞いをする輩ばかりらしく、純魔法族と混魔法族や非魔法族の間には深い溝ができているらしい。
私もクロフォード家の人間ということで、警戒されたり嫌味を言われたりしたこともありました。
でもそんなこと、どうだっていいんです。
私の目的は、お菓子を食べることだけなのだから。
……だと思ってた。
入学して三年経った頃。
その頃にはお菓子を作る材料もひと通り手に入り、好きなお菓子がなんとか自分で作れるようになっていました。
お菓子が満足に作れるようになって、ようやくお菓子以外に目を向けることができた時、また、弟二人も魔法学院に通うようになった時、私はいかに盲目的であったのかということに気づきました。
私の家は純魔法族を何よりも優位だと考えていている、“聖貴族”の代表的な家系であること。その考えに対して一歳下の弟は嫌気が差しており、お父様とお母様は呆れ果てているということ。
反対に二歳下の弟は家の考えに傾倒しているため、弟二人の仲は悪いということ。
いつのまにか、クロフォード家はギスギスしていました。
もちろん、姉である私が二人の間に入らなければならない。
だけど、どちらか一方を否定することはできないし、逆も然り。
私にできることは、お菓子を作ること。
私の作ったお菓子を食べて、おいしいと言って笑ってくれた二人の顔がもう一度見たい。
今度は自分のためだけじゃなく、弟たちのため、家族のためにお菓子を作るんだ。
これはそんな、お菓子が大好きな転生者である私が、ただお菓子を作るために奮闘する物語です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました(_ _)




