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第1話 異世界へ

評価頂きありがとうございます~(*^O^*)

ブックマークありがとうございます~(*^O^*)

チラ見歓迎です~(*^O^*)


今後予定

【第2話 王都へ】

ライトが王都に向かう迄のお話です。

【第3話 宿屋の娘さんフラグはヤバいですか?】

宿屋の娘セシリちゃん登場です。

【第4話 運命の出会いなの?】

タブレットのサツキサンが登場します。

【第5話 伝説の冒険者 爆(笑)誕】

ライトが冒険者になります。

【第6話 サイドチェンジ1 大好きだよ 《姫川彩月》】

クラス委員長の彩月さん恋話です。

【第7話 黒猫探しミッション】

ライトが冒険者初ミッションします。

【第8話 お姫様救出作戦】

ライトがワールドビジョンを修得します。

【第9話 魔人国侵攻阻止作戦】

ライトが特務機関ナイトウイングスの団長に就任します。

【第10話 サイドチェンジ2 『灯火』 《アルフィーナ王女》】

アルフィーナ王女の恋話です。


「ワールドビジョン!」

 俺は全世界を索敵した。

「サツキサン!見つけた!」

 そいつは現世で言うところの南アメリカ大陸、アマゾンの密林にいた。

「イエス。マスター。マークします」

 タブレットのサツキサンがそいつの情報をマークする。

「世界の果てにいようとも、お前らの悪事は丸っと全てお見通しだ!」



 第1章 異世界出会い編


 第1話 異世界へ


  世界に終焉をもたらした第三次世界大戦は、大国の様々な思惑が絡み合い、某国が数発の核ミサイルを日本に向け発射したことにより開戦する事となる。


 その日は秋晴れの小春日和だった。茅敷(かやしき)高校2年3組はいつも通りの朝礼が終わり、担任の白山先生が第一時限目の授業を始めようとしていたその時、みんなのスマホが突然鳴り響いた。

 委員長の姫川彩月さんが「Jアラートよ」と大きな声をあげた。先生が「体育館に避難します」と慌てた声で避難を促す。


 全国瞬時警報システム=Jアラートは武力攻撃をされた際に、幾つかのステップを踏んで、民間人に避難を促す警報システムだ。通常であれば、防衛システムによる迎撃等もあり、幾ばくかの時間で避難迄の時間は確保されるはずだった。


 しかし…。

 俺はまだ机の上にあったバッグを胸に抱き、席を立ち上がったその時だ。外が眩く光る。「あっ」と声を立てた瞬間、教室が大きく揺らぎ真っ白になった。


 目を開けると真っ暗だった。冷たい風が頬にあたり、そこが屋外の夜であることが感じとれる。誰かが(ささ)やく。

此処(ここ)どこ?」

「何が起きたの?」


「皆さん大丈夫ですか~」

 暗闇の中、白山先生の声が聞こえた。


「はい、私は大丈夫です」

 姫川さんの声が聞こえ、俺も「大丈夫です」と言うなか他のクラスメートが彼方此方(あちらこちら)で「大丈夫です…」と言い始めた。

 はっきり言ってみんなパニクっている。あの眩い光は多分…。でも俺達は生きている…?しかも夜?何これって感じである。


「て、点呼を取ります。一番の相沢君から~」

 白山先生が生徒の安否を確認する。

「一番相沢、います~」

「二番藍原、大丈夫です」

 順調に点呼が続き

「六番桜井光斗(ライト)、大丈夫です」

 俺も声を出す。

 点呼の中しばらくして、小さな明かりが灯る。スマホの灯りだ。俺も慌ててバッグからスマホを取り出し、画面をタッチした。僅かな光だが気分が落ち着く。彼方此処でスマホの明かりが灯る。辺りは木々が()い茂る森の中だった。

 点呼は最後の渡辺さんが言い終え、3組26人が全員いる事が確認出来た。


「皆さん、足元に気をつけて此方(こち)らに集まって~」

 先生がスマホを左右に振り集合を呼び掛ける。

 俺は薄暗い中、バッグを持って立ち上がる。少し離れた所に、茜音さんと葵さん、相沢君と楠木君がいた。

「茜音さん達は大丈夫~」

「大丈夫だよ~、そっちは~?」

「俺も大丈夫だよ」

 茜音さんと声を掛け合う。

 白山先生の元にクラスメートが集まった。


「どこ此処?」「何で夜?」


 誰かが言うと一斉に「ガヤガヤ」と始まる。先生も答えようが無い状況だった。

「テレポーテーションか!」

「異世界ってのも有りだよ」

「遂に来ちゃったか~」

 柿原君、工藤君、沢口君の三人はクラスでも有名なオタクトリオだ。

「ウワッ、出たよ、オタクコメント」

「やっぱキモいよね」

 強面の中山君と彼女の岡本さんはオタクトリオが嫌いみたい?

「でもちょっと普通じゃないよ~」

「今が夜って事は、アメリカに来ちゃった?」

 茜音さんと委員長の姫川さんも、此の異常な状況に困惑している。


「アメリカってよりも今じゃないかも…」

 白山先生の声に全員驚く。白山先生は夜空を見上げた。

「う~ん、月は月なんだけど…」

 俺達も夜空を見上げる。木々の隙間から三日月が見えた…、三日月?

「せ、先生~三日月です!」

 怯えた声で茜音さんが言う。そりゃそうだ、昨夜は綺麗な満月だったんだから、三日月が見えるはずがないよね?

「タイムスリップと来たか~」

「え、未来?過去?」

 柿原君の言葉を真に受ける茜音さん。

此木(このき)、此の葉っぱは見た事もない種類だわ。南半球は余り行ってないけど…」

 白山先生は、大学時代は山岳部で世界中を旅していた。色々な樹木を見てきている。

「其れじゃ南半球って事?」

「其れは無いな、いつもの三日月だ。南半球なら向きが違って見えるからな」

 新藤君が岡本さんの意見を理論的に否定した。へ~、南半球だと月の向きが違うんだ~。


 そんなやり取りの中、俺の頭の中や背中がゾワゾワしている。何だろう?変な感じだ…。何この感覚?

「先生~、何か変な感じしませんか?」

「十分変な状況でしょう!」

 岡本さんに突っ込まれた。

「いやいや、なんかゾワゾワ感的に」

「俺は力がみなぎる感じっていうか、体の中が熱くなるって感じはしているぞ」

 と中山君。

「いや、何かもっとこうゾワゾワ~とか寒気的なそんな感じなんだけど…」

「そうね、空気が震える感じがします」

 今まで無言だった葵さんが同調してくれた。葵さんの家は霧島流剣術で、彼女も達人クラスとかでみんなからも一目置かれている。そんな彼女の発言に、みんなの中に緊張感が高まった。俺じゃダメなのね…。


 この変な感じに意識を集中する。

 「敵意? いや殺意!近くはないけど遠くない距離で、10~20ぐらいの殺意を感じるよ」

 何? 此の気配感知みたいな感覚?

「獣だな。獣なら餌に対して敵意を持たない。ただ殺して食べるだけだからね」

 新藤君が言った。確かにそうだ。釣った魚は殺して食べるけど敵意を出して殺す訳ではない。

「逃げましょう」

 白山先生が避難を促す。

 直ぐ様みんなで駆け出す。背後の気配も其れに気がついたようで、殺意が大きくなった。


 暗闇の中を全力で走る。しかし背後の気配は近くなるのを感じる。暫く森の中を走るうちに足元が急に無くなった。

「えっ」

 落ちてる、落ちてる、落ちてるーーーーーッ!

「アウぎぐア~」

 叫びにならない叫びで俺は縦穴に落ちて行った。張り出している根っこがビシビシ痛い。俺は結局ずるずる落ち、穴底についたようだった。

「痛たたた~、縦穴って? …対して怪我が無くて良かったけど」

 握りしめていたスマホとバッグ。スマホの灯りを、ライトモードにして辺りを見回す。ただの縦穴のようで、変な迷宮に迷い込んだ訳ではなく「ホッ」と胸を撫で下ろす。

 意識を集中して周囲のゾワゾワ感を確認する。とりま大丈夫そうだけど、上にはさっきの獣がいる可能性もあるのでチョイ待機だな。みんなとははぐれるけど、後できっと合流できる…と信じて、今は暗闇の中で待つ事とした。


「何か遠吠えが聞こえるな。みんなは大丈夫かな…。く、暗闇の中で1人って心折れそうだな…」

 この暗闇は俺の心も闇色に染めていく。其の闇は広く深く大きくなっていく。

「か、母さんや父さん、貴美は大丈夫かな……」

 俺は母、父、妹の顔を浮かべ、ギュッと膝を抱え顔を埋めた。

「し、死んでるよな…。核が落ちたんだもんな…」

 今の世界情勢なら、日本に核が落ちたならアメリカは報復で核を放つ。更に報復、報復、報復……。核戦争により世界は終焉を迎えたであろう事が容易に予想が出来た……。

 俺は泣いた、泣くしかなかった。獣のことも忘れ大声で泣いた。泣いて、泣いて、泣き続け声も涙も出なくなる。其れでも、どれくらいの時間か分からないが、ずっと泣き続けていた。


 ポトッと手からスマホが落ちる。スマホの画面の淡い光が、暗闇の中で一筋の、心の『灯火』となった。

 心が少し落ち着く『灯火』だ。その『灯火』を闇が支配する静寂の中で(しばら)く眺めていた。

 …考えよう…、考えよう、考えよう、良いふうに考えよう…。

 か、母さんなら全員が死ぬあの状況で、俺が生き残っていたら喜ぶんじゃないか?父さんも!貴美も!だったら俺は…生きる…、俺は生きる!俺が生きることが、今はいない家族の最後の幸せだ!


 腕で涙を拭い、落ちてきた縦穴の上を見上げる。此処から出て生き抜くんだ!生きる!生きる!生きる!

 俺は誓った、生きる事を!

 俺は登った、家族の最後の幸せの為に! 



 何度か縦穴からずり落ちながらも、なんとか縦穴から這い出る事が出来た。縦穴の暗闇に目が慣れていたせいか、森の中が少し明るく見えた。学生服は砂や泥で汚れ、張り出していた木の根っ子で、所々が破けてしまった。木々の隙間から空を見上げると、三日月は見えなくなっていた。


「空が少し明るい」


 朝が近いのだろう。少し明るみを帯びた紫の空を見上げた。腕時計を確認すると午後1時23分、9時ぐらいに跳ばされ、10時ぐらいにみんなとはぐれたとして、あれから3時間ぐらいってとこか。


「はぁ~、やっぱ誰もいないよな…」

 腰を下ろし、両手を後ろ側の草むらに付き、空を見上げ息を吐く。薄暗い森の中は虫の声も聞こえてこない。静寂が怖さを引き出してくる。

「お……お弁当…喰うか…」

 不安を誤魔化すため俺はバッグから、学校の昼休みに食べる筈だったお弁当を取り出した。母さんが作ってくれた最後のお弁当。俺は其の味を噛み締め、涙を溢しながらゆっくり食べた。


 暫く空の弁当箱を眺めていた。何で俺達は跳ばされて来たんだろう。彼処(あそこ)で死んでいれば、こんな寂しい思いをしなくてすんだのに……。でも生きると決めたんだ。頑張ろう!


 俺は涙を袖で脱ぐって立ち上がり、周囲を見渡す。南も北も分からない。

「山の中に1人って、かなり怖いな」

 足がガクガク震えてきた。

 近くか遠くか分からないが動物の気配を感じる。あの時もそうだった。暗闇の中で獣の気配を感じていた。今までに無い感覚……。


 其の感覚に神経を集中してみる。

 ……感じる。動物や鳥や虫の気配を…。

 クラスの友達の気配は……。クラスメイトかは分からないが人の気配がある!此処(ここ)からは少し遠く離れている…。

「人だ…。何人かの人がいる!みんなかも!」

 俺は震える足を動かし、そちらの方へ歩き出した。


 鬱蒼(うっそう)とした森の中、人の気配という希望が無かったら、俺は死んでいたかも知れない。ニュースで耳にした山の遭難事故。山の中を当てずっぽうに歩くのが、如何に危険な事かがよく分かる。



 あれから1時間は歩いた。意識を集中して人の気配を確認する。向こうも近付いて来ているようで、大分距離が縮まった感じだ。人の気配も結構多い。ざっと10人はいる感じだった。


 更に1時間も歩くと森の先が明るく見える!森が終わる?期待を胸に俺は少し早足で明るい方へと歩いて行った。


「道だー!」

 遂に俺は道に出た。舗装されていない土の道。(わだち)が有り自動車とは違う車輪の跡が幾つも残っていた。

「人は!気配は!」

 俺はまた意識を集中して気配を感じてみる。大丈夫。此方(こちら)に近付いて来ている。俺は道の脇に座り、その人達が来るのを待つこととした。


「あれはぁ…クラスのみんな…じゃない…な」

 道の向こうに馬車が見えた。奥にも馬車が見える。クラスメイトでは無かった。

 俺は道の真ん中に立ち、大きく両手を振った。

「助けて下さ~い」

 手前の馬車の動きが遅くなる。御者台に人が立ち、俺の方を見ている。其の人から紫色のオーラのようなものが見えた?

 俺は再度声を上げた。

「助けて下さ~い」

其処(そこ)を動かないでくださーい!動けば撃ちまーす!」

 女性の声。まだ少し距離がある馬車で、御者台から立ち上がった其の人は、クロスボウを構えていた。

 俺は腕を振るのを止めた。アレ?もしかしたらヤバい流れ?

「武器を置きー、その場にうつ伏せになりなさーい!」

 武器等は当然持っていないけど、言うとおりにその場でうつ伏せになった。



「盗賊か?」

 俺はうつ伏せになった首の後ろ側に、剣を突き付けられていた。

 俺の周りには2人の女の子が立っている。服装はファンタジーに出てくる冒険者の衣装だ。剣を突き付けている女の子は、しっかりとした鎧を着ている10歳ぐらいの少女だった。しかし、彼女の持つ剣はやたらと幅が広く、極太で重量級の剣を片手で持っている。

 もう1人はスラッとした身丈に長い髪がよく似合う俺より少し年上の女性で、ライトアーマーにクロスボウを持っている。

 二人とも紫のオーラを(まと)っていた。


「見たところ魔法学院辺りの学生に見えますね」

 俺はヒヤヒヤしながら二人のやり取りを聞いている事しか出来ないでいた。

 マジ怖いって(涙)

「殺る?」

 えっ!

「本当に学生だったらヤバいですよ」

「が、学生です~!」

 俺は震える声を出した。

「お、お嬢さん、た、助けて下さい」

「お嬢さん?(ムカ)」

 戦士の少女が怒ったよ?

「こう見えても貴方(あなた)より年上よ!」

 はい?

「10歳辺りのガキにでも見えた?見なさい此の胸を!」

 彼女はブレストプレートで隠されている胸を突き出す。

「ガキがこんな大きな胸をしてる筈が無いでしょう!」

「はぁ?」

「プッ。ミミアさんが子供の扱いされるのは何時もの事じゃないですか(笑)」

「なんだと~!(怒目)」

 ミミアさんの手がプルプル震えると、俺の首の後ろにある刃先もプルプルしている…。間違っても刺さないで~!


「お、お姉さん。お、俺は山で遭難してて…て…?」

「お姉さん?(ムカ)」

 アレ?お姉さんも青筋立てたよ?

「こう見えても貴方より年下ですから!」

 はい?

「ぎゃはは~。少年、こんなトリプルAの胸が淑女(レディ)の筈が無いだろう(笑)。カレンは其れこそガキじゃ、ガキ」

 ガキって歳には全く見えないが、どうも俺より年下みたいだよ?

「失礼ね~!その内ミミアさんより大きくなるから大丈夫です~!」


「なんだ、なんだ、ミッカーズ騒がしいぞ!」

 後ろの馬車から3人の冒険者が降りてきた。大柄な戦士に、多分僧侶、もう1人は飛び切り美人のお姉さん。耳が長い?え、エルフ!

 俺がエルフのお姉さんをガン見していたらドスっと顔の横を切っ先が通り、ミミアさんの極太の剣が大地に突き刺さった(タラ~汗)。

「少年!騙されるな!女は顔じゃない!胸だ!男なら黙って胸を見ろ!」

 ドーンとブレストプレートの胸を突き出すミミアさん。いやいや、黙って胸をガン見は出来ません~。

「ふん。胸しか自慢出来ないドワーフ!(イーッ)」

「何を~!顔だけエルフ!(イーッだ!)」

 ミミアさんはドワーフなの?

 俺の話しから大分論点がズレて行きました(汗)。





 

【予告編: 第2話 王都へ】異世界に飛ばされたライトは、クラスメートとはぐれる中、キャラバンの護衛をしていたミッカーズ達に救助を求めた。キャラバンの馬車に乗り王都を目指すが、道中でライトは森の中に怪しい気配を感じた…。


「お前の事は丸っと全部見えてるんだよ!」


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