表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/14

9

 寒さが薄れてもうすぐ春の陽気さが漂う今日この頃。

 道行く人々の服装も薄くなってきて、冬の間使っていた俺の上着もお払い箱だ。

 今日は外にじっと立っていても平気でいられるくらいの気温ではあるが、まだまだ寒い日もある。今は人生の転機を迎えた大事な時期だから、くれぐれも風邪をひかぬように気をつけたいものだ。

 就職活動もいよいよ始まるようで、俺も三日後には面接活動を控えている。

 だというのに、わざわざこの日に、なぜか帰ってきたK良と遊ぶことになってしまった。そう、面接の三日前なのに、なぜか一緒に出かけようと電話で誘われたのだ。今度そっちに行くからついでにとかなんとか。漫画家志望さんは気楽でよろしいですね。

 ああくそ、何がついでだ面接上手くいかなかったらお前のせいだからな、くそ。断れない俺は一体なんなのか。

 そんなこんな考えていたら、奴がやってきた。

 「よーう、久しぶりぃ(笑)」

 「ああ、うん」

 「まあ、久しぶりつっても電話でちょくちょく話してたけどな(笑)。昨日も(笑)。まあ実際に会うのは久しぶりってことで(笑)」

 いやどうでもいいし。

 「うん、まあ」

 「しかしあれだな。見た目とかあんま変わってないなぁお前」

 「いやまあうん」

 「大学生活どうよ? 楽しい?」

 「いや知らんけど。お前も確か大学じゃん」

 「知らんて(笑)。何だそれ(笑)。いやーまあね、でも俺あんま大学行ってないからなぁ(笑)。卒業ギリギリラインだよ(笑)。お前はどうよ」

 「俺は普通に卒業できる」

 「俺は普通じゃなくて悪かったな(笑)。そうか、お前頭いいもんな(笑)。そりゃ当然か。あー……まあとりあえず店行くか」

 「ああうん」

 しばらく会話が途切れ途切れの息苦しい歩行が進む。俺からは一切話しかけないが奴からちょくちょく話しかけてくるのがまたうざったい。別に普通に話さないで歩けばいいだろ面倒くさいああ面倒くさいやっぱり面倒くさい人と話すの面倒くさい。

 気まずい会話なりにこいつは何とか盛り上げようとしているような気がするが、しかし何かこいつ明るくなったな。ていうかチャラくないか? いやうざいだけか? 勘違いしてる陰キャ的な。社交人気取りやがって全く気に食わない。世間の荒波に揉まれて成長しましたよーってかああ気に食わない気に食わない何様だ。

 電話越しじゃなくこいつと直に話すのは、いつぐらいからだったかな? 電話をよこすときは、自宅の電話だから長電話はできない。したくもないが。

 俺から近況を話すことなどない。話されることは少しあったな。大学に行きつつアシスタントをしているんだったか。そういやこいつの作品を高校出てから見てないな。今はどんな感じなんだろう? まあどうでもいいけどな。

 「ここら辺も懐かしいな(笑)。な?(笑)」

 「そもそもここら辺知らないんだけど」

 「知らんって(笑)。お前ここら辺こないのかよ(笑)」

 「そういや、お前アシスタントとかどうなの?」

 「ん? なんて?(笑)。 なんだよ急に(笑)。アシのこと? どうってなんだ」

 「いやどんな感じにやってるのかなって」

 「どんなって、まあ、普通かなぁ……いや、質問がぼんやりしすぎだろ(笑)。ああ、今××先生のところでやってるんだけど、知ってる? △△雑誌の××○○先生」

 「両方知らんな」

 「そうか(笑)、んふふ(笑)、いやマイナー雑誌だけども(笑)。即答て(笑)、いやそういうのは気を遣えよ(笑)」

 何だこいつ。

 「何で」

 「何でって、んふふ(笑)、まあいいかその話は(笑)。で、俺がどんな感じにやってるかって話だっけ。俺は、そこでベタぬったり背景描いたりしてるよ」

 「へえそんなことまでやってるんだ? じゃあ結構絵上手くなってるんだなお前」

 「いやいやそんなことはない。上手い人に比べたら俺の絵なんてポンコツの部類だよ。ポンコツ!」

 「ふーん」

 「まあ言っちゃえば、××先生の漫画はそれほど画力が重視されてるわけでもないし、多少は俺程度でもな、うん」

 「へえ」

 「……」

 「……」

 「そういえばさお前、最近何か気にいってる作品とかある?」

 「え、ああうんまあ、いろいろ」

 「どれよ、それについて語ろうぜ(笑)」

 「語るって。お前が知らない作品でも?」

 「そんときはお前が俺に存分と語ってくれよ」

 「やだよ」

 「何でだよ(笑)」

 語るとか語らないとか俺はそういうのが嫌いなんだというのに。やっぱりこいつなんか明るくなってるな。面倒くせえ。もうずっと黙ってようかな。

 「そういやさあ、お前、いい加減携帯買ったのか?」

 うぜえ、買う訳ないだろ。

 「買ってない」

 「マジかー、いやマジかお前」

 「何で二回言われるの」

 「連絡しづらいんだよお前(笑)。自宅って(笑)。母親に取り次いでもらうって小学生同士か俺ら(笑)」

 「いいじゃん」

 「パソコンも持ってないんだろお前、本当に現代人かよ……」

 「いいじゃん」

 パソコンは持ってるけど。

 「いや本当にさぁ(笑)、ラインもメールも電話も出来ない奴がいるって現代日本でありうる?」

 「いや自宅で電話できるし」

 しつけえ。

 「はぁ~、まぁいいけどぉ」

 何でお前にそこまで言われなあかんねん。

 「あ、店あそこあそこ。入れるかな~」

 嫌だなー、ああいう店入ったことないんだよなぁ。酒出る感じの店。

 「いらっしゃいませ~」

 「あ、二人なんですけど、大丈夫ですか」

 何こいつ声高くなってんだ。

 「は~い大丈夫です。こちらにどうぞ~」

 ちなみに俺は黙ったままだ。ああ嫌だ、こういう空気感は最悪だ。とりあえず俺はついて行くままだった。

 「ふい~、よっこいしょっと、さあて、何頼もうかね?」

 「さあ」

 奴のリュックサックとか俺のカバンとかを机の下に置いて、とりあえずいろいろと適当に頼んだ。酒も頼んでしまった。注文のくだりもなすがままで俺はメニュー内容を言葉にしただけだった。お声が遠かったようで二回言わされた。やれやれ。

 「そういや酒適当に頼んじゃったけど、お前酒のめるのか?」

 「飲んだことないけど」

 「まじか(笑)、まあ飲めなかったら俺飲むよ(笑)」

 「ああうん」

 何かむかつく。ていうかコップ使い回したくないんだが。

 しばらくして頼んだ奴がちらほら来た。酒も来た。飲んでみた。まずかった。でも我慢してちびちびと六口くらいは飲んだ。気のせいかくらくらするような気がする。あと結構残ってるなあ。

 以下適当に会話をした。

 

 「大学のパソコンで私的にネットすんなよ(笑)、公用なのに(笑)」

 「いいじゃんいいじゃん」

 「じゃあアニメも見れるじゃん、前はお前の兄さんのBDで見てたんだっけ?」

 「そうそう」

 この感覚分かるだろうか。俺らだべってるぜ―楽しいぜ―的な。クソ喰らえ過ぎる。話を振るとか振られるとか超絶面倒くさいし気持ち悪い。

 酒の効果か、陽気になってきた気がする。酒やばいな。多少饒舌になってきた。

 「そういう奴らね。確かにいるね。とりあえず理屈をこねてなんでもかんでも否定したがる奴」

 「そうそう。ひねくれたガキかってんだよな(笑)」

 「でも現実でもいるじゃん。ほら、学生とかでさ、やたら教師の不備を指摘して、自分の怠慢を棚に上げる奴。勉強できない自分に正当性を持たせるためのあざとい習性を持ってる奴。それと同じ行動原理なんだよなあ」

 「何言ってんだお前(笑)。いやでも、確かに先生の悪口ばっか言ってた学生っているよな。まあ俺はほら、それ以前に勉強を放棄してたけど(笑)」

 「漫画描いてばっかだったな」

 「ん? ああまあな」

 「家で描けなかったんだっけ?」

 「ああ、いや、うーん、まあな」

 「親に反対されてんだっけ?」

 「うん、まあ、うん」

 「ふーん」

 「……うーん、いや、あのさ」

 「なによ」

 「いろいろ愚痴になるかもなんだけどさ、ちょっと」

 「いや、そういうのもう良いです」

 「ちょ(笑)」

 

 「あの漫画なあ、やりたいことは分かるんだけど、狙い過ぎて滑ってるよな(笑)」

 お? お? お? 何か言いだしたぞ。

 「自分の中では上手く出来てるように思えてるんだろうけどさぁ、そういうのってさぁ、自分の目が曇っちゃてるのに気がついてないんだよなぁ」

 おやおや、売れてるプロの人を酒の場でくさすとか(笑)。まるでいっぱしの三流漫画家みたいじゃないですか(笑)。

 「これよくあるんだけどさ、でも客観的に見るのって大事なんだよね。一晩寝かしたりとか人に見てもらったりとか、そういうので漫画の完成度も上がってくるんだけどさ、そういうのが明らかに出来てない人ってどうしてもいるんだよなあ(笑)」

 「独りよがりになっちゃうわけね」

 「うんうんそうそう。そういうの本当に多いよ(笑)。でもなぁ、もっと悪いのは、目が曇った挙句に拗らせちゃった人なんだよなぁ(笑)」

 「具体的な人に向けた悪口かな(笑)」

 「いやいや、これ本人たちの前で言えないんだけどさぁ、ほんと妙な細かいこだわりばっか持ってて、やたら本人は満足げなんだけどねぇ、客観的に見て超つまんないという(笑)。エンタメ意識出来てないんだよなあ」

 「ふーん」

 「誰かの作品批判する時も、必然性がどうのこうのって、そればっかな。感覚的に作品の方向性のバランス取る時もあるっての」

 「はーん」

 「大体、映画の好みがいかにも意識高そうでさぁ、例えば、○○○っていう映画、あんじゃん」

 「知らん」

 「あ、知らん? 有名だと思ってたんだけどな(笑)。いやこれ名作だとは思うんよ、本当に」

 「ふーん」

 「でも、なんていうのかな、見る側に悪い影響を与えちゃうタイプっていうか、拗らせちゃうタイプの人が見る映画なのね(笑)」

 「ふーん」

 「俺はもっと、△△とか□□とかみたいな、エンタメ意識してて、観客を引き込んで飽きさせないタイプの映画が好きなんだけどさ、あ、知ってる?」

 「いや知らん」

 「そっかー知らんか(笑)。これも名作だと思うんだけどな(笑)」

 「ふーん」

 「単純に楽しくなくちゃいけないんだよなあ。そもそも作品作るのに、生兵法的な良く分からん方法論とか持ちだして、どうなの? そういうの」

 知るかい。

 「俺の知ってる漫画家志望の人でさぁ、俺の知識が世界の全てだって人いてさぁ、作品がすっげえ独りよがりで、しかも説教臭いんだよ(笑)」

 「ほーほー」

 「他にもさぁ、理屈ばっかの人とかさぁ、そういう人は評論、だっ、けっ、うまいんだよなぁ」

 「評論て(笑)」

 「あとやたら哲学的な要素を入れたがる人とかいてさぁ、日常的に哲学的な会話をしたがるんだよねそういう人」

 「意識たっかい(笑)」

 「まあ俺が言いたいのはさ、もうちょっと皆素直に楽しい内容を描けばいいんじゃないってことなんだよなぁ」

 「お(笑)、さすが言うことが違うじゃないか(笑)、その勢いでその人たちにアドバイスしてやれよ。直接(笑)」

 「しねーよ(笑)、まあ俺の頭が悪くて即物的な考え方しかできないだけかもしれないけどさぁ、でも読者だってそうじゃね? 分かりやすくて単純に楽しい奴を見たいんじゃね?」

 「決めつけんなよ(笑)」

 「いや、ほんと最近の漫画は中身が足りないの多いのが嘆かわしいとかそういう風潮あるけどさ」

 「あるの(笑)?」

 「ないかもしらんけど(笑)。俺から見てさぁ、売れる作品っていうのは、中身は重視してないと思うんだよね。あくまでエンタメ性が大事っていうか。内容小難しいのは、今の読者層じゃ理解してもらえないと思うわ。あくまで皮を被る程度にしとくと、読者も嬉しいっていうね。いやほんとそこんところ理解してない人が多くてさあ」

 「いやいや(笑)、なら子供向けアニメでも見てればいいじゃん(笑)、そんなの、それこそお前の見方の尺度が広くないからそう考えるしかないだけじゃん(笑)」

 「そうかなぁ(笑)」

 「まあ皮を被る程度が丁度いいっていうのはあるかもしれんけどさ。うまくやらないと非難轟々でしょ。そういう中途半端なの嫌悪感持つ奴でてくるよ絶対。ネットでもさぁいるじゃん、頭良さげもどきのことをいちいち考えたがる面倒くさい奴(笑)。そういう奴ほど、半端に知識物ぶってる奴を攻撃するんだよなぁ。いわゆる同族嫌悪って奴な」

 「あーまあ、難しいこと言ってる奴は見たことあるかもなぁ?」

 「ほんと突っかかってくるタイプでさぁ、そういう内向拗らせた奴も多いんだよなぁ、そういうの考えてる自分は頭が良いとか思ってるんだろうけどさ、攻撃の節々にまあ浅学っぷりが浮き出て浮き出て劣等感もむき出しっていうな」

 「うーん(笑)? まあでも中身ないない論者の哲学考察したがる奴らはいるけども(笑)。あ、いやいや、確かにそういう奴はちょくちょくいるかもしれんが、お前がそこまで言うくらいにひねくれてる奴かどうかは知らんぞ(笑)」

 「でも人間って根源的にそういう性格してるんだよなぁ」

 「根源的(笑)! 何言い出すんだお前(笑)」

 「自分の世界を作って、その中で法則を勝手に作るんだよ。あれがこうなのはああいう法則があるからでって、なんでもかんでも説明したがる訳だよ、つまり外界の出来事を自分の世界の説明に置き換えたがるんだよな」

 「あ? 法則? いよいよ大袈裟な話になってきました」

 「いや普通の人間でもさ、ああ言う人間がこういう行動に出るのはそういう理由があるからだとか、考えたがるじゃん。そういうのは得てして自分に都合の良い説明だったりするんだけど、とにかくあの不当にはそういう説明ができて、ああいう人間の行動には皆が気付いてないある法則があってとか、まあとにかく自分の世界の言葉で説明をつけたがるんだよ」

 「なるほどわからん(笑)」

 「要するにあらゆる出来事は自分の世界の法則で説明しきれる。つまり、自分は外界を説明しきれる存在であって、自分を不当に責めてくるあいつよりも、物事を弁えてる自分の方が偉いよなっていう理屈を持ってる人間が多いってことだよ、まあ昔から人間はそういう精神構造を持ってるんだけど、度が過ぎたら駄目だよな」

 「えぇ(笑)?」

 「あとセットでそんな自分は頭が良いって思いこむ人間も多いよ」

 「まあまあまあ頭でっかちの人間が多いってことだな(笑)、良く分からんけど(笑)」

 「哲学者を気取りたいだけなんだよな。知識ないのにね。例えば、ネットで哲学の話をして自分の意見を押し通す奴とかそういう存在な訳よ」

 「いやいや、そうやって決めつけてバカにするのはどうかと思うぞ(笑)。何だかんだ言って、俺だってそういう哲学スレ見つけて面白がること多いしさぁ、俺もついつい毒づいちゃうことあるけど、やっぱ人間、哲学とかに惹かれるもんよ。ほら、ついつい哲学のことを考えちゃうのは普通のことじゃね(笑)」

 「ついついな(笑)」

 「えー、ていうか、だってそもそも、お前だってそういう事勉強してるんじゃねーの?」

 「まあしてるけど」

 「いやだからこそか? あれか? 素人がする哲学はいかんって話か(笑)? お前らの言うことはきくに堪えんぞーってことか(笑)?」

 「いや別にそうじゃないよ、俺だって素人みたいなもんだし」

 「素人じゃないだろ(笑)」

 「素人だよ(笑)」

 「よし分かった(笑)。じゃあさじゃあさ、お前あれ知ってる? 前どっかのスレで見たんだけどさ、世界が五分前にできてることを否定できない奴」

 「ああラッセルの奴ね」

 「ラッセル?」

 「昔の偉い論理学者でね、その人がそれの元ネタなんだけど、まあそれの教訓は、人間の知識とか思考の限界を考えることなんだよね」

 「お? お? お? おおー(笑)。やっぱり勉強してんじゃーんお前(笑)、えへへ(笑)」

 「いひやっ、まあね、でも結局は、人間なんてそう自由な生き物じゃないってことだと思うんだよね。思考とか意識とか情動とか一般的に主体的だと考えられていることはもっと受動的な行為なんじゃないかな。人間の頭の構造って中途半端に理解されてて常識的には脂質とかたんぱく質とかによる物理的な構造をしていると認知されているはずなのにやれ意識だとか思考だとかクオリアだとか何やら超越的な理解を心の奥底では感じてるんだよね。まあでもこれはもう人間的な構造による産物なんだと思うから仕方のないことだとは思うんだけどねそもそも俺達が感じ取れるのは感覚しかないんだと思うんだなあ。ただ感覚の発生と連鎖による感覚の動きのみが人間の大体の動作を決定するっていうか、まあ違和感あるけど見方の問題じゃないかな、俺達が今こうして考えているのもいわば感覚っていう唯一の資源を使ってこそなんだよね。感覚ってのは例えば、まあ五感とか痛覚とか内蔵感覚とか感覚の想起とか、あとは感覚に対する感覚とかなんだけどね。ああ、ここで面白いのは、感覚はもちろん外界からの刺激によって生まれるんだけどさ、生まれた感覚に対して更に感覚が生まれる、いわば再帰的な構造があるんだけど、感覚に対する感覚に対する感覚みたいな感じでさ、これが自己認識に至る重要な要素だと思うんだよね。ていうか、人間が持つ全般の生命活動の為の判断機構なんだけどね、入力から即出力じゃなくてさ、こうして体が体に備わっている機械的な機能を使って感覚から別の感覚として操作していくことで、より人間が言う高次な判断をすることができるわけなんだよね。まあ俺は高次も低次も糞もないと思うけどそれはいいとして。脊髄反射とかもあるけど、同じように人体の動作はこれらの感覚操作による結果なんだろうね。で、意識とか意味とか確信とかいうそういった俺達が普段信じているものは、単なるその感覚の機械的なもしくは再帰的な操作時に生じるパターンでしかないんだよね。しかもそれ自体は何もしないただの記述とか解釈とかでしかないわけ。感覚の操作に何も関係しない、だっていわばパターンから一歩引いてみてるだけだから。と言っても引くとか上とかそんなのないからこれも何かおかしなというか間違っているような気がする表現なんだけど、まあこの方がわかりやすいよね、さながら要素の集合であるアリがその集団を描写する的な? 意思もパターンを上?から見えるだけでしかないし、まあ本当は当事者なんだけど、知識とか概念とかも全て感覚の操作パターンによるもので、確信と手続きで成り立っている機能的な存在でしかないわけよ。鳥を考えても観念的な鳥は存在しなくて、鳥であるという確信的な感覚とそれによる感覚の方向付けと関連を引き出す操作しかない。具体的な観念を表す情報とかはないんだよ。人間が持ち得るたくさんの感覚の想起とか効率の良い操作方法とかを上手く使ってるんだろうね。もちろんそうした手続きとかその更新をどう記憶してるのかは疑問なんだけど、環境に埋め込まれてる知識を考えると限定的な構造で済むのかもしれないね。それで、ここからが面白いんだけど、体は要するに感覚の操作によって自分を動かしているんだけどさ、俺らが思う意識とか意思とかは別にそうした感覚の操作に関われる代物じゃなくてあくまで結果でしかないんだけど、そうしたときに言語はその操作に関われる物理的な実体を持つんだよね。言語は外界に存在する物体の一部で、それを見たり想起することで感覚操作の方向付けの役割を果たしてくれる訳よ。人間から飛び出してるんだよな。言語は人間の機能によるものなんだけどね。言っちゃえば人体も物理的なんだけどね。でも面白いよね。こうした循環しているようで循環してないけど割と循環している構造がまた面白くてややこしくもあるんだよなあ」

 「ちょ(笑)、意味分からん意味分からん(笑)。俺にそういうことを熱弁するな(笑)」

 「へへっ」

 「ああしかし今時間どんくらいだろう……ああ、まだ時間あるな。まだ何か食べ物とか頼むか?」

 「ビールもう一丁」

 「おいおい飲み過ぎんなよ(笑)。まあ俺も人の事言えんけどなぁ。ほれ、そのボタン押してくれ」

 「ビール一丁」

 「声かけるんじゃなくて(笑)。しょうがねえな、俺が押してやる、よっこいしょ、おっとっと」

 「ビール一丁」

 「はいはい(笑)。わかったわかった(笑)。お前酔っぱらうと面白いな(笑)」

 「へへっ(笑)」


 「しかし、漫画の制作に関わるようになってなおさら思うんだけどさ、ほんとネットはクズが多くてさぁマジで」

 「クズだよなクズ。くずくずくずくずくずくずくずくずくズ。でも、ちゃんとした批判してくるんなら良いんじゃない? てかお前も批判してたじゃん?」

 「まあそうだけどね? そうだけどそういうことじゃなくて……ちゃんとしてないクズみたいな批判の方が多いんだよなあ、ネットにはさ」

 「へえそう……」

 「正論っぽいのは見かけたことあるよ。ぽいのね。でも、借り物っぽい程度の物がほとんどじゃん。おまけにやけに断定的だし、建設的な意見じゃなくて、批判したいだけのクズの非生産的な意見ばっかりだしさぁ。中にはただお前が気に入らんだけだろって意見も多いよ」

 「まあ、母数が大きいからね。目につくのは、そういう意見ばっかかも知らんね」

 「本当、見てて腹立つだけだもん。勝った負けただの、お前ら何の勝負してるんだってな。匿名で、何時間も費やして。しかもけんかは最後まで残ってれば勝ち。しょうもねえクズどもばっか」

 「まあ、しょうもないよな。そこはそう思うな」

 「そうそう、現実世界でさぞかしうだつがあがってないクズみたいな奴らなんだろうなあってマジで思うよ」

 「いやそれは知らんけどさ、お前っていうか俺達が言えることかも分からんよな」

 「それな(笑)」

 「まあな、ネットを見るとな、批判ばっかだからな」

 「そうそう、現実じゃ言えないことを言ってるからな。ネットばっかやってると悪口が当たり前になる。昔と比べて、ネットやってる現代人は性格悪くなってるんじゃねぇかな? それくらいマジでクズ多いし」

 「うん。いやでもね、そういうことって、現実でも同じことが言えるんだよなあ」

 「ん?」

 「いやネットのせいじゃなくてさ、人間は優越感と劣等感の奴隷だからさ、元から性格が悪くなるように作られてるんだよな」

 「何言ってんの?」

 「いやいや(笑)。簡単に言うとさ、誰だって誰かに勝てたら気持ちいいし、誰かに負けたら死ぬほど悔しいだろ? テストとか、スポーツとか、果てはゲームでもソシャゲでもパチンコでも」

 「どうした急に(笑)」

 「そういう気持ちって、四六時中纏わりついてくるし、食欲みたいなのと違って、明確に満たされるものでもない」

 「だから、人間って、社会や学校ではいつも優越感や劣等感を意識して生活せざるを得ないんだよ。脳みそが勝手に周りの情報を受け取って、優越感や劣等感を勝手に生み出し続けてくる」

 「例えば学校でテストがあったとして、良い点数を取れたら優越感を感じるし、自分より良い点数を取ってる奴を見たら劣等感を感じるだろう?」

 「もしかしたらそうじゃないって奴もいるかもしれない。まあスポーツとか別の強みがある奴はその程度が浅いかもしれないね。でも、大体の馬鹿は合理化の積み重ねで、劣等感を誤魔化してるに過ぎないんだよな。相手は頭の出来が違うから負けてもしょうがない。自分は勉強をサボってたから負けても当たり前だ。はいはいあの人は勉強できててすごいでちゅね~。ていうか別にテストで勝負していないし、勉強なんか出来てたってしょうがない、大事なのはコミュ力で、そういう奴が社会で成功するんだってね」

 「そうやって負けてる事実を誤魔化してるんだよ。皆上手に誤魔化してるけどさ。まあでも自覚はあるよね(笑)。点数悪いことに劣等感感じてるよね(笑)。そういうの表に出したくないよね(笑)。劣等感とか感じたくないよね(笑)。うん。負けてるよ? で? だからどうしたの(苦笑)? みたいな(笑)。この「負けてるよ?」って良い方気持ち悪いよな(笑)。だからどうしたって笑い飛ばしたいのすけすけ(笑)。でもその気持ちわかるよ、わかるわかる(笑)。隠しててもわかっちゃうよ(笑)」

 「酔うと良く喋るなお前(笑)。いやまあでも、あーコミュ力とかは実際大事だろ」

 「まあね。そこは逆に置き換えても良いかな。コミュ力があったって、学力が無いと社会で成功できないってコミュ力ある奴を見下したりね。ありがちだね。そういう人間は顔が良くないんだよなぁ(笑)。学力しか自分を肯定してくれない(笑)。はぁ頭良い奴と会話したいわー俺の知的好奇心を分かち合ってくれる人間と会話したいわー。このちょっと理解しにくい領域での会話をしてくれる人間が欲しいなーって、これはテンプレ過ぎるね(笑)。でもその気持ちもわかっちゃうんだよなぁ……(笑)」

 「わかっちゃうのか。ていうかお前ひねくれてるなあ……勉強せんでも、世渡り上手じゃなくてもさ、まっとうにリアルを楽しんで生きてる奴はたくさんいるんだぞ?」

 「うん、でもね。馬鹿学生の多数はそうだし、顔が悪いガリ勉の多数も同じなの。同じ行動原理なの。こんなのはほんの数例であってね。そもそも優越感とか劣等感は人間の根底にあって切り離せないものなんだよ。人の在り方へ密接に関わって、どんなに誤魔化しても始終湧いて出てくる感情なんだよ。純粋な感情だけで生きてる奴なんていやしないんだよ。自分の思考の全てが劣等感と優越感に突き動かされてるんだよ」

 「うーん……?」

 「いやだってそうでしょ。日頃自分の優越感や劣等感について深く考えてみると良いよ。ほとんどの行動指針や思考指針が、それらの感情に基づいてるって気付くと思うよ。もちろん、それは合理化に埋もれて、自覚しにくいように出来てるけどね。やっぱり気付きたくないんだ、皆(笑)。劣等感にまみれた人間ってそれだけでイメージ悪いもんなぁ(笑)。合理化できなかった……薄汚いところがばれちゃった……で? みたいな(笑)。だからどうした(笑)。開き直りと言う力技てきな防御(笑)。それとか論点ずらして仲間パワーで自己防衛する奴(笑)。取り繕いたがるし認めたくないんだよなぁ」

 「あー、お」

 「例えばだけどさ、例えばお前はさっきネットにいる奴らを批判してたけど、どうしてそんなことをする必要があるの? もしかしてさぁ義憤とかそういう風に思っちゃってる? でも俺以外の誰が聞いてる訳でもないし、それって自分の鬱憤を晴らしてるだけだよね? 誰かを貶めて自分を上にしようとしてるだけじゃない? それで優越感を得ようって訳じゃん? 俺にそれをわざわざ聞かせるってのも何かねえ? 俺に同意して欲しいの? それでまた優越感得ようってわけじゃん。それって卑怯じゃない? ねえ?」

 「いや、単純にむかついたから愚痴っただけなんだが。何か、ひねくれすぎじゃねえの、お前。ねちねちねちねち、ああ、いや、愚痴ったのは悪いと思うけど」

 「いやまあ、とにかく、ここで大事なのは、優越感や劣等感を感じるシステムが、とんでもなく柔軟で複雑だっていうことなんだよ」

 「誰かに勝ったら優越感を感じる、誰かに負けたら劣等感を感じる、それは当たり前なんだけどさ、その判断の境界がものすごく曖昧なんだよ」

 「誰だって、いつも勝てるとは限らない。むしろ、負けてばかりの馬鹿はたくさんいる。そういう奴はどうなると思う? どうしたって優越感は得られない。脳みそはどんどん劣等感を生み出す。でも、脳みそは便利だからな、自分が生き残るように、それはもう都合がいいように、偏りに偏った優劣の信号をどんどん発信するんだ。曖昧な境界を利用してな。評価基準は人それぞれで、自分が勝ってるとか負けてないとかあれこれ自分ルールを作りながら生きてるんだよね。俺は負けてない! 負けてない! 負けてない! むしろ勝ってる! それが、現代のネットに強く現れてることは否定しないね。同調や持ち上げはネットでは多いしとても重要なことだね。批判や攻撃も多いね。そういうのってネット世界で優越感の獲得と劣等感の回避を求める欲望が先鋭化した結果なんだよ。つまり、現実世界で果たされない欲望のことな。劣等感ばっかりで優越感が満たされないゴミみたいな奴がネットに入り浸るんだよなぁ(苦笑)」

 「何かよくわからんくなってきたな……ていうかお前、大丈夫か? 酔ってる? 顔赤すぎね? てか」

 「大丈夫、大丈夫。で、話しを戻すけど、そういう負けてばかりの負け犬は現実を捻じ曲げて自分の優越感を生み出すのね。ありがちなのは、ある存在に自分を重ねる、まあ俗に言えば自己投影をするとか、あとは自分の周りに小さなコミュニティを形成するとか、ってことな。要は、群れていきがる奴とかは、数による優越感と自分ルールの適用の両方で粋がってるんだよな(笑)」

 「自己投影の例を挙げると、大きなスケールで言えば、民族意識かな。あとは、宗教とか国民意識とか、それより小さなスケールで言えば、自分の属してる会社、大学、高校とか、あとは人それぞれの頭の中にある都合のいいコミュニティの概念に投影な。そういったコミュニティの中で、それらの価値に自分を見出すんだよ。俺は○○の人間やぞ~ってな。ほら、民族意識や宗教のせいで、散々人が死んでるだろ? その原動力が優越感や劣等感な訳よ。移民がどうたら、他宗教がどうたら、やれ日本は素晴らしい、○人がどうした、日本の伝統工業がどうたら、全部が全部、自国上げで他国下げな(笑)。下げられたら自分の劣等感に関わるからメッチャ怒る(笑)。TVでだって、日本を褒めてれば一定数の中年や底辺は喜んで見る訳よ(笑)。他に自分を肯定できるものないのかねぇ(笑)。そういうのほんと好きだよな日本人(笑)。小さなスケールで言えば、東○生がどうたら、世界○○位、学歴がどうたら。馬鹿の学歴コンプはほんと酷いよな(笑)。馬鹿ゆえに劣等感が酷いんだ(笑)。劣等感むき出し(笑)。で、他人事みたいに低学歴を馬鹿にしたがる(笑)。劣等感丸出し(笑)。その分本当に学歴高い奴は気持ちいいんだろうけどさ。まあこれもそれも全部全部、優越感とか劣等感に基づいてるのね。自分ではないけど、自分が属してる集団。その集団が認められればそれは自分の優越感になる。逆に、認められなければ、自分の劣等感になる。しかも大事なのは、自分が何もしてなくても、属していると認識できればこれができることなんだ。いい大学に入れない馬鹿でも日本に属してればそれなりの優越感を得られるんだよな(笑)。合理化はもちろん忘れない、愛国心愛国心(笑)。人間の頭って本当に都合がいいよな(笑)。もしくは、普段日本貶してる奴が棚上げで都合の良いときだけ日本人ぶることもあるよ(笑)。同じ日本人が活躍すると嬉しい(笑)。日本が褒められると嬉しい(笑)。こういうのは馬鹿に多いけどな(笑)」

 「さらにしょっぼいスケールで言えば、有名人(笑)とかな。ああ、あとは、自分のお気に入りのアーティスト、アニメ、漫画に投影とかな。俗に言う信者とかアンチとかの集団で、お前がさっき言ってた奴な(笑)。お気に入り以外を攻撃して自分のお気に入りの価値を高めようってな。確かにしょうもない。そうじゃなくても自分が応援する理由を綺麗に合理化して、堂々と作者とか作品とかに自己投影してるわけだな。売上とか人気とか見て喜ぶ訳だ。よそで褒められてても嬉しい(笑)。俺のひいきの先生(笑)が褒められてる(笑)。自分のことのように嬉しいなぁ(笑)。はーざっこ(笑)」

 「はあ?」

 「ああしょうもなくても汚いとは言わないよ(笑)。人間だれしもそういうものだからね(笑)。ちなみに、話ずれこむけど、どうして合理化する必要があるのかって言うと、自分が浅はかな人間でないって思い込みたいという、これまた劣等感に従った防衛機構によるものなんだよな。ほら、ぱっとしない奴ほど、自分が道徳的な人間だって思いこんでるだろ? 自分が道徳的であるって、結構な優越のステータスなのよ。道徳的じゃないDQNな奴をやたら叩いたりする奴いるじゃん? ああいうのは、自分の道徳性に縋るしかないしょうもない奴なんだよね(笑)。まあそれほどじゃなくても、悪いことするにも悪いことを振り返るにも、あれはしょうがないんだって理由が欲しいだろ? 要するに、高尚な自分でいたいし、そのままでいれば浅はかに道徳から優越感を得られるんだよ。まあ、ステータスと言っても、そもそも道徳なんて、誰それが必要上作り出した共通概念に過ぎないんだけどね。同じ例で言えば、文化が違う同じじゃない奴を見下したりできるのも、そういう同じ世界観の奴らが掲げている共通の概念によるものなんだよなぁ(笑)。でも、そういう観点から言えば逆にDQN共の共通概念は、そういう道徳性から外れた鬼畜(笑)な行いなんだよなぁ(笑)。皆同じ、コミュニティの価値観によるものなんだよな。だから要はどのコミュニティに属するかってことが大事なんだけどね。道徳性によりもたらせられる価値が他人への攻撃によってもたらせられる価値に追い越されたら、人間は平気で人を攻撃できるようになるんだ。ブレーキよりアクセルの方が強いわけだからね。でもだからといって、それが酷いという価値観は、道徳性による価値を信じてる人の中だけでしか通用しないんだ。俺達が思っている常識は合理化と多数の人間の共有によって補強されているだけで、案外そこまで強固な物ではないんだ。時と場合によって、あっという間に蹴落とされる代物なんだ。まあ、だからといって、それが必要とされるのが社会で生きるってことなんだよね。あとはまあ、どうでもいい話だけど、コミュニティの話で言えば、同じ要領を使って、明らかな馬鹿共が遠回しに自分のことを頭いいって思いこむこともできるな(笑)。でもそこは微妙なテクニックがいるんだけどね(笑)」

 「ちなみに、言わずもがなのことなんだけど、他者を攻撃するっていう、優越感を得るための一番ポピュラーな方法があるわけだけど、これはあからさまに浅はか過ぎて、いつも合理化とセットになるね。浅はかさを隠すためにね。お前がさっきやってたみたいにな(笑)」

 「あ?」

 「で、話を戻すと、あとの、自分の周りに小さな世界を形成するのは、日本で言う出る杭は打たれる精神とか、群衆意識とか、まああらかたはさっきいったローカルな価値観によるコミュニティがそうなんだけど、でも分かりやすいのが、学校とかでよくあったよなあ? 要はグループで独自の価値観を作るっていうのかな。DQNグループとかオタクどものグループとか女子のグループとか、あるじゃん。自分が褒められるグループを作って他人と共有するの。グループ内の価値基準で、自分を褒める。その価値基準、自分を脅かす存在、先生とか敵対グループを貶めて、相対的に自分のグループ内の価値を高めて自分を褒める。グループ作って、他人を攻撃して、グループ、自分を相対的に褒める。グループ至上主義で、必要以上に誰かを貶したり、必要以上に誰かを認めたりする。正しいのは自分の所属するグループだけだから。劣等感を喚起させる存在は全て敵。グループ内で撃退。撃退できなければ迎合する。女子とかがそれ顕著なのはなんでだろうな、ああでもこういうのなんでもかんでも男女で区別しちゃうのも偏見で、偏見は優越感を生み出すありがちな手段なんだけど、まあそれは置いといて。要は仲間を募って、自分に都合の良い自分ルールをいろいろ補強しつつ、その恩恵にあずかろうって訳だな。仲間の見つけ方は、中学校では簡単だな。自分と同じような奴は簡単に見つけられる。集団でいじめだって、起こしやすいよな。でも、一部の高校や大学では難しい時もあるよ。周りが道徳心(笑)を身につけて、いじめカッコ悪いって価値観の元で行動してる場合があるからな。でも、そういう時でも大丈夫! まずは、話が合いそうな奴と趣味の話で盛り上がって仲間意識を植え付けよう! そいつができそこないで劣等感にまみれてるとやりやすいぞ! まあ、できそこないすぎたら駄目なんだけど(笑)。まあ話の合う奴がいなくてもさ、コミュニケーション能力は慣れだからね、仲間にするのは簡単だよね。だって優しくすればいいんだもん。自然な優しさは慣れで身につけられるんだよなあ(笑)。で! あとはそこら辺のトロそうな奴を見つくろって、悪口の粗探しをするんだ! さりげなく悪者扱いするのもいいぞ! そこで、陰で悪口を叩こう。さっき仲間意識を事前に生やした奴にも何とかトロ男に向かって悪口を言わせよう! トロ男を粗探しして適当な悪意を一緒に浴びせかけよう! 正当な理由で段々と強く貶そう! そこで楽しく悪口が言えるようになったらもう大丈夫! 君たちは同じ穴のムジナだ! 趣味はトロ男いじめです(笑)。憂さ晴らしに丁度良いんですよぉ(笑)。なんて、ああ、浅ましい浅ましい(笑)。高校時代にそんなことやってる奴らいなかったっけ?」

 「まあ、そんなこんなでさ。今までのお話で言った通りさ、そんな人間ばっかりだったらさ、性格悪いのもしょうがないよね? 浅ましすぎるよね? でも、生まれながらの勝ち組なら、性格良くなれるかもしれないね。何かしらのアイデンティティというのを持ってると、浅ましいことをせずとも生活できるからね」

 「でもさあ! そんな奴死んでほしいよな(笑)! やっぱさあ、ネットって必要なのよ! 匿名で、世界とつながってるって、凄いよな! 自己投影しまくり! 好きなだけ攻撃できる! 匿名だから俺関係ない! 皆上からの立場だ! 正論吐くの楽しい! 自分の意見垂れ流すの気持ちいい! 誰かを叩くの楽しい! ゴミカスを攻撃するの気持ちいい! 寄ってたかって論破するの楽し過ぎる! 説教するの楽しい! 糾弾するの気持ちいい! 反撃される心配しなくていいの安心! 自虐するの気持ちいい! 皮肉を言うと賢い気分! ネットにいると落ち着く! だってお前らがいるからぁ(笑)! ていうか一方的に攻撃できるの気持ちいいいい! ウフフフフフフアハハハハハハハイヒヒヒヒヒヒヒヒヒ! くっだらねえ(笑)。だから、現実でうだつが上がらない、んだってなあ? なあ? 可哀想だよ、そんなことしないと生活できないんだから(笑)。ああくだらないくだらない。くだらない奴らだよなあ……………………………………(笑)」

 「……で? お前はそのくだらない奴らを見下してると。くだらね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ