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しかし思い返すほどにあのヒョロ男はカ○だなと思うんだ。
何がカ○か、たくさんカ○な点が散見できて、もうどうしようもないほどにカ○だったな。
最初に言えるのはアレだな、自分の無能さを周りのせいにしてるのが最高にカ○だな。カ○(笑)。
授業に出ないのは教師のせい(笑)。決して自分のやる気とか頭の悪さとかそのせいじゃない(笑)。教え方が悪いんですぅ~ってな(笑)。
さらにコミュ障には辛いですわとかなんとか開き直って自分を擁護していたのには驚いた。まさか自分がカ○であることをアピールして、グループワークにまともについていけないことへの正当化を図ろうとは、いやさすがカ○だな。カ○。どんな正当化だカ○よ(笑)。
奴がカ○カ○暴言ばっかりなのはきっと自身の劣等感の表れだろうな。余裕が無いんだ。おっと、俺も人の事を言えないな。
余裕が無いのはおそらく優越感を得られる機会が極端に少ないからだろうな。精々、ああして仲間と会話(笑)するくらいなんだろう、好き勝手できるのは(笑)。その暴言によって得られる優越感はどれくらいなんですか(笑)?
思えば可哀想な奴だよあのヒョロ男は。グループワークでは人と会話できない、大学生活で目立った活躍が出来ない、いつまでもうだつの上がらない生活しかできない、まあそこはいいんだけどね俺も同じだからね、でもその鬱憤を内弁慶の別口でしか晴らせないのは哀れだと思うわ。
アニメを馬鹿にするのも誰かを馬鹿にするのも自分の優越感の為。まるで生ゴミの汁を主食に生きているようなものだ。
救えないのは、ちょっと立ち上がって手を伸ばしたところに食べ物があるのに、それを意図的に無視して目の前の生ゴミの汁で満足しようとしているところだ。確かにその食べ物は取りようによっては少し取りづらいかもしれない。しかし奴はあっさりとそこから逃げている。普通の人間にとっては何でもないことでさえ逃げている。ただただ楽な方向へ逃げているのだ。決して、自分の劣等感と向き合おうとしないのだ。こうして勇気が寝たきりの病人の足のようにやせ細るのだ。
どうして目の前の食べ物を無視するのか、生ゴミの汁こそが至高の食べ物だと思っているのか、あの食べ物は腐ってるのだと思い込んでいるのか、あえて生ゴミを食べる自分が尊いと思っているのか、あるいは何も考えないようにしているのか。そうこうしているうちに、食べ物は本当に腐って消えてしまうと言うのに。無料をありがたる奴筆頭の我が国民性を否定する訳でもないが、それに群がる意地の汚さは改めた方がいい。少しの投資費用にも耐えられない精神性はみっともないの一言に尽きるだろう。
まあこれについては人の事を言えないのだが、自覚症状のあるなしは重要だと思う。
あのヒョロ男は自覚症状がないせいで、周りの世界が見えずに、本当に自分の世界が唯一で自分が世界に認められた存在だと思いこんでしまっている。公共の施設で平然とぎゃあぎゃあ醜態をさらしている時点で、もう末期だ。そこから抜け出すのはきっと厳しい。あるいは、早めに壁にぶち当たることで、それが荒療治になるか。
それは就職活動になるのかな? まあ、あの調子だと、耐えきれずに落ちぶれていきそうだがね。
そもそも就職活動で重要な事を奴は分かっているのだろうか? 俺も分からないが、それでも考えることはできる。
例えばヒョロ男のあの開き直り、勉強できない、俺はコミュ障だから、とかああ言う感じの。あんなのは論外だろうな。無能をアピールしてどうするのだろう。
まあ難しいことが出来ないのはしょうがない。それを言い訳にすることも時としては許されることもある。それで自分を慰めることもいい。だがそれはアピールすることではないのだ。しかも開き直ってどうするのだ。
周りができないことをできてこそ有能なのだというのに。就職活動で君は何をアピールする気なんだい? 無能を開き直って、それで通じるのは君が生きてきたその世界だけしかないんだ。そこをわかっているのかい? ヒョロ男よ。
繰り返すが生きていれば困難なことも嫌なこともどうしようもないこともある。だから、仲間内で愚痴を言うのも、むかつく教師を貶して自分を慰めるのも、まあなくはない。みっともないけどね。
でもそれがいつまでも通用するなんてことはあるわけないだろう。現実と向き合わないでいたら、直に詰むだろう。そんなことも分からないなんてどうかしてるよ。
就職活動では自分の有能さをアピールしなくてはならない。決して今までの甘いやり方が通じる世界ではない。社会をどうやったら攻略できるのか積極的に考えなくてはいけないのだ。
別に攻略しなくても今の自分に合った、惰性の結果の、身の程をわきまえた仕事があると思うかもしれない。確かにあるかもしれない。仕事のことはよく知らんが。
しかしそんなのは問題の先送りだ。人生をなあなあで過ごしていたらどうしようもない問題もでてくる。
今ですら誤魔化そうとしてもどうしても誤魔化しきれない感情だってあるだろう? 自分の頭の悪さに対するイラつきだとか、優秀な人間に対する劣等感とか、自分の愚かしさにふと気付いた時とか、隠そうとしても無駄なのだ、そういうのは。
ヒョロ男にも、それは微かにでも自覚できていることだと思う。自覚できていなかったら、もう君の就職活動は絶望的だと思う。
大体ヒョロ男は生き方が下手くそなんだ。君の上位互換の奴を、俺はいくらでも見てきた。
人の陰口を言う時は、それに同意してくれる人にじゃないと意味が無い。だって同意してくれる人とじゃないと、陰口言ってるヒョロ男くんの道徳心がないってことで自分を下げることになるからね。共通の価値観が大事なんだよヒョロ男君よ。
仲間だって、もっと自分に似た奴を見つけないといけない。愚痴ばっかり言っていて、上の奴に嫉妬して、負け犬の遠吠えをキャンキャン唱えている奴はいっぱいいるから、そういう奴に紛れないと、君の小物臭が際立っちゃうからさ。うまくコミュニティの価値観に合わせて優越感を得ることができないし、常識外れな事を言っちゃった時に、フォローしてもらえないよ?
ああ、駄目だ駄目だ、何で俺はこんなことを考えないといけないんだろう……。こんなことをして、何か俺の得になる? ならないならないああばからしあほらし。
もし俺が良いところに就職できたら、どうなっちゃうのだろうか。
それできっとヒョロ男くんは、しょっぼいところに就職するんだろうな。いや、あの様子じゃあ就職できないかもしれないね。
同級生の就職状況ってどうやって知れるんだろうなあ。
いやいや、こんな妄想する前に自分の就職活動頑張らないと……それで頑張ったらきっとヒョロ男くんを見下せるんだろうなあ。
いやいやどうでもいいことだな。