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 最初にネットを知ったあの頃、俺は純粋な子供そのものだった。

 小学生くらいのときに、学校に存在する一室の、壁も机もなにもかもが白っぽいパソコン室で、同級生が白くてでかいデスクトップパソコンを操作しているのを、そいつの後ろか横かどこかで俺は見ていて、そいつは何やら少しエッチな画像をディスプレイに写しながら、実にニヤニヤした顔で左手のワッカに右手の指を出し入れして、俺を見ていたのを覚えている。

 まあそんなことはどうでもいいが、後は兄が何やら頻繁にいろいろな動画が投稿されているサイトをニヤニヤしながら見ていたり、もしくは怪しげなエ○サイトをニヤニヤしながら見ていたり、くだらない2c○を見ていたりしながらニヤニヤしていたのを、こうはなりたくないなあと幼心に思いつつ、頭の片隅に嫌な記憶として残していたくらいだ。もっとも、今は俺も兄と似たようなものだが。

 PCに触りだしたのはいつごろだったか、確か、兄が気まぐれにPCを俺に使わせてくれた時がきっかけだった。

 それからも兄が未使用のときにポチポチ使うようになったのだが、ネットを使うようになってからは、最初はいろいろな汚らしい記憶からくる忌避感を遊ばせながら控え目に健全なサイトを見ていたが、段々とのめり込んで、とりあえずいろいろな動画をみたり、いろいろな文字が読めるサイトを見ていたりするようになった。

 兄がいたころは履歴に気を配りながら恐る恐る使っていたが、兄がいなくなってからは履歴を気にする必要もない。だから、趣味のままにサイトを見ることができる。

 見ていたサイトはいろいろある。二次創作サイト。感想サイト。一人でこそこそ見ていたアニメや小説のあれこれの感想をネット上でみるのはとても新鮮だった。ただし賛同できない感想も多くあったが。

 まあなんのかんの俺は二次創作をもっぱら見ていたが、自分の中のキャラクター像と二次のキャラクター像とのギャップにひどいものがあって、それを受け入れると何だか作品に対するひたむきな純真さを失ってしまうような感じがあり、それを受け入れるまでに少し時間がかかったこともある。しかしじきにそうした創作もそれなりに楽しむことが出来るようになった。

 掲示板で作品について語られているのを見るとどうにもむずむずした。違うだろうと言いたくもあり共感する部分もそれなりにあった。

 しかし、やはり作品に対する攻撃的な意見には随分とイライラさせられてしまった。そういったあからさまな誹謗意見をみると一日中むかむかすることがある。思わず作品に対する興味まで失うくらいの衝撃を受けて嫌な気持ちになったこともある。

 これがネットのノリかと最初は仕方のない事だと思っていたが、あまりにも訳知り顔で、断定的で、誘導的で匿名の利点を生かした汚ならしい意見を見ると、「何がしたいのかわからない」「ワンパターン過ぎ」「ステ○」とか、そういった、余りにもイライラさせられるような、ある種卑屈に計算されたような意見をみると、段々と我慢のならない不快感が身に溜まっていくようで、なんというか、これはもう我慢ならないぞという嫌な気持ちになった。ネットのノリだからという方便を使っているのも気に入らないのだ。

 ネットに熱中する度合いに反比例して、いつの間にかTVをみる時間は減った。ご飯を食べている時ですらネットを見ていることが多くなった。実は1.0以上あった視力も悪くなった。足の筋肉が今まで以上に弱くなった。体重が減った割に肉がぶよぶよしてきた。

 そういえば、公式でネット上に最新のアニメが配信されていることもあった。一週間無料とかそんな感じのもので、それも俺はじっくりとみていた。親の目につきやすいTVじゃなくネットで好きに見れると言うのはとてもいいことだ。

 俺が今までに見たアニメの作品数はそれほど多くない。アニメを見るために深夜まで起きている気力もなし、というかやはり家のTVで見たくない。兄の持っている奴をPS○でこそこそ見ていたくらいで、後は兄がPCで見ていたアニメを自分は漫画を見ている振りをしながらこっそり後ろから覗いていたりしていただけだ。

 しかし今思うと、兄はその時PCでアニメを見ていたが、別にBDとかDVDとかを挿入していたりとかそういった操作はしていなかった。というよりは、どこかのサイトでそのアニメを見ていたようだ。

 そのサイトは公式ではなさそうで、動画は一話が何パートにも別れていた。別のサイトの分かれていない奴もあったが、まあ要するに、兄はそういう非公式のサイトでアニメを見ていたのだ。

 当時はそこら辺の知識を持っていなかったが、今は違う。俺は、そのことに気づいてからは、都市部に出稼ぎに行った兄の事を見下すような憎むような嫌な目で見るようになった。そうかそうか兄はそういう人間だったのだなと思うようになったのだ。

 どうやらネットでは○れというトレンドが存在するらしく、そして音楽やらゲームやらアニメやらをネット上に垂れ流すよく分からない人間がたくさんいるらしく、その結果として毎日毎日雲霞の如く金のない人間が集まっていろいろな商品を次々と違法に○っているらしい。兄は好きな作品は自分のお小遣いで買っていたが、それ以外は○れですましていたのだろう。まあでも、考えてみれば、兄はマシな部類だったのかもしれない。

 それはともかく、これらの違法行為はもう、俺には非常に腹立たしいことで、そうやって私腹を肥やして、一人ニヤニヤしている奴がいるのかと思うと、実に不快感がじわじわとあふれ出てきて、さらに「違法じゃないから」「情○乙」「わざわざ金払って馬鹿じゃね」とかなんとか、盗人の理屈で自分にだけ都合がいい2c○でテンプレ定番の自慢げな自己弁護を披露しているのを見ると、もうなんか、実に我慢がならないように思えた。

 どうもネットをやっているとイライラし通しで、これならやらない方がマシなんじゃないのかと思わないでもないくらいイライラしっ放しではあるのだが、しかしどうにもやめられない。

 ちなみにネットばかりしているが、そして勉強は高校と同じかそれ以下の勉強量な訳だが、それでも問題なく大学の授業の単位を取得できている。

 テストは持ち込み可だとか、授業でやった問題がそのまま出ていたりだとか簡単すぎて成績は高校以上に良かった。難しい教科も無い訳でもないが支障はなかった。

 なんかもう、ぬるすぎて正直大学を間違えたという感じは拭えなかった。テストが終わった教室で、ワイワイと騒いでいる奴らを見るとなおさらそう思った。俺はテストが終わったらそそくさと帰るのだが、そいつらはテストを行った教室でいつまでもくっちゃくっちゃべっていた。

 出来がどうとか皆出来てないから大丈夫だとか大声でぎゃあぎゃあ騒ぎ倒して実にくだらない。最初から勉強をしていれば、そんなみっともない醜態をさらさずにすむというのに。○○め。


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