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M-1  作者: パパス
第1章 サンドバッグと呼ばれた父
8/8

朝倉大鼓VS. 室戸四星③

レフェリーは動かなくなった挑戦者のもとへ重い足取りで向かっていた。

死んでいなければいいが・・・

彼は心配だった。

ゆっくりゆっくりと挑戦者に近付いていく。そして、倒れて起きようともしない、まるで死体になってしまっているような無惨な挑戦者の姿に少し同情しながらゆっくりと瞳孔の確認を行う。


ーー親父ーーーーー!! 


ーーお父さーーーーーん!!


挑戦者の家族だろうか・・・

必死にさけんでいる・・・

かわいそうに・・・

彼はもう・・・


ーー!!!!



ーーパチッ


死体が目を開けた!?


「死んでねーよ!!

ったくよーっ!!

ボコボコボコボコ好き勝手に殴りやがって・・・」


『な・・・なんと・・・!!

あれだけチャンピオンの攻撃を受けてまだ立ち上がるのかーーーーーーー!!!!』


「当たり前だーーーー!!

祭ーーーーー!!!

優子ーーーーー!!

ちゃんとお前らの声俺に届いてるぞーーーーー!!


大鼓は大きく手を挙げた。


「母さん!!!!

親父が立ち上がったよ!!!」


「・・・あの顔

昔のお父さんが戻ってきた!!」


祭は優子の発言の意味を理解した。

そして彼は確信した。

父、朝倉大鼓のタイトルマッチはここからが本番であると。





四星は立ち上がってきた挑戦者の姿にショックを受けた。

「ウソだろ・・・

俺のパンチもキックもそんなに甘いもんじゃねー!!

あんなくたばりぞこないがあれだけ俺の攻撃を受けて立てるわけがねーーーーーんだーーーーーー!!!」


現実を受け入れられず、立ち上がってきた挑戦者に渾身の一撃を見舞うためにただ真っ直ぐに走った。


今度こそ


今度こそ立ち上がれないようにしてやる


いや


違う


奴は今ここで殺してやるんだ!!!



標的との距離がどんどん縮まってくる。


ーー8メートル



ーー4メートル



めちゃくちゃ殴ってくれたな


ーー2メートル


挑戦者の呟きが四星は確かに聞こえた


殴ってくれた?

ハハッ

サンドバッグは殴るもんだ

殴られるために存在している道具を殴って何が悪い?

そもそもなんでサンドバッグのくせにリング上がってんだよ

意味わかんねーな

大体最初は攻撃してきたくせに後はなんで攻撃してこねーのか本当に意味わかんねーわ

まぁ最初のあの蹴りにはちょっとビビったけどな

てかなんかストレス解消のために試合受けたけど、なんかイライラがおさまんねーなー

さっさと試合終わらせてファンの女でも抱くかな

ん??

そういえば俺全力であのおっさんのとこに向かってるはずなのに今めっちゃ考えごとしてたぞ??

なんだ??

そういえばこういうのなんていうんだっけ?

なんか聞いたことあんな

確か、走馬と・・・


「ダメだーーーーー!!四星行くなーーーーー!!

ガードしろーーーーー!!」


ーーバシーーン!!!!!


『挑戦者の強烈な右ハイキックがチャンピオンの左頭部にカウンターとして炸裂ーーーーー!!

なんて威力だ!!!

チャンピオンの体が力なく崩れていくーーーーー!!

これが先ほどまで瀕死だった男の放てる蹴りなのかーーー!?

いや、それ以前に先ほどまで守りに徹していた挑戦者がついに反撃を開始しましたーーー!!!』


「さんざんサンドバッグ扱いして痛めつけてくれやがったなーーーーー!!」


鬼の形相で大鼓は倒れている室戸四星のもとにゆっくりと向かって行く。


立たなければ


立ち上がらなければ


俺は王様なんだ


いつものように相手を叩きのめすんだ!!


四星は立ち上がるために両手で体を浮かせようと床に手をおいた。

それを待っていたとばかりに大鼓は体を床スレスレまで反らせてそこから超低空飛行させた右拳をチャンピオンの顎めがけて一気に上昇させた。



ーーバグッ!!!


ガァッ!!



『強烈な右アッパーが必死に立ち上がろうとしていたチャンピオンを捕らえて無理やり立ち上がらせたーーーーー!!

そして、これは・・・

挑戦者朝倉大鼓の逆転劇の始まりなのかーーーーー!!!』




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