朝倉大鼓VS. 室戸四星
大鼓がリングに入場してくると、観客は盛大に野次を飛ばしてきた。大鼓は知っていた。この会場には彼のファンは一人もいないということに。
『さぁ挑戦者朝倉大鼓が今リング中央に到着しました~!
しかし会場からは野次が飛び交っております。これには挑戦者の朝倉選手は耳が痛いか~!!』
大鼓は耳を塞ぎながら初めて室戸四星と対峙した。
「ハハハッ!!
野次うるさいっすね。
なんかすんませんね、すぐに気にならなくしてあげますから!」
四声は笑いながら意地悪げな目を大鼓に向けた。ふ
「別に野次なんか好きに言わせとけばいいさ、
気にしね~から。
だがな、最後に勝つのはこのおっさんだぜ!!
わざわざ俺の為にチャンピオンベルト運んで来てくれてありがとよ!」
大鼓はそう言って笑っていた。四星もさっきまで浮かべていた笑みを消して、大鼓をにらみつけた。
「サンドバッグが調子に乗んなよ、すぐにわからせてやるさ!
そして後悔させてやるよ、俺に挑戦したことをな!」
四星はそう言うと、赤コーナーに歩いていった。
(ハハハッ、あんな挑発に乗るとはまだまだ若いな
・・・・・俺、殺されないよな!?)
大鼓も青コーナーの方に歩いていき、試合開始のゴングを待った。
「チャンピオン怒ってたわね、何を言ってきたの?」
リングの外から葵衣が尋ねた。
「別に、ただ首洗って待ってろって言っただけだ」
大鼓は両拳をバシバシと合わせながら、足踏みをした。
(優子、祭、父ちゃん行ってくるからな!
しっかり見ててくれよ!!」
「あのおっさんぜって~殺してやる、俺をバカにしやがって!」
四星は怒りの形相でコーナーのフェンスに寄りかかって大鼓をにらみつけていた。
「おいおい!あんな安い挑発に乗るなよ、相手も試合が始まればお前の恐ろしさとレベルの高さに絶望するさ、いつも通りに行け」
(俺をコケにしたことをたっぷりと後悔させてやる)
ーカーーーンー
『試合開始のゴングが今鳴り響きました~』
ゴングが鳴ったと同時に大鼓と四星は相手に向かい猛ダッシュで向かって行った。
(考えていることは一緒か)
(まずは挨拶がわりっ!!)
両者の距離が徐々に近づく。
ー5メートル
ー1メートル
両者が間合いに入った。
大鼓は左足を軸にして体を支え、腰を捻りあげ右足を四星の顔面目掛けて大きく振り抜いた。
右上段蹴り
対する四星も右の上段蹴りで大鼓の蹴りに応戦した。
バーーーーーン!!
『両者の足がぶつかり合う!!
パワーは互角か~!?
いや・・・これは・・・!?
あ~っと~!!チャンピオンがぐらついたーーーーー!!』
(・・・ぐ~っ!、
なんだ、こいつの蹴り・・・!?
ヤバい、早く体勢を・・・)
四星がぐらついた体を元に戻そうとしたのも束の間
大鼓は右上段蹴りを放った勢いそのままに、体を回転させて、左回し蹴りを四星の鍛え抜かれた岩のように硬い腹筋にめり込ませた
「がっ・・・!!」
四星は体をくの字に歪ませて後方へ大きく吹きとんでいった。
『強烈な回し蹴りーーーーーーーーーー!!
チャンピオンが吹きとばされたーーーーー!!
会場のファンは全員言葉を失っております!!』
「みたかーーーーー!!
観客共ーーーーーーーーーー!!
これが朝倉大鼓37歳の実力だーーーーーーーー!!」
大鼓は両手を高々と掲げて大きく吠えた。




