第58話:光と闇の対峙
薫の声に反応したのか、いつかと同じように闇が生まれその中から黒のワンピース姿の凛と同じように黒い裾の長いロングドレスの女性が現れる。
多分、闇樹という闇珠の一族に伝わる宝剣の精霊。その顔は、黒の長いレースのベールを頭からかぶっているせいか判別がつかない。
「凛!!お前がやったのかよ!」
疾風は、上野の姿が脳裏に浮かび思わず怒鳴りつける。
「・・・・・・・だったらどうなの?」
「!?」
凛の言葉に疾風は、言葉が詰まる。
「初めまして、凛さん。僕は、晶。地涯の・・・・・」
「知っているわ、そっちにいるのが疾風の妹の雪、そして精霊の薫と涯でしょ?」
「これは、これは。どうやら貴方はかなりの物知りなのですね」
晶は、そう言って凛の様子を伺う。
「別に。それぐらい調べれば簡単。それで、何の用なの?」
「ここ数日の事件を首謀したのは貴方ですか?」
晶は率直に疑問をぶつける。
「さぁ、どうかしら。あなたの手にしているのが闇玉である以上、私達の謀だと思われて当然だわ」
凛は、表情を変えず淡々と答える。
「確かに。でもお嬢さん。俺達から見れば出来すぎだ。なぁ?闇樹」
薫が問いかけるとそれまで黙っていた闇樹が口を開いた。
「例え真実が違っていても、それを真実だと幾人もの人間が主張すれば真実になるわ。あの時にように」
そう言うとそれまで凛の後ろに立っていた闇樹は、凛の前に立ち、するどい声をあげる。
「覗き見とは良い趣味ではありませんね。光輝の当主とうもあろう方が恥知らずにも程があります」
その言葉と同時に闇の力が黒い雷となり公園の入口を襲った。
バリッ!!
その雷を白い光の盾がはじき返し、その力を相殺させる。そして、2人の人影が現れた。
「別に覗き見をしていたわけではない。この場に介入するタイミングを計っていただけだ」