第54話:覚悟
「どうすれば邪気を祓えるんだ」
苦しむ上野の姿を見て疾風は必死に考えを巡らせる。
今までの修行や文献から得た情報を思い返すが、結局は同じ結論に辿り着く。
(・・・・・・・やっぱりやらなきゃ駄目なのか)
「疾風。一族の者として育ったのなら感染者に対して取るべき手立ては分るな?」
「・・・・・・・・分る。分るけど、でも上野さんを・・・・・・出来ないよ」
薫は再び疾風の頬を打つ。今度は拳で。
「甘ったれるな!!知り合いだからできないなど話にもならんぞ」
「でも、だからって命を絶つなんてこと」
「いいか、感染者の辿る道は二つだ。一族の者の手にかからず転生の道を閉ざされるかまたは一族の手にかかり転生を可能にするかどちらかだ」
「どっちにしろ死ぬってことかよ」
「そうだな、焔の直系が絶えてしまった以上そうなる」
「焔の直系がいたらどうにかなったのかよ」
「言っただろう、聖焔は浄化の炎だと。しかし、浄化の炎を扱うのは難しく直系でも何代かに数人だ。今の状況を考えればそれは奇跡でも起きないかぎり起こりえないことだ」
「・・・・・・奇跡か」
そう、邪に完全に墜ちる前の状態なら疾風の風で邪気を消し去ることは出来る。
しかし、上野のような状態までいってしまったら取るべき手立ては一つなのだ。
「さぁ、どうする?知り合いのあの男をお前は堕ちたままにするのか?」
薫は、疾風の目を真正面から見つめて答えを待つ。
「・・・・・・・やる。俺がやるよ」
「よし、ならば俺を手に取れ!」
薫の伸ばした手に自分の手を重ねると緑色の光があふれ、疾風の手には宝剣・嵐が握られていた。
「行くぞ!薫!!」
疾風の言葉に呼応するように、鞘から抜いた嵐からは緑色の光がその刀身を包んだ。
疾風の試練の時の始まりです。
しばらくシリアスな感じで進みます。




