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第49話:彼女の一番大切なもの

 ガラッ。

 「終わったぞ」

 薫は引き戸を開け、椿を中へと招き入れる。

 「失礼致します。あの・・・・・どうでしたか?」

 「話は出来たが、やはり天見に連なる者以外に力は貸せないそうだ。それと、お前が守りたいものは一族ではないから駄目だとも言っていた」

 薫の言葉に椿は、言葉を失う。が、すぐに苦笑を浮かべる。

 「そうですか。さすが精霊には見破られてしまいますね」

 「・・・・・・・聞いてもいいかな。椿さんの一番は何?」

 椿は、今まで見た中で一番艶やかで美しい笑顔を浮かべはっきりと言った。

 「聖様です。私はあの方に生かされた存在。その恩に報いることが一番の望みです」

 「生かされた?」

 「はい。私の母は天見の姫君や若君の乳母をしておりました。そのせいか、あの事件の後、私達は家族そろって処断されるところでした。当主一家に近い存在だったから。それを寸前で止めてくださったのが聖様。だから、私の命はあの方のものなのです」

 そう語る椿の瞳に宿る強い思いに疾風は半ば圧倒された、そして少し胸が痛む。

 椿の思いは、忠誠だけではなく激しい恋情さえも含んでいるようだったから。

 (・・・・・・・・何かショックかも。何でだ?)

 「ならば仕方ない。お嬢さんの代では諦めるのだな」

 「仕方ありません。この件はここまでということでこの後はどうなさいますか?」

 「小姫の墓参りをして帰ることにする。そうだろう?疾風」

 「・・・・・・・・うっ、うん」

 「そうですか、では私は支部の方に顔を出してまいりますので。また後ほど」

 椿は、そう言うとその場から足早に去って行った。

 その姿を見送る疾風を見て薫は、肩を叩き促した。

 「さぁ、行くぞ。・・・・・・・・初恋は叶わないものだぞ、若者よ」

 「は?何だよ、それ?ってちょっと待てよ!!」

 疾風を置いて行く薫の後姿を急いで追いかけた疾風だった。



疾風は自分の気持ちは自覚なしです。

一目惚れしていたのです。でも、すごく鈍いので気付いてないんです(笑)

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