第4話:卒業
「おはよう、疾風、雪」
「はよ。って早いなー、涼」
「おはよう、涼君」
「疾風が遅いんだよ。こんな大事な日にギリギリなんて君らしいけどね」
この涼という少年は、2人の幼馴染。というか、この山間にある隠れ里では同じ年代の人間は少ないので皆が幼馴染だが。
「僕は卒業式の答辞のチェックがあったからさ」
「そっか、さすがは元生徒会長だな?」
「全校生徒30人の生徒会長だけどね。で、2人は卒業後どうするの?」
「私は、街の高校に進学するの」
「俺は、首都の本部で修行開始。お前は?」
「僕は、東京」
「東京!?」
雪と疾風は驚きの声を上げる。
『東京』―そこは、地震が起きる前までこの国の首都だった所。そして一族に属する人間にとっては・・・・・・・・。
「あんな見捨てられた土地に、お前が?俺らの代でトップのお前が?」
「うーん、どうもね、何かきな臭いらしいんだよ。あそこ。一応、当主会の幹部付きなんだけどね」
「涼君、気をつけてね?」
「ありがとう、雪。でも、疾風こそ気をつけてくれよ。君はこの青嵐の一族の当主になるんだから、ちゃんと修行するんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・はいはい」
「疾風!!涼君の言う通りだよ。ちゃんと自覚持ってよね」
「分ってるよ・・・・」
疾風は2人の言葉にうんざりしながら体育館へと向かう。
(どいつもこいつも口を開けばそればっかり。いいかげん、うんざりだっての)
疾風は、つい心の中で愚痴る。
青嵐の一族 ―それは、天の扉の一族に属し風精をあやつることに長けた一族。その本家が、疾風の家・藤堂家である。
長男の疾風は跡取で風軍の将である父の跡を継ぐことが決まっている。
内心、どうして自分がと思う。確かに血筋で言えばそうなるのかもしれないが一族には自分よりも立派で優れた才を持つ者がたくさんいるのだ。
(涼とかな・・・・・・・。あー、考えただけでへこんでくる)
考えても仕方のないことだとそう割り切るべきなのだろうが、思春期の感じやすい少年の心には難しいのが現実であった。
「・・・・・・・・自分達の力を磨き、一族に課された使命をまっとうすべくよりいっそう努力してまいります。そして僕達に後を追うべく在校生諸君も努力していただきたいと思います。本日は、本当にありがとうございました。卒業生代表 青山 涼」
舞台中央に立った涼の言葉が終わると会場はわれんばかりの拍手につつまれる。
そして疾風達は中学を卒業した。
疾風はこの三日後、京都の本邸へと向かって旅立った。
今まで当たり前のように側にいてくれた友立ちとの別れに涙しながら。
これから彼らはそれぞれの道を進むことになります。
疾風の進む道はどんな道になるのか。
平坦でないのは決定事項ですけど(苦笑)




