第47話:呼び出し
道場へと入ると中央に祭壇がありそこには二振りの剣が飾られていた。
(・・・・・・日本刀みたいな感じだな)
「手に取るぞ、構わないか?」
「お願い致します」
薫の言葉に椿は頷く。
「さて、話をするならこっちだろうな」
薫は、銀の飾り紐をつけられた刀を手に取る。
「焔の宝剣・聖焔に宿りし、精霊・炎輝よ。嵐に宿りし精・薫の声に答えよ」
薫が唱えると薫の手から風の気が生まれ、緑色の光が聖焔をつつみこむ。
しかし、何の反応もない。
「失敗したのか?」
疾風が聞くと薫は刀を元の場所へと戻し、腕を組み考えこんだ。
(かすかにだが、気配はある。ということは、依り代は代えてはいないのか?それなのに俺の声に答えないとすると)
「椿。悪いがこの道場から出てもらえるか?焔の者の気配があると駄目なのかもしれない」
「分りました。外におりますので終わりましたら声をお掛けください」
椿は、道場の引き戸を開けると外へと出て行った。
「・・・・・・俺も出てほうがいいか?」
「いや、お前はここにいろ。何か起きても困るからな」
薫は手の平に風の気を集めるとそれを室内へと広げていき結界を創る。
「何で結界?」
「これくらいしないと奴らは出てこない。あの偏屈達は」
「口がすぎるぞ、薫!」
そんな声が聞こえたかと思うと聖焔から凄まじい火気が立ち上る。
あまりの熱に疾風は、自ら回りに結界を張り、熱を遮断した。
その火気が止むとそこには一人の男が立っていた。
「やっと出てきやがったか、炎輝」