第44話:姫という称号
「さぁ、こちらへどうぞ」
涼は、カフェスペースの個室を借り人払いをする。
雪は、先ほどまで浮かべていた笑みをすっかり取り払うとぶすっとした顔をし無言で椅子に座る。
涼は、部屋の外へ出ると3人分の飲み物を持って戻って来る。
そして雪の前に紅茶を出し、雪の後ろに声をかける。
「もうお一方もどうぞ」
その言葉に涯は姿を現す。
「よく分ったな」
「一瞬ですが地の気がしましたので。それに天牙衆には地涯の若君もいらっしゃると聞いておりました」
涯は、頷くと雪の隣の席に着く。
「さて、それでご用件とはいったいなんでしょうか?・・・・・・・雪、顔怖い」
雪は、ぎろりと涼を睨みつける。
「怒っているもの」
そんな雪を見て涼は、仕方ないなという顔をする。
「仕方ないだろう?ここは村じゃないんだから、それに元に戻したんだからいいだろ?」
「だって、涼君はお友だちなのに・・・・・・」
「お友だちねぇ・・・・・・・」
涼は、困ったように笑う。
「仕方ないよ。僕は風軍に配属されたばかりの下っ端で君は一族のお姫様なんだからさ。村を出た以上子供の頃と同じではいられないさ」
「・・・・・・・・私は疾風と違うもの。姫って言われても対して力があるわけでもないもの」
「あのね?現場で働く身の上としてはやっぱり一族の当主一家は自分達の誇りであり心のよりどころでもある。だから力が無くたって姫は自慢なの。どうだ、うちの姫はあんなに優雅で清廉な方だってね」
「・・・・・・・・諒君。恥ずかしい」
「だから、君は毅然していればいいんだよ、ね?」
「・・・・・・・努力する。ありがと」
雪は頬を赤らめながら、それをごまかすようにお茶を飲む。
そんな二人を見ながら涯は、自分がすごくお邪魔虫のよな気がするが主の命もあるのでそのまま二人を見守る。
「それで?聞きたいことって?」
「あのね、最近頻繁に起きている事件のことなんだけど」
雪にも雪の悩みがあるのです。
涯は、お邪魔虫とかしてます。