第42話:恐怖の正体
晶達はさっそく東京支部へ行くべく駅へと向かっていた。
「雪。何でさっき頭領殿から隠れたのですか?」
晶は先ほど疑問に思ったことを尋ねてみた。確かに雪は人見知りだがああいう一族の姫としての態度を求められる時は、いつも堂々としているのだ。
「・・・・・・・・怖かったの」
雪はうつむきながら答えた。
「怖い?確かにとっつきにくそうな方ではありますが、あの歳で一族の当主をされている方ですからねぇ」
「そういう怖さじゃないの。何て言えばいいのか分らないけど、一瞬すごく怖い感じがしたの」
雪も自分の行動の理由がよく分らないのか、どんどんと声が細くなって行く。
「まぁ、警戒するにこしたことはないと思います。貴方は特に」
「何故?」
晶の言葉の意味が分らないのか、雪はキョトンとした顔で晶を見ている。
「とにかくあの頭領殿には警戒をしていて下さい。でないと疾風が困ったことになりかねませんので」
本当のことを言えるわけものないので晶は適当に言葉を濁す。
「・・・・・・・・分った」
どこか釈然としない雪だったが、思慮深い晶の忠告なので素直に聞くことにする。
それから電車を乗り継ぎ、新宿にある東京支部に着くと二人は、早速行動を開始する。互いの一族の人間に話しを聞いたほうがいいだろうということで二人は、それぞれ別々の場所へと向かう。
晶は、雪から距離を取ったところで涯を呼び出す。
「涯。すみませんが、姿を消して雪に着いていってください。護衛を兼ねて」
「分った」
涯は姿を消すと雪の後を追って行く。
「さて、僕も行きますか」
二人の姿を見送ると晶は自分の一族の集まる部屋へと向かった。