第29話:再会
手紙が届いた日からすぐの週末、さっそく雪の荷物が送られてきた。とりあえず、部屋に運びこんでおく。
(荷解きは後で手伝えばいいか。って、やべぇ時間だ)
疾風は携帯を見て、あせる。
そして、財布と鍵を持って急いで駅へと走る。
何とか約束の時間まで辿り着くことが出来た。
「はーっ、セーフっと」
疾風は改札口の前の柱に背をあずけ、待つことにした。実は今日、雪が東京にやって来るのだ。
何度か人の流れが来たがその中には雪はいないようだ。そして、約束の時間から遅れること数分、目当ての人物を人波の中に発見する。
「おーい、雪!こっち!」
疾風の声と姿に気付いたのか、改札を通り小走りで雪がやってくる。
「疾風!ごめんね、乗り換えでてまどっちゃって」
「気にすんなって。荷物それだけか?」
疾風は、雪が手に持っていた小さめのボストンバックを手にとる。
「ありがとう。ほとんどの荷物は送っちゃったから」
二人は並んでマンションへと歩き出す。そして歩きながら近況報告をしあう。
「入学して落ち着いたばかりだったから驚いたわ。まぁ、当主会を通した正式な通達だから断りようがないし。それにこちらの学校には通うことにはなってるから」
「へー。大変だったな。こっちはまだ仕事はないからのんびりしてるけどな。まぁ、こないだ初めて邪気に当てられて情けない姿をさらしたばかりだけど。薫に」
「薫って宝剣の精?」
「そう。後で紹介するから」
「うん。楽しみにしてる。晶君もここにいるんでしょ?」
「ああ、夕飯一緒に食おうってさ」
疾風の言葉に雪が嬉しそうにした時だった。けたたましいサイレンの音が周囲に響き渡る。
「何これ」
雪がその音に驚いていると、続けてアナウンスが響く。
「住民の皆様。速やかに近くの建物に避難して下さい」
「雪、こっちだ」
雪の手を掴み近くのコンビニへと走る。
「何なの?」
「警報だよ、政府からの」
雪とコンビニに入り、説明している時だった、外の公園に少女が立っているのが見える。
それは以前会った、凛という少女だった。
中から見るかぎり逃げようという気配がまったくない。
「何やってるんだよ!!雪、いいかここにいろよ」
疾風は、雪にそう言い残すとコンビニの外へと出て行く。
「君!危ないよ。それにシャッター閉めるよ」
疾風に呼びかけたのは、コンビニの店員。
「すみません、逃げ遅れがいるんで。閉めちゃってください。他のとこ逃げますから!」
「気をつけるんだよ」
疾風は、凛の元へと急いで走る。
「凛!何やってるんだよ。危ないぞ」
疾風が大声で叫ぶと凛はこちらを振り返る。しかし、何故か違う方向へと走って行く。それも風精からの情報だと、騒ぎの中心地と同じ方向だった。
「何してるんだよ!!」
疾風はまるで自分から逃げるように走り去る凛を追った。




