第2話:世界の軋む音
薄暗い部屋の中、一人の少女が寝そべっていた。そして少女は床に耳をつけ、呟いた。
「聞こえる・・・・・世界の割れる音が・・・・・・・・・・」
少女が居る部屋は、家具やテレビ、その他の電化製品もない、コンクリートの打ちっぱなしの部屋、その中央で少女は、音を聞きつづけていた。この世には無い音を。
「・・・・・止められない。・・・・・もう止まらない」
少女は、床から身を起こし、この部屋で唯一の窓へと向かった。
その窓から見えるのは、ありふれた街の風景。窓から見える、大きな電波搭の明かりを少女は見つめていた。
「・・・・聞こえる、世界の悲鳴。扉の軋む音」
呟き続ける少女の部屋へ、一人の女が入って来ていた。長身のどこか、悲しい雰囲気を持った女だった。
少女は、一度振り返り女と目線を合わせるとまた、窓の外へと視線を戻し、そしてまた呟く。
「 ・・・・・時が来た。彼らは集う、その運命の元に。その先に明日は生まれるのか、それとも滅びの道 へと向かうのか」
それまで無言を通していた女が一言呟く。
「彼ら次第ではないでしょうか?」
少女は振り返り、女を見た。
そして胸元で手のひらを広げると、そこから一つの玉が生まれた。
その玉は、闇が丸くなったかのような黒い玉だった。
少女は、その玉を先ほどまで外を眺めていた窓から投げた。
玉は、落ちることなく、意思を持っているかのように、フワフワと飛んで行った。
「・・・・・彼らに幸を。」
そう呟くと少女は、部屋を出て行った。
「・・・・・・ついに戦が始まる。その果てに残るものは一体・・・・・・」
女は、そう言葉を残し、自分の主である少女の元へ向かった。
次話で主人公登場になります。
これからどうなるやら・・・・予測不能です。