第1話:少年の記憶
その日見た光景を決して僕は忘れないだろう。
原型を留めぬ程燃え尽くした車と、そして同じように生前の姿を想像することすら出来ない遺体。
これが現実では無いと僕は、必死に、必死に願った。そんな僕の願いも虚しく、無常にも告げられた叔父の言葉。
「・・・・・残念だが、遺体は三人のものだと確認された」
「・・・・・・・・・」
僕は、何も答えることは出来なかった。ただ立ち尽くした僕の両肩をつかみ叔父は言葉を続けた。
「・・聖。兄夫婦亡き今、おまえが一族の当主であり、軍の頭領だ」
「・・・僕が」
「そうだ、今のお前には酷かもしれないが、一族の結束をゆるめるわけにはいかない。その結束の象徴たるあの剣を継承できるのはお前しかいない。・・・・・当主夫妻とその娘が奴らに殺された今、奴らに隙を見せるわけにはいかん。・・・・わかるな?」
「・・・はい」
僕はその時誓った。僕の家族を殺したアイツラヲユルサナイ。何処までも追いかける。そして奴らを根絶やしにすると。
僕の目に力が戻るのを見ると、叔父は肩を叩きそして僕に在る物を手渡した。それは、妹の誕生日に僕がプレゼントしたうさぎのぬいぐるみだった。
「・・・車から投げ出されたらしい。これだけが無事だったそうだ」
ぬいぐるみを受け取ると、涙がぼろぼろと出た。こらえようとしても後から後からあふれ出てきて止まらなかった。僕は、ぬいぐるみを抱きしめて泣いた。
泣くのは最後だ。これからの人生には、涙など必要ないのだから。だから、今だけは泣こう、家族のために。
まだまだ、何のことだという感じです。
次で主人公登場になります。
登場人物の名前にルビをふってみたんですがどうでしょう?




