第17話:うちの子は・・・・
「ああ、紹介するよ。うちの一族の宝剣・不動に宿る精霊で涯だよ」
「精霊か・・・・・・ってこんな普通に人身で居るもんなわけ?」
「人それぞれ、いや精それぞれなんじゃないかな」
居間に通された疾風は、晶の側に控える男をしげしげと眺める。
「疾風の剣の精霊は?」
「さぁ?異界で契約を交わして以来会ってない」
「・・・・・・・・呼べば現れる」
「えっ?」
ぼそりと涯が呟く。
「へー、そういうもんなんだ。呼んでみれば?」
「簡単に言うなよ・・・・・・・。えっと、『薫』?」
疾風が薫の名を呼ぶと身に付けていた耳飾の石から緑の光が溢れる。あまりの眩しさに一瞬だけ目をつむる。
「やっと、呼んだか。ずいぶんとのんきな主だな?」
「本当に出てきた・・・・・・・」
ゴツ!!
疾風の一言に薫は、拳骨をくらわせる。
「痛ってーな。何すんだよ、おっさん!!」
「おっさんではない、薫だ」
「へーーーーっ、涯とはまた全然違うタイプなんだね」
「涯?居たのなら声ぐらいかけろ」
「・・・・・・・・・ふん」
薫の言葉に冷たく鼻で笑う。その様子に薫は、あきれる。
「で、そこにいるのがお前の主か?」
「初めまして。桂木 晶と言います」
「どうも。さすがちゃんとしつけがされてるねぇ・・・・・・。それに比べて俺の主は・・・・・・」
薫は横目で疾風を見て溜息をつく。疾風はと言うと、まだ頭を抱えてうめいている。
「疾風はこれで良いんです。まっすぐなままでね」
「そうなのか?」
「そうなんです」
晶は、ニコニコとしながら薫に返事をする。
そんな晶の不敵ともとれる笑顔を見て少し、いやかなり疾風を鍛えなおさないとまずいと薫は思った。
うちの主は・・・・・が正しいと思うのですが、うちの子はっていうのが心理的には合うかなと。