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第14話:出会い

 「あー、ここどこだー」

 疾風は、東京に着くなり迷っていた。書かれていた通りに電車を乗り継ぎ、自分達の住居がある最寄駅について早一時間。一向に目的地に着かないのだ。

 「これ嘘だろ。歩いて5分って」

 周囲を見渡すとつい10分前に通った公園前の道に出ていた。

 「休憩しよ」

 疾風は自販機でお茶を買うと公園にあるブランコに座った。そして辺りを注意深く見渡す。

 不自然なほどに人通りが少ない。時間もまだお昼を過ぎたばかりだ、公園という場所がら子供連れの人がいてもおかしくないはずだ。

 「・・・・・・・この土地に住まいし風精よ。我に答えよ・・・・・・・」

 疾風は、この土地に住む風精に呼びかける。が、返事はない。

 (おかしい。呼びかけに答えないなんて。というか、この辺りに風精の気配がまったくしない?)

 疾風が考えこんでいると、反対側の公園の入口から歩いてくる人影が目に入った。

 「おっ、誰か来た」

 公園に入ってきたのは、黒地にレースの縁取りがついたワンピースを着た、自分と同い年ぐらいの少女だった。

 その少女が持っていたバッグからハンカチを取り出した瞬間、強い風が吹く。

 その風は、少女の手からハンカチをさらって行く。

 疾風は、その風を操りハンカチを取り戻す。そして、少女に近づき差し出す。

 「はい、これ」

 「・・・・・・・・・ありがと」

 向かい合うとその少女の小柄さに驚いた。背は150あるかないか、薄い茶色の髪を肩まで伸ばし、毛先を巻いている。

 (お人形みたいな子だな)

 「あのさ、君ってここら辺に住んでる子?」

 少女は疾風の問いかけにコクリと頷き返した。

 「助かった!この紙の住所って分るかな?」

 「・・・・・・・この先のコンビニ前の建物」

 「サンキュー、助かったよ。じゃあ」

 疾風は、お礼を言い早速目的地に向かおうとした。すると、自分の服の裾を少女が掴んでいる。

 「あの・・・・・・・何?」

 「今、行っても辿り着かない。あと30分くらい待って」

 「どういうこと?」

 「さっき、警報がなったから」

 「警報??」

 疾風は、驚いた。街中で警報って嘘だろ?

 「警察が鳴らしたの。だから駄目。あの辺りは今空間閉鎖の処置がされているから」

 「空間閉鎖?・・・・・・結界のこと?」

 「そう。あなた、何も知らないのね。もしかして東京は初めて?」

 「ああ。今まで京都に居たから」

 「じゃあ気をつけて。あなたみたいな人はすぐカモにされるから・・・・・・。じゃあ」

 少女は、そう言うと駅の方へと歩いて行く。

 「あの!!俺、疾風って言うんだ。君は?」

 「りん

 これが、疾風と凛の出会いだった。



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