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闇を光が照らす時

作者: えかな

この時、少女はすべてを失った。

家も家族も友人も、そして夢や希望も・・・

前もそうだった。

少女が望んだものは・・・

全てくずれていく、

《お前はなにも望んではいけない》

幼い頃のおばあさん言葉を思い出す。

(わたしのせいだ。わたしが魔女だから)

少女は金色の大きな瞳に涙をいっぱいにためた。

焼け野原となってしまった村の入口で少女は昔、友人に教わった歌を悲しげに唄っていた。

「どうしたの?」

後ろから突然声がした。

そこにいたのは少女より少し年下の女の子。

「どうしてそんなに悲しい顔しているの??」

大きな黒い瞳が少女をのぞきこむ。

涙で女の子の顔がよく見えない。

「わたしねマーサっていうの。お姉チャン、お名前なんていうの?」

マーサは無邪気にたずねる。

「レイ」

少女は初めて言葉を発した。

「レイお姉ちゃんかぁ〜、いい名前ダネ。」

マーサは少しうれしそうに言った。

そして悲しげに

「レイお姉ちゃんの村も襲われたの?」

とつぶやいた。

少女―レイは今度は言葉を発さず静かに頷く。

「じゃぁ〜マーサと同じダネ・・・。」

マーサはそう言ってレイの方に手を伸ばした。でもレイはその手をよけ、悲しげにつぶ

「私には、さわらないほうがいい。」

レイの瞳は氷のように冷たくなっていた。

「?」

「私はフォレバー族・・・

呪われし一族だ!!この村も私がいたから滅びた・・・

私は何度も・・・!!?」

マーサは何も言わずにレイの手にふれた。

「マーサの村ではね、フォレバーは永遠、レイは光って意味なんだよ。」

マーサはそう言ってレイに微笑む。

一瞬だけレイの瞳が揺れる。しかし。

「だから・・・だから何?私は光なんかじゃない!!呪われた魔女だ。お前だって知ってるだろ!フォレバー族が望むものはみんななくなる・・・・・

この村みたいに。

私は何度も大切な人をなくした。。。」

レイそう言ってマーサの手を振り払う。

またレイの瞳は氷のように冷たくなっていた。

「お姉ちゃんは魔女なんかじゃないよ。」

マーサはもう一度レイの手にふれる。

「マーサね、さっきお姉ちゃんが歌っていた歌聞いてたらね、ずっと止まらなかった涙が自然に止まったの。それでね、なんだか心が暖かくなってきたんだよ。」

マーサは握った手に力をこめた。

「お姉ちゃんは魔女なんかじゃない!天使だよ!!」

マーサはそう言って今度はレイにとびついた。

そのときなにかが変わった。

闇を光が照らすように。

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― 新着の感想 ―
[一言] 短いお話でしたが、よかったです。ファンタジーよりも、童話にカテゴライズするとよいかと思います。
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