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散文

言の葉

作者: 永井晴

あらゆる言葉を知ります。すると世界はいくらか明瞭にもなるものでした。しかし今の私には気づく人などいない、巨大な蜃気楼のように思われてなりません。

ーー言葉によって認識し、言葉によって思考する。こういう文章はよくあるものです。ある種、言の葉に魅了された人達の行く果てのように思います。それ自体は貴い、プリミティブな構造です。しかし我々はこのことに於いては全く楽観的なようなのです。


私は昨夜、朦朧とした眠気の中におりました。私の脳はずっと何かを考え続けていますので、ぼやけた背景に次から次へと輪郭のない雲が浮かぶようでした。私はうんざりして、何とか思考を止めようとしました。すると言葉が無くなって、強烈な光の中に閉じ込められたような気分が確かにありました。私自身の、まさに空虚なことでした。拘束されたような、解き放たれたような、不思議な表裏を見たのです。顧みると、言葉のいかに豊潤なことと熱弁されたところで、私は何処にもいないのだと知るのです。

ーまさに夢を見し寝覚めの如し。


こうした憂いに犯される人は古今東西、私もまだ見たことがありません。言葉の限界というものを知るのか、はたまた出発なのか。何だか、またひとつ世界から一歩を引いたような気分です。ただし私について悟りやら俯瞰と言うのは、少しお気楽すぎるものです。

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