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私の奴隷はとても可愛い。〜XXXXX〜  作者: せろり
1章 ガール ミーツ ボーイ 〜そうして僕は彼女に出会った〜
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「ふぃー。集中し過ぎて流石の私もちょっと疲れたあ」


 最後の一匹の頸動脈を風で切り裂き、青狼討伐は終わった。狼と言っても四足歩行の地球にいるよくいるタイプではなく、そこは異世界。二足歩行で上半身ムッキムキの魔物だった。立派な牙の隙間からよだれを垂らし、可愛さ皆無の魔物らしい外見だったため罪悪感なく狩れた。


「よいしょっと」

「ミサキさん!」


 丘から飛び降りて、念のため倒した青狼を確認していたところ、例のAランクパーティーが戻って来た。


「お疲れー。君たちも怪我とかなかった?」

「はい! 頂いた魔石のおかげで魔力も体力も有り余ってるくらいです」

「タンクと斥候がフル活動したからぁ~むしろ私とリーダーの活躍の場なかったよねぇ」

「あんな数の魔物相手に魔力配分気にせず思いっきり魔法使ったの、久しぶりだったよ」

「…………(コクリ)」


 彼らも手練れなのであまり心配していなかったが無事を確認すると、魔石のおかげだときちんとお礼を言ってくれる。上手く行ったのは本人たちの実力なのに、先輩を持ち上げてくれるとはなんて出来た子たちなんだ。


 今回の仕事は、数が多い魔物をなるべく傷付けずに仕留めると言う仕事だったので、確実性を重視した。狙いやすいよう、周りが囲まれた低地もこの森にあったのでそれを利用した。巣穴に潜っている魔物をそこにおびき出し、そこで待ち構えていた私が上から狙い撃つ。急所に一撃で即死させるには最適な立地だった。


「こっちに来た数は十八匹だよ。合ってる?」

「うん。俺が確認した数と同じ」

「なら打ち漏れはないね」


 斥候もといツヴァイ君と認識齟齬が無いか魔物の数を確認し、ちゃんと全部仕留めたかをチェックすればおしまいだ。あとはギルドに連絡すれば毛皮を回収してくれるだろう。


「ギルドに帰ったら打ち上げしましょう!」

「お、いいね」

「リーダーナイスアイディアぁ」

「…………(コクコク)」


 今日の仕事は全員怪我一つないが、成果的には報酬がかなり美味しい。冒険者なら祝い事がある度に酒屋で飲むというのが定番で、私も今までならその例に漏れなかったのだが。


「ごめん。私は今日早く帰るよ」

「え!!」

「酒好きのミサキさんが?!」

「もしかして怪我したんですかぁ? 医者呼んできましょうかぁ?」

「…………!」


 和気あいあいとしていたパーティーの子たちが、私の一言でめちゃくちゃ心配した。いや、マジで良い子たちだね。だけど私が酒の席を断っただけでそこまで反応するのは何でかな。何だか過去の自分の酒好き具合を反省しなきゃいけないような気分になるのだが。


「いやいや大丈夫。どこも悪くないよ。……家族が待ってるんだ」


 今朝ギルドの人が迎えに来たから、心配してる気がするんだよね。リッカと魔力が繋がっているから致命傷になってない事は伝わっている筈なので、そこまで気にしてないとは思うけど。


「……ん?」


 ルカとリッカに思いを馳せていると、騒がしかったパーティーが静まり返っていることに気付く。視線を向ければ四人ともあんぐりと口を開いて驚愕していた。


「ミサキさん結婚したんですか?!」

「いつの間に??!」

「相手誰なんですかあ?!」

「……それ皆知っているのか?」


「あ……いや、結婚したんじゃなくて、家政夫とペットがいるの」


 異様な驚きようにビビりながら、言い方が悪かったかと反省する。

 ……いや、よく考えればこの反応は失礼じゃね?


「…………ああ……なるほど……」


 何故かホッとされる事に納得いかなくて頬を膨らませる。そんなに私に出会いがあるのは可笑しいですか。そうですか。まあだからルカを買ったんですけどね? あれ……否定できねぇ。


「あ、いや、意外って意味じゃなくて! S級冒険者の縁組は貴族連中とか他の有力者たちが黙ってる筈ないと思いまして!」

「……フォローありがとよ」

「いやお世辞じゃなくて本当だよ」


 冷や汗掻きながら慌てて弁解するリーダーに不貞腐れていると、ツヴァイ君が弁明に加勢する。


「まあ、そういう話が無かった訳じゃないけどさ……」


 正直、恋愛方面の出会いは無かったが、詐欺っぽい話や政略という意味でのお見合いの打診はあった。だがそれは全部妾での話だ。彼らは私の魔力や強さ、そして胎が欲しいだけという胸糞な狙いが根底にあるので全部蹴っている。そもそも一夫多妻とか絶対嫌だ。


「私もミサキさん程の相手はこないけどぉ~嫌よねぇ。数にすら入らないわぁ。あんたたちだってそうでしょぉ」

「まあそうだけど」

「冒険者はその辺後腐れなく断れるからいいよね」

「…………(コクリ)」


 私の苦い表情で事情を察したのか、後衛ことユチちゃんが同情する。そしてその言葉にうんうんと頷く男三人衆。

 彼らの様子を見るに、私やユチちゃんだけでなく優秀なAランクパーティーに所属する男性陣も権力者から()()()があるようだ。先程までの騒がしさは消え、げんなりしている。


 この世界は、男女の力関係に差はほぼ発生しない。理由は筋力は鍛えれば鍛えた分だけ上がり、その天井に男女の違いはないからだ。正確に言うとスタートラインは男の方が有利ではあるが。その代わり魔力は女の方が発現率は高い。勿論男の魔法使いも多くいるので、一概には言えないけれど。


 当然生理的な部分で違いはあるが、力が全てのこの世界では性別が理由でどちらか一方が蔑まれることはない。

 ……まあ逆を言えば力が無ければ両性とも搾取されることがあるのだが。それに力とは単純に戦闘力だけを示すものではない。まあここの説明は今は関係ないか。



メンバー紹介その2(今後出てくるか不明だけど、設定が膨らんじゃった…)

・ノーリ:冒険者の中では珍しい純朴系好青年。強くて優しいので男女共にモテる人気者だが、仲間大好き過ぎて婚期と彼女を逃しまくっている

・ツヴァイ:生意気可愛い系。根は良い子。女装はしないがどちらとも取れない格好を好む為、たまに惑わされる男がいる。本人はストレート。

・ユチ:チーム内で一番魔力量が多い。魔法と道具を扱う器用型。語尾を伸ばすが決して可愛い子ぶってる訳ではない。言動からは想像出来ないが、このメンバーに出会うまで苦労してきた。

・アルバ:無口。たまに発する一言は発言力が強め。甘い物が好き。食べ物をもぐもぐする姿を目当てに、よくお菓子をプレゼントされている隠れた人気者。

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