仮想世界に行こう! まだ準備段階
次の日、実験をしたいと河野さんから連絡が来た。
まさか、まさか、昨日の今日でできたのかな?
水着が用意できていない…
「こんにちは、河野さん」
「こんにちは、詩織さん。待っていました!」
河野さんのテンションが高いことに少しイラっとくる…
「水槽には入らないですよ!」
「今日は水槽は利用しない予定です。私としては水槽に入ってもらったほうが安全だし、攻殻◯動隊やEv◯みたいでワクワクしますが、今日は我慢します」
攻殻◯動隊やEv◯が何かを質問すると、河野さんのやる気を引き出すような気がしたからスルーすることにする。
「そうなんですか? よかった」
「今日は感覚情報の視覚の実験です。出力はとても弱くしているので問題ないはずです」
「はず?」
「問題ないです。私で実験済みですが、私では映像が見えませんでした」
「じゃ、私も見えないのでは?」
「いえ、兎さんの脳モデルに対して映像を見せることを前提にした設定ですから、私に見えなくても詩織さんには見えると思います。見えれば、鮮明に見えると思います」
「どうして鮮明に見えるのですか?」
「兎さんはメガネをしていないですよね?」
「コンタクトをして… そうか、仮想世界でコンタクトはないのですね…」
「そうです。鮮明が画像を変換して視放線に渡しているので、コンタクトやメガネは不要なんです」
視放線って脳に渡す神経だよね? たぶん…
「じゃ、私もこの方法だとコンタクトでなくてもくっきり見えるということですね。実験しましょう」
「では、MRI部屋に行きましょう」
河野さんに先導され、MRIの部屋に移動した。
河野さんは高性能MRIとは違うが似たものを取り上げた。
「詩織さん、これをつけてください。キャリブレーションをするのでちょっと待ってください」
「キャリブレーション?」
「視放線の位置を特定するためにMRIで読み取りをします。それで視放線の場所に映像を変換した情報を視放線に流せば見えるはずです。オペレーションルームに移動するのでそのままで待っていてください」
「わかりました」
河野さんは隣の部屋に移動した。
しばらくすると、河野さんの声が聞こえてきた。
「MRIで読み取りを開始します。そのままで待ってください」
私は5分ほど待たされた。
「視放線の場所は特定できましたので、これから映像を流します。どう見えているのかを説明してください。目を閉じてください。カウントダウン後に映像を流します。いいですか?」
「わかりました」
「では、5、4、3、2、1」
「何か明るいですが、映像ではないです… ん? これが映像? これは何? もしかして木? 草原に大きな1本の木が立っている。♪『この木なんの木 気になる気になる』の木? 木とわかるようになると、くっきり見え始めました」
「次にいきます」
「変わった瞬間は少し気持ち悪いです。ふらついた気がしましたが、すぐに映像の内容はわかりました。レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』ですね。いままでちゃんと見えていなかったのですね。細部まで、ものすごく綺麗に見えます! でも、気持ち悪いです。思わず前のめりになったのですが、見えているものに変化がないからなかな?」
「詩織さん、今日の試験は以上です。装置を外してください」
「わかりました」
装置を外して、机の上に置くと河野さんが入ってきた。
「詩織さん、どうですか?」
「最初は何かわかりませんでしたが、はっきり見えるようになりました」
「河野さんが何か設定を変更したのですか?」
「設定を確認しようと思っていると、映像が見えたと言われたので変更していません。映像と現在を比較してどうですか?」
私は周りを見回した。
「映像はくっきり見えすぎていて、少し現実感がないです」
「私は、見えなかったので、安心しました。第一関門は突破ですね…」
「関門はいくつあるのですか?」
「次は聴覚が関門ですが、嗅覚と触覚は脳幹や小脳が関係するので難しいですね。その後は味覚… いや、触覚では体への反応抑制が先かな… ということで関門はまだまだあります」
なんか面倒くさくなってきたなぁ。
水着が必要になるから、優佳とショッピングに行っておかなきゃ




