閑話 理人の疑念
伊織:「アルジャーノン、私と小織と理人をファンタジーエリアに転送して!」
伊織と小織と理人はファンタジーエリアの街の入り口に転送された。
伊織:「アルジャーノン、話しにくいから姿を現して!」
アルジャーノンは2速歩行の姿を現した。
伊織:「私たち、飛んでみたいの。飛ばしてちょうだい」
アルジャーノン:「ダメです」
伊織:「どうして? いいじゃない」
小織:「ねぇ。『できない』じゃなく『ダメ』なのね」
アルジャーノン:「…」
伊織:「アルジャーノン、小織の質問に答えてよー」
神木さんが現れた
伊織:「神木先生!? どうしたのですか?」
神木:「アルジャーノンに呼ばれた」
伊織:「じゃ、アルジャーノンの代わりに神木先生が答えてくれるのよね? 私たち、飛んでみたいの!」
神木:「人は飛べない。木から落ちるだろ?」
伊織:「そうね…」
神木:「では、もどろうか」
理人:「神木先生、ここは仮想世界なんでしょ?」
神木:「そうだよ」
理人:「どうやってお城や街を作ったの?」
神木:「端末で設計すればできるよ」
理人:「現実世界ではお城や街を作るには機械を使うのでしょ?」
神木:「そうだな」
理人:「仮想世界と現実世界って何が違うのですか?」
神木:「今は違う部分はあるが、現実世界とできるだけ同じにしていく」
理人:「『同じにしていく』って神木先生がするのですか?」
神木:「私と詩織さんだな」
理人:「神木先生と詩織先生は現実世界を良く知っているのですか?」
神木:「そうだな。詳しいよ」
理人:「現実世界の詩織先生はどうして動きがおかしいのですか?」
神木:「おかしい?」
理人:「口の動きと声が一致していませんよね?」
神木:「そうか? 一致していると思うよ」
理人:「…」
伊織:「神木先生、さっき『現実世界とできるだけ同じにしていく』ってことは、変更は自由自在ってこと?」
神木:「できないことはあるよ」
伊織:「例えば?」
神木:「この世界には宇宙はないから、宇宙には行けない」
伊織:「作ればいいんじゃない?」
神木:「作れるかもしれないが、行けないのに作る必要があるか?」
伊織:「行けばいいんじゃない?」
神木:「他に作るべきものが多くあるから、そちらが優先だな」
小織:「あのぉ。神木先生、詩織先生が街を改造しているところを見たことがあるんだけど、端末を利用していなかったけど、端末で設計が必要なのでしょ?」
神木:「アルジャーノンが代わりに端末を使っていたのではないかな?」
理人:「アルジャーノンも端末を使っていないと思いますよ」
神木:「アルジャーノンは同時に色々な場所に存在できる特殊な存在として設計している。端末を利用していないように見えるだけだ。じゃ、戻るぞ」
理人:「僕は少し運動したいから残っていい?」
小織:「私も残るわ」
神木:「わかった。伊織もどるか?」
伊織:「わかったわ」
神木さんと伊織が戻った。
伊織:「理人、何か気になったことがあるのね?」
理人:「うん… 僕も詩織先生が街を改造しているところを見たことがあるんだけど、アルジャーノンはいなかったし、詩織先生が手を動かすと街も変化していたよ」
小織:「そうね。私たちも手を動かすだけで街を改造できるのかな?」
理人:「できるかもしれない… 何か隠されている気がする… やってみるか?」
小織:「うん!」




