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詩織が知らなかったこと その2

 もしかして、ここの設備って国家機密がたくさん詰まっているのかなぁ。そんな場所に私がいていいの?


「あのぅ。千秋先生、私ってここに入室していいのですか?」

「どういう意味だ?」


「だって、ここは国の設備ですよね? しかも攻撃から守る場所って相当重要では?」

「重要度のことは良く知らないが、かなり重要な設備だろうな」


「じゃ、どうして私が入れるのですか?」

「ここの研究に協力してもらっているじゃないか」


「そうですけど… ここって部署名はなんですか?」

「部署名? 内閣…なんだっけ? どうでもいいだろ」


「覚えておく必要がないものですか?」

「対外的には秘密だから、名刺は別の部署だからな」


 河野さんが、呆れた顔で千秋先生を見ている


「河野さん、部署名はなんですか?」

「内閣情報室です」


「それだけ? その後には続かないのですか? 生命科学室は?」

「はい、それだけです。呼びやすいように部屋の名前をつけているだけで、部署名じゃないです」


 人工脳モデルって対外発表しているけど、国の設備での研究を対外発表していいの? どういう仕組みか気になったので質問してみた。


「人工脳モデルを対外発表しましたけど、国の設備での研究結果ですが、いいのですか?」

「国の設備での研究は国家機密以外は発表されるものだよ。建前はな」


「じゃ、人工脳モデルは国家機密ではないのですね」

「光量子コンピュータは民間と国が協力して開発しているので発売はするだろう」


 民間? それって開発にお金を出したということもあったから、もしかしてお父さんの会社?


「民間ってもしかして、私のところですか?」

「そうだ、一ノ瀬グループだな」


「光量子コンピュータを発売したら、ここ以外でも人工脳モデルを作れるのでは?」

「作れるだろうな。でも、高性能MRIはここにしかないし、詩織もいない」


「私!?」

「高性能MRIでも脳のマップを作るのに、詩織以外なら2年近くかかる」


「じゃ、光量子コンピュータで人工脳モデルを作っても再現できないということですか? 再現できないから、脳モデルが嘘という話がネットで出ているのですか!?」

「そうだ。脳モデルを作るため、長年、人の脳をMRIで解析した結果を利用して実現したとしている。詳細は企業秘密としているから問題ない」


「そうなのですか…」

「対外的にはそれでいいかもしれませんが、ハッキングは増えています」


「そう!河野さん! 気になっていたのですよ、ハッキングですよ。どうしてここがハッキングされるのですか? 対外発表した一ノ瀬グループにハッキングするのでは?」

「もちろん、一ノ瀬グループへのハッキングも増えているはずですが、国家事業として光量子コンピュータを開発していることは知れています。チップの納入先はここが最大です」


「納入先やお金の流れを外部情報から調べることは難しいと思いますよ」

「さすが経済学部ですね」


「光量子チップの開発工場に出入りするトラックをすべて追っかけているので可能なようですよ」

「すべてですか?」


「はい。軍事監視衛星を使って、どこからどこに運んだのかがわかります。そして、工場に出入りするトラックの車体の沈みの変化で運び込んだ資材の量と出ていく製品の量の推定までしているようです」

「トラックの車体の沈み込みってなんですか?」


「重い荷物を積むとトラックの荷台が下がるでしょ?」

「そうかも知れないですけど、見てわからないですよね?」


「高性能カメラで撮った画像をAIで解析できますよ」

「はぁ。すごいですね…」


「詩織さん、ここの出入り口も監視されていると考えてください。詩織さんのSPにも気をつけるように言っておいてください」

「わかりました」

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