閑話 神田さんと兎さん
「神田さん、英語や中国語や日本語の切り替えってどうしているのですか? 端末を操作していないですよね?」
「なんとなくかな」
「なんとなく?」
「端末を操作して英語や中国語に切り替えをなんども行っていると切り替えをイメージすると勝手に切り替わるよ。兎さんもしてみれば?」
「端末で操作して感覚を掴むのですね」
端末を見ながら英語、中国語、フランス語に切り替えても何もわからない…
試しに私は目を閉じて何度か英語、中国語、フランス語と切り替えてみた…
何か先の方に変化が見える?
これかな?
? 切り替わった?
これをスムーズに行うのはかなり訓練が必要だなぁ。
でも、ネット検索なんかができればものすごく便利じゃない?
言語切り替えと同じように、端末で検索を繰り返すとなんとなくこれなか?とわかった。
難しいけど、できるかも…
でもどうしてできるんだろう?
「神田さん、ネット検索もできそうな気がします。でもどうしてできるんでしょう…」
「我々の光量子コンピュータと外部は繋がっているからだろうが、わからないね」
「そうですね。もしかして、神田さんと私も同じように繋がっているのでは?」
「繋がっている可能性が高いけど、繋がっている感じはしないね。何か方法があるのかもしれないね。兎さんメールやチャットを送れば感覚が掴めるかもね。やってみてもいいかい?」
「はい。私も試してみます」
神田さんと私は相互に端末を利用してメールやチャットを送り合った。
なんとなく、わかり始めた。
すると、端末の操作は端末なんて不要なんだとわかったら、端末なしスムーズに操作できるようになった。
神田さんを見ると端末を操作していないが、チャットが届くので神田さんも掴んだようだ。
「神田さん! 端末なんていらないですね」
「そうだね。なれると自然と使えるね」
「自転車に乗れるようになった感じでしょうか?」
「そうだね。最初はハンドルをどう切るのかを意識するけど、乗れるようになるとハンドルなんて気にせず乗るからね」
「もっと前にこれができたら、ネット接続された自動車の運転はできるか?と質問された時に、できると言えたかもしれませんね」
「ここのネットワークとテスト用の自動車と接続はセキュリティ上できないだろうから無理だろうけどね」
「そうですねセキュリティがありますね… 端末なしで『考えるだけ』で使えるって、すごく便利ですよね? インタビューとかものすごく退屈な質問も暇を潰せるし…」
「インタビューで質問の内容をネットで検索するのは止めた方がいいかな?」
「どうしてですか?」
「我々の人工脳モデルとAIの違いを知りたい人が多いだろ? Chat◯PTなんかはネットの情報で学習するので、Chat◯PTと同じ回答になるかもしれないよね?」
「人もChat◯PTで宿題をしたりレポートを書いたりするんだから、同じじゃないですか?」
「そうだね。でも世間の人たちは人工脳モデルはChat◯PTやAIの画像認識と違うのか同じなのか?に興味があって、質問をしているような気がする。だから我々がChat◯PTを使うと、同じになってしまうと思う。質問されてわからないとか知らないと答えた時にコメントが盛り上がっていたよね?」
「わからないとか失敗して、たいしたことがないと思いたいからですか?」
「そういう人もいるだろうね。人は失敗するが、AIは失敗しないということで、人工脳モデルは失敗するから人と同じと考えたいからかもしれない」
「インタビューとか質問っていつまで続くのでしょうかね? 肉体が疲れることはないけど、飽きてきましたね」
「確かに似た質問が増えてきたね。特にテレビは同じ質問が多いね」
「この会見やインタビューで今後どうなると思いますか?」
「AIでは想定外の動作に弱いから、緊急時の対応とかに利用されるかもね」
「緊急時? 例えばどんなことですか?」
「そうだな。自動運転で事故は発生して動かない機能が多い場合、AIじゃうまく安全確保できない時の対応とかかな」
「そんなの人でも難しいじゃないですか? AIはものすごい速さで進歩しているのでAIで対応もできるんじゃないですか?」
「確かにAIの進歩はすごいね。千秋先生が言っていたが、本当の人だと『ものを掴む』とかの動作をした時に、どの脳細胞がどう利用されたのかを調べることは非常に難しいけど、人工脳モデルだとどこの脳細胞が活動したとか処理の流れを解析できるらしい。すると、人の脳の解析が進むと言っていたよ。すると、AIはさらに進歩するだろうね」
『神田さん、兎さん。スタンフォード大の質問時間になりましたが、問題ないですか?」と声が聞こえてきた。
「はい。問題ないです。繋いでください」




