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仮想空間の改良確認

 今日は、仮想空間の改良結果を見にいきます。


「河野さん、仮想空間を見にいきましょう」

「はい。わかりました」


 いつものようにヘッドマウントディスプレイをつけて『リンクスタート』と言った。

 いつものようにリビングが見えた。

 いつものように神木さんがソファで小説を読んでいた。


「おはようございます。神木さん。今日は仮想環境の改善ぐあいを見にきました」

「おはようございます。詩織さん。だいぶ良くなっていますよ」


 河野さんが入ってきた。


「神木さん、案内をお願いします」

「わかりました」


 神木さんはリビングを出た。あれ? 前と同じ扉? ここから外にでるの?

 神木さんは廊下の突き当たりの扉に手をかけた。


「神木さん。学校は家とは別に作るということだったのでは?」

「はい、現実の地図を基に作成しましたので、ここから1キロ先にありますが、歩くには時間がかかり、効率が悪いです。ですから、ショートカットを用意しました。そのショートカットの扉が前と同じということだけです」


「そっか。そういうところも物理制約は関係ないのですね」

「その通りです」と言いながら、扉を開けた。


 扉の先には教室があった。


「前と変わっていませんね」

「はい。教室は変更していません。音楽室に行きましょう」


 音楽室を開けると、私がピアノを弾いていたが、私たちに気づいてやめた。


「おはよう。私」

「おはよう。猫さん。設定を忘れていますよー」


「そうね。兎さん。音は変わったようには聞こえないけど…」

「音は同じで、私たちの耳の方を変更したの。だって、音は正確に録音されたデータで聞こえ方が違うのは私たちの耳の方がおかしいってことだから」


「そうなのね。でひきごごちはどう? さっき弾いていたのは『トロイメライ』ね」

「かなり良くなったわ。しらないで弾いたら、本物との区別はつなかないでしょうね」


「縦笛はどうなったの?」

「縦笛はまだです。詩織さんの協力が必要です」


「ダメですよ。河野さん、兎さんでしょ?」

「すみません猫さん。兎さんの協力が必要です」


 まだ、この設定が続いているのかという顔を河野さんがしている…


「次に行ってよろしいでしょうか? 次は家庭科室です」


 家庭科室では、ケーキとお茶のセットが用意してあったが、仮想空間では私たちが食べれない…

 いくら食べても太らないし、いろいろ食べられるなんて、すごくいいかも…


「神木さん、兎さん食べてください。そして、感想を教えてください」と河野さんが言った。


 神木さんと兎さんはテーブルに座り、ケーキを一口食べたが、微妙な顔をした。


「どうですか?」

「これはダメですね」と神木さんが言った。

「そうですね。これは美味しくないです。ケーキのどの部分も同じ味ですね。これは改善が必要ですね」


 口を直すように、兎さんはお茶を飲んだ。


「うーん。これも微妙… 本物には遠く及ばないですね…」


 神木さんも続いてお茶を飲んだ。


「私にとってはお茶ですが…」

「お茶の流体計算も香りも再現していると思いますが…」


「いえ、香りもお茶の温度変化も喉越しもダメダメです」

「兎さんにお任せします」


「私はコーヒーが飲みたいです」

「猫さんの協力が必要ですね」


「もしかして、私がコーヒーを飲む必要があるのですか? ラテじゃだめ?」

「ダメです。ブラックでお願いします」


「がんばります… ところで、私が頑張った食材の実験でここの食生活は豊かになったのですか?」

「がんばります」と今度は、河野さんが答えた。


「体育館の方は変化がありましたか?」

「バスケットはできるようになりましたが、プロはボールの触りごごちは違うと言うでしょうが…」


「これで、一通りみたのですね。ところで、真織さんは?」

「真織さんは自閉症のような症状となっており、誰の呼びかけにも応じません」


「何かあったのですか?」

「わかりません」

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