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香織お姉ちゃん、仮想空間に入る

 千秋先生は香織お姉ちゃんに連絡をとったようで、明日、香織お姉ちゃんと仮想空間の詩織に合わせるようだ。


「明人君、仮想空間の設定を頼む。詩織、ヘッドマウントディスプレイをつけて先に入ってくれ」

「わかりました」


「香織、そのヘッドマウントディスプレイをつけてくれ、明人君サポートをしてくれ、私は先に入る」


 千秋先生はヘッドマウントディスプレイをつけた。


 あ、私の家のリビングだ。こっちもリアルだなぁと思っていたら、千秋先生が現れた。


「千秋先生、こんにちは?」

「こんにちは、詩織」


「もうすぐ、香織が入ってくる。このリビングは外から観れるが、詩織の部屋は外から見れないようにセキュリティ空間としたので、安心してくれ」

「そう、気になっていたんだよね。ありがとう千秋先生」


 香織お姉ちゃんがリビングに現れた。


「これが仮想空間? ものすごくリアルだよね」

「香織お姉ちゃん、そのソファはちょっと出来が悪くない?」

「そう? 仮想空間でここまで実現できているのはすごいと思うわ」


「カンナさんがいないし、バイスちゃんもいないからちょっと寂しいね」

「そうね… リビングでは詩織の隣には必ずバイスちゃんが居るよね。詩織がいない時にしか私の隣には来ないのよねぇ」


 私はソファに座り、クッションを抱えた。


「ソファに座れるのね。私も座ってみようかな?」


 千秋先生は少し慌てた感じがしたが、香織お姉ちゃんが座るのを見て、安心したようだ。


「千秋先生は座らないのですか?」

「いや、私はこのままでいい」


「千秋先生、今日の実験は何が目的なんですか? 入れば教えると言っていましたが…」

「香織には、この空間について、違和感があるかどうかを聞きたかったんだ」


「違和感はソファの感触が違うくらいですね」

「河野さんには触感の改善をお願いしたいですね。これじゃ再現度が低いですよ。それに、リビングといえばお茶よね」


「詩織は、仮想空間でもお茶を飲みたいの?」

「リビングではカンナさんが入れてくれた紅茶を飲むものじゃない?」


「ふふ。そうね」


「香織、仮想空間から抜けてくれるか? ヘッドマウントディスプレイを外せばいいから」

「わかりました」


 香織お姉ちゃんが仮想空間から消えた。


「詩織、沙織にはまた合わせるよ。触感の改善は明人君にさせるが、他に要望はあるか?」

「ネット接続と、バイスちゃんとニャン吉に会いたいわ」


「バイスは難しいが、ニャン吉はなんとかなるかもしれない、ちょっと時間をくれ。ネット接続の方法は明人が説明に来るので待っていてくれ」

「わかりました」


「では、私は抜けるぞ」


 千秋先生が仮想空間から消えた。

 代わりに、河野さんが入ってきた。


「河野さん。こんにちは」

「こんにちは。詩織さん。ネット接続の方法を説明しに来たよ。詩織さんの部屋にMacのノートを用意したのでネットアクセスできるよ。使い方はここの端末と同じだよ。だから、私や千秋さんへの呼び出しはメールでもチャットでも可能だけど、外部へのメールやWebへの書き込みの禁止」


「ありがとう。テレビは見れるの?」

「はい。リンビングのテレビが使えます。使い方はリアルと同じです。他に要望はありますか?」


「ソファとかの感触の改善はお願いしたいです。お茶はここでは飲めないですよね?」

「ソファの触感の改善は詩織ちゃんの協力が必要だから、また相談しに来るね。で、お茶もケーキも可能ですが、時間をください。口に入れる動作との連携が難しいので…」


「時間があれば、できるんですね。すごいです。でもお茶やケーキってどうやって実現するのですか?」

「詩織さんの脳モデルを作る時にお茶とケーキを食べてもらったデータがあるので、その時のシグナルを脳モデルに入力することで再現可能です」


「もしかして、リアルの詩織がいろいろなご飯を食べたデータがあれば、ここでもご飯を食べれるの?」

「食べることができると思いますよ。かなりたいへんですが… 他の要望があれば、メールかチャットを入れてください。できるだけ対応しますが、お手柔らかに。は、私はでますね」


「はい。楽しみに待っています」


 河野さんも仮想空間から消え、私一人になった。

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