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エンジンの始動

 私たちは映像を見ながら、ロケット側がどう動くか確認していたら、千秋先生、神木さん、河野さんが現れた。あれ?千秋先生は呼んでなかったけど…


 千秋:「詩織、ちゃんと教育しておけと言っただろ?」

 詩織:「すみません」


 小織:「ごめんなさい。『ポイ』したのは私です」

 千秋:「『ポイ』とはなんだ?」


 小織:「ロケットの打ち落としです」

 千秋:「そうか」

 あれ? 千秋先生、小織に甘い? うーん。なんか納得し難い…


 詩織:「神木さん、河野さん、ロケット側の状況はどうですか?」

 神木さんは映像が気になっているようで、「その前に、この映像は?」と言って眺めている。

 それを、河野が見た。

 河野:「あっ! 変ですよこの映像」


 詩織:「ロケットの残骸が映っているだけですよね?」

 神木:「映像の角度がおかしいのです」


 詩織:「オペレーションルームで見ていた映像と違うかも…」

 河野:「そうです。違います。まず、3方向から映されています。1つはハエトリグモですが、あと2つが謎です」


 詩織:「小織、この画像は小織が出したの?」

 小織:「違います。千織ちゃんが『怖いのが来る』っていうので、『どんなの?』って聞いたら出してくれました」


 詩織:「千織、この映像はどうやって出したの?」

 千織が「どうやって? こうやって」というと、オペレーションルームの映像を出した。


 詩織:「え? どうやったの?」

 伊織:「千織ちゃんすごいわよねぇ。天才よね」

 小織:「やり方がわかれば、できますよ。ほら」

 音楽室で悠人がピアノを弾いている映像が出てきた。


 伊織:「悠人はこんな時にピアノ? のんきねぇ」

 詩織:「はぁ。頭が痛くなっちゃった…」


 千織:「だいじょうぶ? 凛ちゃんみたいに嫌なら逃げる?」

 私は大丈夫だよと思って、千織の頭を撫でた。

 そして、凛ちゃんを探したが、凛ちゃんはいっぱい人が来たのでどこかに逃げちゃったのかな…

 ん? 神木さんの足元にいて見上げている… 神木さん、いいなぁと現実逃避していると千秋先生に「詩織、どうするつもりだ?」と現実に引き戻される。


 詩織:「どうすると言われても…」

 私が困っていると、ビアンカとアンジェが現れた。


 ビアンカ:「核融合エンジンが始動している。誰が始動させた?」

 ビアンカが見渡しても誰も肯定しない。


 ビアンカ:「ここの誰でもないのか? じゃ、誰だ?」

 私もみんなを見た。

 千秋先生は考え込んでいるし、神木さん、河野さんは端末で調べている。

 うーん。今の状況を確認が大切だよね?


 詩織:「核融合エンジンが始動して、どこに向かっているのですか?」

 アンジェ:「今の航路は木星と木星のガニメデの重力を利用して加速してアルファケンタウリに向かうな…」


 詩織:「え? アルファケンタウリ?」

「怖いの来るから逃げる」と千織が言ったので、みんなが一斉に千織を見た。


 千秋:「停止するか?」

 アンジェ:「既に、アステロイドベルトを周回する経路から外れた。戻ることはできなくはない」


 千秋:「決断が必要だな」

 詩織:「ビアンカ、アルファケンタウリに到着は可能なのですか?」


 ビアンカ:「あぁ。計算上はな」

 詩織:「アルファケンタウリまでは追って来れないですよねぇ」


 ビアンカ:「おそらくな」

 詩織:「うーん…」


 伊織:「詩織先生、こことアルファケンタウリとどう違うのですか?」

 詩織:「そりゃ違うわよ」


 小織:「私たちは仮想空間で生活しているし、外に出るわけじゃないからどこでも一緒じゃないですか? 怖いのが来ない場所ならその方がいいのでは?」

 伊織:「そうね。面倒なのはいない方が楽よね」


 詩織:「本気なの? ここにいない人もいるので、みんなで話し合いをしましょう。琥珀、みんなをお城に呼び出して」

 琥珀:「わかりました」

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