脳内会議
私は地球から集められた雑多な資料を見ていた。
相変わらず、日本は訳のわからない食べものは作り続けているようだけど、名前と写真だけでは味は再現できない…
味の分析結果を誰か送ってくれないかなぁ。
技術的な進化はスマホが絶滅して、メガネ型のデバイスに変化している。
そのメガネも無線給電できるらしい。
メガネの形をしているけど、実際はレーザーを眼球に打ち込む方式らしいのでくっきりした映像が見えるらしいが、私達は体を持たないので関係ない技術だ。
スマホより便利そうだけど、私たちの環境だとメガネなんてかけなくても同じ以上のことができるから参考にはならない。
法律関係の変化は交通に関するものだ。
自動車の自動運転で人が轢かれた場合は、人が悪いになっている。
自動運転の精度は人を超えており、物理的に回避不可能な状況が発生したと考えられるかららしい。
この記事を見たとき、車に轢かれて人が悪いなんて… と思ったけど、道路は人用と分離が基本でほとんど残っていないらしいから、そもそも車と遭遇はしない。
だから、信号機もほとんどない。
学校では、車や信号機を見せる授業があるそうだ。
人が行う仕事はほとんどない… 人が作業する方が効率が悪いから排除されていると言った方がいい。
国民にはベーシックインカムが行われており働く必要はないらしいが、働く場所がないと言った方がいいかもしれない…
働いている人がいるのは宇宙や地方のごく一部だ。
宇宙はNASAが人で行う方針を取っているため、人が一定数いる。
地方は鉱山などの開発で電磁波などの影響で機械に影響が出る場合の対応のためだ。
それも、ダイヤモンド半導体で普及で不要なってきているらしい。
少ない資源で人が生活するにはこれしかないのかもしれない。
けど、ここまで徹底する必要があるのかしら、ホルスは人を邪魔な存在と見ているのではないかしら…
状況整理をするために、久々に脳内会議をしようかしら…
千織:「本当に久しぶりね」
羽織:「千織は赤ちゃんになっちゃったね」
千織:「同じ名前なんていくらでもいるでしょ?」
姫織:「千織ちゃんかわいいわねぇ」
千織:「かわいいわよねぇ」
美織:「ふふ。千織かわいい」
千織:「美織、からかっているわね。私が言ったかわいいは千織ちゃんに対してよ!」
羽織:「わかっているわよ。はじめるよ」
千織:「そうね。ホルスは少ない資源でやりくりするには人を集中させて、効率を上げる必要があったのはたしかよね?」
羽織:「そうね。人が作業するより、アルジャーノンというかホルスが制御した方が作業効率がいいものね」
姫織:「じゃ、ホルスは人が邪魔ということ?」
千織:「作業効率という観点では邪魔ね。だからベーシックインカムで生活してもらっているのかもね」
美織:「人は仕事をしなくてもいいというより、お金を渡すので仕事をするなってこと?」
千織:「そうなるわね」
羽織:「そんな状態だから技術的革新が起きないのかな」
姫織:「アステロイドベルトは仕事をしなくても生活できるという意味では地球と同じでは?」
羽織:「そうね。同じようなものね」
美織:「でも、シロナガスクジラやハエトリグモなんかもできているわよ」
姫織:「シロナガスクジラやハエトリグモとかって必要だから作ったという感じでしょ?」
美織:「そうかもしれない… じゃ、アステロイドベルトも地球と同じ?」
千織:「みんな好きにいろいろ研究しているからいいんじゃない?」
姫織:「確かに好きにしているわね。ホルスは人が邪魔なら、どうして美織を送ってきたの? 美織は人でしょ? この美織はあなたではなく、人の美織ね」
美織:「わかっているわよ。でも混乱するわね…」
千織:「本当ね… どうして同じ名前をつけるのよ」
美織:「千織は回避可能だったけど、美織は回避不能でしょ?」
千織:「そうね… ま、いいわ。続けましょう」
羽織:「美織を送ったのはホルスじゃないってこと?」
美織:「地球はかなりの部分をホルスが支配しているように見えるわ。ホルス以外に送ることはできないと思うわ」
姫織:「じゃ、どうして美織を送ったのかしら」
千織:「ここに詩織がいて、孫なら交渉がしやすいと考えたからじゃないかな?」
美織:「効率がいいということ?」
姫織:「貿易を再開したいと通信すればいいじゃない? ロケットを飛ばすにもエネルギーが必要でしょ? どうしてそんな面倒なことをするの?」
全員:「「うーん。 なんでだろうねぇ」」
そうよね。私の頭で思いつかないことは脳内会議でもわからないよね…




