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詩織の脳モデル作成

 帰ったら、沙織お姉ちゃんがいた。


「めずらしいね。お姉ちゃんがこんな時間にいるなんて」

「そうね。ここ最近は遅かったからね。詩織は千秋先生のところで何をしているの?」


「うーん。説明が難しいなぁ。何しているんだろう。話をしているだけ?」

「何しているかわかっていないの? そんなので大丈夫?」


「大丈夫なんじゃない? あ、明日は新型MRIでのデータ取得に協力するよ」

「安全なの?」


「…安全かどうかは聞いたことない。MRIは危険じゃないでしょ?」

「そうなのかしら… 千秋先生に問い合わせておくわ」


 今日からMRIの試験。ちょっと憂鬱だけど、唯一の救いはガトーショコラかな。

 MRIの試験の部屋って、じーっと見られている感じがして好きじゃないんだよねぇ。

 お姉ちゃんズはミスコンに出ても堂々としていられる人だからいいけど、私はねぇ…



 私は約束の14:00前に生命科学室に入った。

 千秋先生と河野さんは待ち構えていた…

「詩織、待っていたよ」

「こんにちは、千秋先生、河野さん」


「さあ! 試験だ!」

「…わかりました。千秋先生、テンション高いですね」

「そうか? まぁ楽しみにしていたからな」

「詩織さん、千秋さんっておかしいですよ。徹夜でデータ解析プログラムを作って新型MRIでの確認までしてこの元気なんですから…」

「明人君は若いのに元気がなさすぎるぞ」


「ちょっと待ってください。徹夜で作業していたってことは私のガトーショコラは用意していないってことないですよね?」

「心配するな。用意してある。だから試験だ」

「わかりました」


 千秋先生、河野さんと新型MRIの部屋へ移動する。

 前回と同じくゲーミングチェアと机があるが、有線のキーボードとマウスが配置している。

 モニターは映像を見せられたものを使えということかな?


 前回と同じくキャップをつけて座ると、河野さんが、キャップと接続を確認し、部屋へ移動する。


 スピーカーから、「詩織、はじめるが、いいか?」と聞こえてきた。

「はい」


「最初は前回と同じことをしてもらう。キャリブレーションだと思ってれ」

「わかりました」


 前回と同じく渡り鳥の映像から始まり、指示された動作まで同じ…


「次は幼稚園の内容から始める」

「幼稚園?」


「活動している箇所の方がMRIのデータは多いことがわかったので、できるだけ偏りなくデータを取得するには大きくなるまでの変遷を辿ることがもっとも簡単と判断したからだ」

「そうですか…」


「じゃ、映像の幼稚園の先生の指示にしたがってくれ」

「わかりました」と答えたが、後で後悔する…


 映像には幼稚園の先生が映し出された。

「さぁ。みんなー。歌を歌うよー。『むすんで、ひらいて、手をうって…』」


 突然スピーカーから、「詩織、まじめにやれ!」と怒られた。

 映像に向かって、歌うって。しかも振り付きなんて、超はずかしい…


 30分もはずかしい思いをさせられた…


 次は1年生だ。教材が運び込まれてきた。

 教科書や筆記用具はいいけど、 縦笛?ってことは音楽で吹くのね…

 で、これは縄跳びの棒だけ? あ、頭にケーブルが付いているからできないから?

 この先を想像して頭がくらくらしてきた。


 国語、算数が終わった時点で、私は休憩したい!と言った。

 すると、スピーカーから「わかった。休憩だ。だがキャップは取るな」と千秋先生の声がした。


「えー! ひどくない?」

 すると、カフェの店員のような人がワゴンを押して入ってきた。

 机の上を片付け、ガトーショコラと紅茶を置いて、出て行った。


「これが、休憩ですか?」

「そうだ。そのスイーツを用意するは結構大変だったらしいぞ」


 しかたがないなぁと思いながら、ガトーショコラを味わった。しっとりとして濃厚。いいねぇ。そして、紅茶もなかなか。


「詩織、そろそろいいか?」と私の余韻を千秋先生の声が遮った。

「はぁ。いいですよ」


 また、カフェの店員が入ってきて食器を片付けた。


 そして、理科、社会、音楽に体育まである。

 早回しのような授業が行われた。


「詩織、ご苦労様。キャップをはずしていいぞ」

「はぁ。疲れました」


「明日も14:00から実施するぞ」

「えーー! 明日もですか? じゃ、明日は、そうだなぁ」

「ピエール・エルメ・パリのサティーヌを用意するがそれでどうだ?」

「はい。よろこんで」


 この後、2週間も試験が続いた… ここまで続くなら、ちょっとご褒美はもっと豪華でも良かったかも…

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