諜報活動開始
ハエトリグモ改はウラン貨物を見つけ、ウラン貨物には6本腕のローバーがウランを取り出している映像を送って来た。
詩織:「あの6本腕のローバーは懐かしいですね。なんか、無駄に大きいですね。それに動きが鈍いですね。あんな感じでしたっけ?」
千秋:「我々のハエトリグモなどはすべて人工筋肉に変えているので、小さくても力が強い。それに繊細に動くことができるからな」
詩織:「どこから操作しているのでしょうか? 無線で操作しているのですよね?」
河野:「電波で操作はしていないようです。おそらくレーザー通信で操作していると思います。ちょっとハッキングは難しいですね」
詩織:「レーザーなんですから、直進性が強いですよね? どこから操作しているのかわかりますか?」
河野:「わかりました。ちょっと待ってください… 宇宙ステーションです」
千秋:「宇宙ステーションは経由地で実際に操作しているのは別の場所かもしれないぞ」
詩織:「あ、そうですね… でも通信内容はわからないのですよね…」
河野:「ロキに手伝ってもらったら、宇宙ステーションのハッキングも可能かとおもいますが… ロキはアンジェのところですか…」
詩織:「神木さんにお願いしましょう。神木さん、聞いていましたよね? お願いします」
神木:「わかりました」
河野さん、神木さんが宇宙ステーションを探っているが、レーザー通信の回線の容量は十分あるので、地球の放送を転送してもらった。
放送を見ていると、チャンネル数が少ない… 10チャンネルもない。
詩織:「チャンネル数が少ないですね。試験放送?みたいな画面だけのチャンネルもあるし… どうしてなんだろう…」
千秋:「放送なんて見ないようになっているからだろ? おそらく通信は災害用だろう」
詩織:「なるほどぉ。ということはネットですか? ネットは同じかなぁ。どこかに繋ぐことできないかなぁ。ん? ハエトリグモ改の映像を見てください。腕が動いていますよ」
千秋:「アンジェが動かしているのではないか?」
私と千秋がアンジェとロキのところに行った。
アンジェ:「見つかっちゃったな…」
詩織:「見つかりますよ。で、何をしているのですか?」
アンジェ:「O’Neill Cylinderは回線があるだろうから、そこから侵入するつもりだ」
詩織:「O’Neill CylinderはNASAの管理ですか?」
アンジェ:「今はわからないが、おそらくそうだろう。いまだに電気の回線を使ってくれていたから気づかれずにアクセスできると思うが、我々がコンピュータを光化したので、変換が必要になるのでちょっと面倒だな。集中するので、話しかけないでくれ」
詩織:「はい…」
私は追い出されたので、地球の放送のチャンネルをすべて変えて見てみた。
なんか懐かしい感じ…
放送の内容は音楽番組が多い。どういうこと? ニュースが主体だと思ったけど…
詩織:「千秋先生、どうして音楽番組が多いのでしょう? しかも聞いたことがある感じの音楽ですよ。音楽も変化していると思ったのですけど…」
千秋:「音楽はあまり進歩していない可能性もあるが、懐メロというものじゃないか? 我々が知っている音楽は地球の人に取れば古い曲だからな」
古い曲かぁ。自分が年寄りになった気がして、ちょっと落ち込んだ…
詩織:「ん、ということは視聴者層は古い曲を聴く人たちということですか?」
千秋:「そうだろうな」
詩織:「では、放送からはあまり情報が取れないでしょうね」
千秋:「それはわからないぞ。たまに流れるニュースからも情報は得ることができる」
詩織:「ニュースはプロパガンダがかもしれませんよ」
千秋:「プロパガンダは信じさせたい物だから、それはそれで重要な情報だよ」
詩織:「なるほど…」
私は複数のディスプレイを空中に並べてもらって、地球の放送をすべて表示してもらった。
テレビ放送局のディレクターってこんな感じ?と思いながら見ていた。
ビアンカ:「テレビ放送をすべて表示しているなんて、監視センタみたいだな」
詩織:「私はテレビ放送局のディレクターかなぁと思っていましたけど、監視センタも同じ感じなのですか?」
ビアンカ:「通信系の監視センタは緊急速報を見るためにテレビを表示していることが多いな」
詩織:「緊急速報と関係があるのですか?」
ビアンカ:「大雨や落雷、火災など、インフラに影響がある災害は通信に影響が出るから、緊急速報は確認のために表示することがあったな」
詩織:「へぇ。面白いですね。意外と関係があるのですね」
横で聞いていた河野さんが声をかけて来た。
河野:「水道局の人がサッカーの試合を見るというもありますよ」
詩織:「仕事中にサッカーなんて見ちゃいけないですよね?」
河野:「もちろん、仕事ですよ」
詩織:「どこが仕事なのですか?」
河野:「ワールドカップで日本が出る時なんかは視聴率がすごいのですよ。ハーフタイムはトイレに行く人が多いので、水圧が一度にものすごく下がるそうです。そうすると、料理なんかに使う水が出なくなっちゃうそうです。それを見越して水圧を調整するのですよ。ね、仕事でしょ?」
詩織:「それ、本当なのですか?」
河野:「水道局の知り合いから聞いたので本当ですよ」
詩織:「そんな知り合いがいるのですか? 信じられないです... それより、ハッキングはどうなっていますか?」
河野:「神木さんがやっていますよ。僕は結構忘れていましたけど、神木さんはコマンドを覚えているので任せちゃいました」
詩織:「コマンド? ということは昔のOSを使っているのですか?」
河野:「そうですね。あまり変わっていないようです」




