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ロケットの出発

 ウランを搭載したロケットを出発させる。ロケットはレールガンを利用して加速して打ち出す。ロケットの積載量は500Kgだ。ロケットの総重量は20tを超える。


 ロケットはカウントダウンに入った。

 詩織:「よく20tの重量を飛ばせますよね?」

 ビアンカ:「空母のカタパルトみたいなものだよ。問題ない」


 詩織:「あの戦闘機を飛ばすカタパルトですか?」

 ビアンカ:「そうだ。戦闘機は爆弾を積むので30tになることもあるからな」


 詩織:「へぇ。空母のカタパルトもレールガンなのですか?」

 ビアンカ:「電磁カタパルトだろうな。地球の現状を知らないから違うかもしれないな」


 詩織:「レールガンで初速はつくのでしょうけど、効果はあるのですか?」

 ビアンカ:「計算では片道1ヶ月で着く」


 詩織:「そんなに速いのですか?」

 ビアンカ:「人が乗らないからできる技だな。レーザーを使えばもっと早くできるがな」


 詩織:「どうするのですか?」

 ビアンカ:「加速するには燃料が必要だろ? 高速なロケットほど燃料の比率が高くなる」


 詩織;「そうですよね」

 ビアンカ:「ロケットに燃料を積まずに加速させることが最も効率がいい」


 詩織:「はい? そんな魔法みたいなことが可能なのですか? あ、もしかして超強力なレールガンを使うとか? うーん。でも、途中で加速なんてできないですよね…」

 ビアンカ:「燃料を補給しながら加速させればいい」


 詩織:「補給?」

 ビアンカ:「レーザーでエネルギーを与えればいい。レーザー推進だ」


 詩織:「へぇ。レーザーで加速できるのですね」

 ビアンカ:「あぁ。ソーラーセイルにレーザーを照射し、その光圧により推進する。さぁ。出発するぞ」

 音も何もなく、飛んでいった。うーん。轟音も音楽もない。


 詩織:「何の音もしないので、感動がないですね」

 ビアンカ:「そうか?」


 詩織:「何の音沙汰もない美織たちはどうしているのかしら」

 ビアンカ:「定期連絡だけだな」


 詩織:「そうなのですよねぇ。美織と上野さん以外にも人はいるのかと思うけど、出てこないのよねぇ」

 ビアンカ:「何か隠していることは確実だろうが、それがわからんな」


 河野:「ロケットは計画通りに飛行しています。詩織さんたちは何を話していたのですか?」

 詩織:「美織たちって何か隠しているよね。それは何だろう?って話」


 河野:「美織さんたちが隠していることか… 女性は隠すのがうまいからなぁ。ホルスなんですけど、ホルスかそれに準じたものは地球にいるような気がします」

 詩織:「どうしてそう思うのですか?」


 河野:「アルジャーノンは本当に優れているんですよ。従来のコンピュータは与えられた手順を正確に繰り返すことは非常に得意です。アルジャーノンは従来のコンピュータを用いることもできるし、人工脳モデルにもアクセスできるのです。これを使わないなってあり得ないです。でもアルジャーノンを束ねる存在が必要になるでしょ?」

 詩織:「束ねる存在? ここにはいないでしょ?」


 河野:「ここには私たちがいます」

 詩織:「そっか。そうすると、地球に私たちのような存在がいて、それがホルスということ?」


 河野:「そうです」

 詩織:「ホルスが地球にいそうなことはわかったわ。美織たちはどうして来たの?」

 河野さんは謎解きみたいになったようで、話が面白そうだ。


 河野:「そうですねぇ。騙したい部分以外はできるだけ本当の方が騙しやすいですね… 美織さんたちはホルスから逃げて来たと言っていましたが、実はホルスの手先という可能性は?」

 ビアンカ:「河野君、地球の情報を得ていない私たちには『ホルスは地球を救おうとしているがウランが足りなくて困っているから助けてくれ』と言えばいいだろ? どうしてそんな嘘をつく必要があるんだ?」


 河野:「そうですねぇ。美織さんたちはアステロイドベルト側が地球の情報をかなり得ていると誤解していたら?」

 詩織:「そう考えると、全部嘘だとバレるということですね。でも。仮定に仮定を重ねているので、何が正しいかわかりませんね。でも、美織の言った内容の8割ぐらいは本当と考えいた方がいいのかもしれませんね… うん。一つだけ、今の話でわかったことがあります」


 ビアンカ:「なんだ?」

 詩織:「河野さんは嘘が得意ということです」


 ビアンカ:「ふふ。なるほど」

 河野:「推理小説が好きなだけですよ!」

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