美織
河野さんは神木さんや颯人たち子供達に配置を指示する。そして、指示と動き方を決めていく。
詩織:「河野さん、指示が的確ですね」
河野:「TPSゲームのチーム戦と同じですから」
詩織:「TPSゲーム?」
河野:「TPSはThird-person shooterの略で三人称視点のゲームです。TPSにはチーム戦があって指示をすることもあるんです」
河野さんは指示で的確に動作できるように練習した。
河野:「詩織さん、準備OKです」
詩織:「では、最初のコンタクトはアンジェにお願いしますね」
アンジェは「あぁ」と言って、モンキーを操作して金属反応があった小惑星の周りを操作してから近づく。これは、偶然見つけたことを表現するためだ。
入り口ははっきりしていなかったから、探していたことは確かだけど…
入り口で航空非常用周波数で無線通信を行う。
『こちら、NASA所属の開発部です。応答を願います。Over』
応答を待った。
『お待ちしておりました。お入りください』
扉についている小さい赤いランプが緑に変わった。
え? 回答があるの? それに入れって?
詩織:「どうします? 予想外の答えでしたが…」
千秋:「モンキー1体が破壊されても実害はないから入るか」
詩織:「わかりました。アンジェ、私がモンキーを操作します」
私はモンキーを操作して、扉を開けた。
前回の小惑星と構造は同じようで、エアロックだ。私は外の扉を閉めた。
すると、『内側のロックを解除しました。お入りください』と無線が入った。
私は内側の扉を開けて中に入って扉を閉めた。
すぐに、『左のドアからお入りください』と無線が入った。
ドアを開けると重力となるようで、私はハシゴで速度を掴んで速度を調節して降りた。
そこには20歳ぐらいの女性と40歳ぐらいの男性がいた。二人ともジーンズにTシャツで宇宙とは思えないラフな服装だ。
20歳ぐらいの女性は無造作に後ろに髪を束ねている。40歳ぐらいの男性は鍛えられているようで、ガードマンのように見える。
上野さんはこちらを警戒しているようで、すぐに動ける体勢をとっているが、美織は気にしていないようだ。
この部屋にはカプセルが4つあるが、二人しかいない。残りの人は隠れているのかな?
「ようこそ。私は美織です。こちらは上野誠さんです。そちらに詩織さんはいらっしゃいますか?」と喋りかけてきた。
え? 私のことを知っているの?
「私が詩織です」と音声で返した。
「え! そうなのですね! 会いたかったです。でも機械だとちょっと不思議ですね。モニターがありますので、映像で会話できないですか? 映像転送プロトコルはわかりますか?」
映像転送プロトコル?
詩織:「河野さんわかりますか?」
河野:「わかります。セキュリティの都合上、視点を定めた方がいいと思いますので、カメラを出します」
「こちらで調整していますので、お待ちください」
「わかりました」
河野さんが、カメラを設置して「準備できました」と言ったので、私は頷いた。
「あっ。見えました。写真の通りですね」
こちらにもディスプレイのようなものを出して、映像が見えている。Web会議みたいね。
「写真? さっきも私のことを知っているようでしたが…」
「うふふ。私は孫の美織です」
「まご? 孫って私の!?」
「そうです。一ノ瀬美織です」
私はめまいに襲われた。
「おばあ様。大丈夫ですか?」
さらに、私はめまいがした。大ダメージだ… 結婚した記憶もないのに『おばあ様』かぁ。
私は気力を振り絞って「だ、だいじょうぶです… ちょっとびっくりしただけです」と答えた。
「すみません。急に孫と言ったらびっくりしますよね」
「まぁ。そうですね」
「信用できませんか?」
「…」
「おばあ様、力を貸してほしいのです」
『おばあ様』は破壊力が強すぎる…
「話を聞いてからです。そして、私のことは詩織と呼んでください」
「わかりました。詩織…さん」




