表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
403/459

詩織は温泉の夢をみるか

 衛星から送られてきた情報から、ウランが含有している可能性が高い小惑星の特定はできており、それに向かって移動する。

 移動は小惑星に打ち込んだアンカーにつながっている糸?紐?を巻き取ることで、船団を移動させる。船団は互いに紐で結ばれているので、互いにぶつからないように紐を巻き取ったり緩めたりする。

 紐を巻き取ったり緩めたりする移動アルゴリズムは優れており、スムーズに移動できるだけでなく、光量子コンピュータで動作するため、電力使用量が少なくて済むというメリットもある。


 コンピュータの光化も進めており、データベースは光コンピュータで動作できるようになった。そのため、人工脳モデルはほぼ光だけで動作できる状態になった。

 電気は貯めることは非常にコストがかかるため、貯めずに利用できるのが理想だ。

 だから、太陽光パネルの発電量と使用量を計算してトリウム溶融塩炉の稼働を調整が理想だが、必要な電力が上回ることが多い…

 今は必要な電力が上回らないようにビアンカが鉱物の精製を調整してくれている。


 詩織:「河野さん、従来の電気で動くチップって作るにもコスト高ですよね?」

 河野:「そうですね。生産するには精度が必要なので製作機械の多いです。それに製造工程が複雑です。アステロイドベルトで必要なコンピュータチップを生産し続けるには、製造機器のメンテナンスや化学プラントを維持を考えると難しいですね」


 詩織:「光化すると電気で動くチップは不要ですか?」

 河野:「必要です。パワー半導体は必須ですね」


 詩織:「パワー半導体って何ですか?」

 河野:「高電圧や大電流を制御・変換するチップです。太陽光パネルでも必要ですし、精製でも必要です」


 詩織:「じゃ、コンピュータチップは必要なのですね」

 河野:「詩織さんが言うコンピュータチップはデータセンタで計算に利用するチップも含まれているような気がしますが、ちょっと違います。ですから、製造方法も全く違います」


 詩織:「そうなのですね。ここで作っているチップって何種類ぐらいなのですか?」

 河野:「そうですねぇ。1000種類ほどでしょうか」


 詩織:「1000!? そんなに必要なのですか?」

 河野:「ものすごく少ないですよ。大量に必要で、作るのが難しいCPUとGPUの使用量は光化でかなり減りました。初期の火星のときのように実験室レベルでの作成ですめば、全体のコストは下がるのですがね…」


 詩織:「だいぶ、光化が進んできたのですよね?」

 河野:「はい。私達の人工脳モデルはほぼ光だけで動作できるようになっていますので、電気を鉱物の精製にまわせる量を増やしていますが、まだ節約する必要があります」


 詩織:「電気って鉱物の精製以外に何に使っているのですか?」

 河野:「鉱物の精製を除くと、ほぼデータセンタです」


 詩織:「データセンタって私たちが動作するために必要なのですよね?」

 河野:「そうですね。光化が進んだので、光データセンタと電気データセンタと分けて考えると、電気データセンタが95%の電力を使っています」


 詩織:「電気データセンタの電力を減らす必要がありますね」

 河野:「では、温泉の廃止ですね」


 詩織:「温泉の廃止って… 温泉に電力ってそれほどかかっているのですか?」

 河野:「はい。湯気やお湯の揺れなどに、ものすごく電力を消費します」


 詩織:「温泉をやめるわけにはいかないわねぇ」

 河野:「ダメですか…」


 河野さんは温泉がネックだと思っているようねぇ。

 詩織:「うーん。湯気やお湯の揺れの計算に時間がかかるのですよね? 小説を読んだり、夢なんかは映像が浮かびますよね?」

 河野:「そうですね…」


 詩織:「温泉の夢を見させることができれば、いいのでは?」

 河野:「どうやって?」


 詩織:「千秋先生ならわかるのでは? 千秋先生、夢を強制的に見させることはできますか?」

 千秋:「ん? なんだ? 突然に…」


 詩織:「温泉の夢を見させることができれば、湯気の計算なんていらないから電力の節約になると思って…」

 千秋:「なるほどな。夢を強制的に見せることは無理だな。まだ仕組みがわかっていない」


 詩織:「そっかぁ。無理なのですね」

 千秋:「脳をうまく騙せば、現実との区別がつかない状態は再現できる」


 詩織:「そんなことできるのですか?」

 千秋:「薬物患者は現実かどうかわからなくなることは知っているだろ?」


 詩織:「はい」

 千秋:「それと同じことが起こせれば可能だ。仮想環境だから、薬物中毒もないぞ。研究するか?」


 詩織:「結構です…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ