民間企業のロケット
颯人たちが、なぜ神木さんの速度が速いのか色々と検討しているのを横から眺めていると、琥珀が現れた。
琥珀:「詩織さん、地球からロケットが発射され、こちらに向かっています」
詩織:「こちらって、アステロイドベルトに向かっているの? 聞いていないわよ」
琥珀:「民間企業でしたので、情報が入っていませんでした」
詩織:「民間企業がアステロイドベルトにロケットを飛ばせるの? すごい技術ね」
琥珀:「O’Neill Cylinderの開発にも携わっている企業で、技術力がありますがアステロイドベルトまでの移動が可能か否かはわかりません」
詩織:「琥珀、そのロケットが私たちに接触するするつもりかわかりますか?」
琥珀:「NASAが把握している航路を見ると、ここを目指しているようです」
詩織:「そのロケットって、有人ですか?」
琥珀:「有人のようです」
詩織:「何をするつもりなのでしょうねぇ。ここでは酸素も水も採集することはできるかもしれないけど、生活できるほどは集まっていないと思うけど…」
アンジェ:「詩織、ゆったり構えているが、そのロケットは我々と接触はできないぞ」
詩織:「どうしてですか?」
アンジェ:「我々は移動するだろ?」
詩織:「あっ。そうでした。ロケットがここに到着するのにかかる日数はわかりますか?」
琥珀:「約1年です」
詩織:「1年もここに止まるわけにはいかないですね」
アンジェ:「訪問の予約なしで出発しているのだから、会えなくても仕方がないと言いたいところだが…」
詩織:「そうですね。NASAにどうすべきか連絡をとるしかないですね」
アンジェ:「そうだな。ウランの入手が最優先だろうから、ここに留まることはないと思う」
NASAに連絡をして待つ… 距離が遠いというのは非常に面倒だよねぇ、応答がなかなか届かない。
ぼけっとハエトリグモ作業を眺めていると、見事に窪んだ小惑星が見えた。まるで巻貝のように穴が空いている。変な形… 洞穴みたい。文明ができる前、人はあんな洞穴を見つけて住み始めたのかなぁ。人が住む? 住めるかも…
詩織:「アンジェ、あの小惑星って変な形をしていますね」
アンジェ;「そうだな。珍しいな」
詩織:「人が宇宙空間で生活すると太陽風などの影響があるのでしょ?」
アンジェ:「あぁそうだ」
詩織:「あの穴を利用すれば、放射線は防ぐことができるのでは?」
アンジェ:「…かなり防ぐことはできるだろうな。詩織、何を考えている?」
詩織:「あの小惑星を地球に送れば、O’Neill Cylinderの作成の手間を省けないかなぁと思って…」
アンジェ:「あれを地球まで運ぶのか?」
詩織:「無理ですか?」
アンジェ:「できなくはないが…」
詩織:「あれを回転させれば、重力ができるでしょう? それを地球の周りを回るようにすればO’Neill Cylinderの外壁の作成の手間は少ないでしょうし、隕石がぶつかってもなんとかなりそうだし… 小惑星を運ぶ時にはロケットエンジンが必要でしょうから、それを利用すれば速度調整もかのうでしょ? それに、放射能の防御力も高いという特典付きですよ」
アンジェ:「…」
詩織:「どうですか? アンジェ。 無謀ですか?」
アンジェ:「いや、無謀とは言わないが、次から次へと変なことを考えるなぁと思っただけだ。詩織のアイデアもNASAに報告するか? 我々の仕事が増えるだけだが…」
詩織:「そうかぁ。私たちの仕事が増えるか… それは面倒ですね。じゃ、こちらに向かってくるロケットは私たちが移動してここにいなくても、O’Neill Cylinderの建設に使えるんじゃないのかなぁっと連絡してあげることにしましょうか」
アンジェ:「あぁ。それならこちらの仕事は増えないな。そうするか」
変な形の小惑星の情報とO’Neill Cylinderに利用できる可能性があることNASAに報告した。
しばらくすると、NASAからウランの採集が最優先のため、ロケットを待つ必要はないと回答があった。
詩織:「ウランが切実に欲しいようですね… じゃ、移動の実験をしましょう。それにしても、糸が多いですねぇ。何本あるのですか?」
アンジェ:「3000本を超えているな」
これを制御して、動かすなんて… 人間で制御は不能よね…




