核融合の実験
アーシャのことを琥珀に調べてもらった。
資産は10億USDで、一族もかなり持っているようだ。
資産は不動資産や株式で持っているので、手元にある資金じゃない。
ま、本物の資産家のようだ。でも、すべてをO’Neill Cylinderに作成に費やすわけではないだろう。
それに、O’Neill Cylinderの作成の費用は想定が難しい。
アーシャがどうやって、人工脳モデルの情報を手に入れたかは意外と簡単だった。
NASAがお金集め?で人工脳モデル化の誘いを出した人に含まれていたからだった。
アーシャは自身を人工脳モデルにすることには興味がないため、応募しなかったようだ。
このようなお金持ちのネットワークでアステロイドベルトの状況などはかなり正確に把握しているようだ。
こちらのことを知られているのはちょっと面倒かも…
写真を見ると、かなり体のケアをしているようで、若さを保つために努力している人なのでしょうねぇと思える人だった。
ちょっと、近づきたくない…
「琥珀、アーシャ宛にO’Neill Cylinderの作成は難しいこと理由としたお断りメールの案を作って」
「これでいかがでしょうか?」
「琥珀、これを英語に翻訳して。ニアンスが伝わるといいんだけど…」
「アラブ語にする必要はないのですか?」
「いいえ、英語でいいわ。アンジェ、このメールの文面を確かめていただけますか? アーシャに断っていることが穏便に伝わりますか? なんかビジネスっぽい文章じゃないですか?」
「英語だとこんなもんだろ? 日本語がおかしいんだよ」
「そうですか… では、アーシャに失礼でないならこれで送信します。琥珀、アーシャさんにこのメールを送信して」
「わかりました」
「アンジェ、最近ビアンカを見かけないのですけど、何をしているのか知っていますか?」
「核融合の実験じゃないか?」
「核融合?」
「詩織は核融合を知らないのか?」
「詳しくはないですけど、知っていますよ。実現はできていないのですよね?」
「そうだ。だから実験しているんだろ?」
「そうですね… ビアンカの様子を見てきます」
なんか話が噛み合ってないなぁ…と思いながら、私はビアンカの場所に転送してもらった。
ここは? ビアンカの部屋? そこにはソフィア、ステファニー、マルコがいた。
「ビアンカ、いっぱい人がいますね。ここはビアンカの部屋ですよね?」
「ん? 詩織か。彼らには手伝ってもらっている」
「核融合の実験ですか?」
「よく知っているな」
「アンジェに聞きました」
「ソフィア、ステファニー、マルコも核融合の専門家ですか?」
「違うよ。ソフィアは電磁気学に強い。ステファニーは材料力学、マルコは炭素が専門だな」
「えっと、核融合と関係ないですよね?」
「すっごく関係するよ。今はカーボンナノチューブを少しずらして合わせることで超伝導にして、強力な磁場空間を作って、そこにレーザーでプラズマ化させた水素を閉じ込める。ほら、みんな関係するだろ?」
「…そうですか」
とりあえず肯定したけど、全くわかりません。
「えっと、光でコンピュータを統一するのにみなさんを呼んだような気がしますけど、ここで作業をしていていいのですか?」
「神木君とは相談しているから問題ないよ。超伝導化したカーボンナノチューブの適用で試行錯誤に時間がかかっていて、それが終わってからマルコ達に協力してもらいたいそうだ。だからそれまでは協力してもらっている」
「えっと、超伝導化したカーボンナノチューブって初めて聞きましたけど…」
「そうだったか? 作るのが面倒で最近できた」
「では、核融合はできるのですか?」
「核融合反応を起こすことは難しくない。エネルギー収支が釣り合っていないだけだ。だが、今はプラスのはずだ」
「え?じゃ、核融合発電は実現するのですか?」
「まだだな。今は数ピコ秒だからな」
「ピコ秒?」
「ピコ秒は10のマイナス9乗秒だ」
「ん? え?ものすごく短い? でも何度も繰り返し核融合反応を起こせばいいだけでは?」
「1回で壊れるから無理だ」
壊れるって… これは、先が長そうだ… アステロイドベルトの開発は滞りなく運営できているから、いいか。




