脳は不思議
アステロイドの貿易船? 貿易ロケット?が出発する。今回はアンジェとロキが地球に行く。
ヘッドハンティングが搭乗の目的だ。アンジェが言っていた『頭脳の輸入』のためだ。
地球のアンジェがすでに応募しており、審査書類は受け取っている。
対象はNASA、JAXAの職員で、審査書類は輝かしい経歴が並んでいる。
私は出発する貿易船を見ながら言った。
詩織:「いい人が来るといいですねぇ」
ビアンカ:「いい人? 経歴から選ぶから問題ないだろ?」
詩織:「仲良くできる人という意味です」
ビアンカ:「仲良く?」
詩織:「はい。仲良くです。仲良くできるかどうかを見るために、アンジェとロキが審査に行くのですよね?」
ビアンカ:「審査の基準は仲良くなのか?」
詩織:「違うのですか?」
ビアンカ:「成果が出れば問題ないだろ?」
詩織:「それはそうですけど…」
千秋:「詩織、文化の違いだから気にするな」
詩織:「そうですか… それにしても対象者ってすごい数ですね。50人はいるんじゃないですか?」
千秋:「そうだな」
詩織:「この人たちが、人工脳モデルになって同じパフォーマンスが出るのでしょうか…」
千秋:「どう言う意味だ?」
詩織:「人工脳モデルって、ハードは同じですよね? でも、頭が大きい人とか小さい人はいますよね? 頭の大きさが違うのに、同じ人工脳モデルで動かして、元の人と同じパフォーマンスが出せるのかな?と思って…」
千秋:「詩織は、男性と女性でどちらが賢いと思う?」
詩織:「どちらが賢いなんてないと思いますけど… でも、ノーベル賞の受賞者は男性の方が多いですね。女性が社会に進出できるようになったのは日本では明治? 男女雇用均等法は1980年代?でしたっけ。そう考えると機会が均等になった期間を考えると、関係ないですよね」
千秋:「知能を計ることは難しいが、平均では男女差はないと言われている。しかし、最高得点層や最低得点層は男性の方が多い」
詩織:「うーん。それって男性の方が賢いってことですか?」
千秋:「男性と女性だと男性の方が頭が大きい」
詩織:「そうですね。やっぱり男性の方が賢いのですね」
千秋:「人の脳は1.200gから1.500gと言われている。日本猿は80g、ゴリラが550gだ。物を覚えないと言われるダチョウは40gらしい」
詩織:「ということは、大きい方が賢いじゃないですか?」
千秋:「アインシュタインの脳は1,200gほどで、ロシアの文豪のイワン・ツルゲーネフは2,000gを超えていたらしい」
詩織:「え? どういうことですか? 大きさは関係ないってことですか?」
千秋:「それは、わからない」
詩織:「えー! これだけ話してわからないなんですか!?」
千秋:「あぁ。まだ解明できていない」
詩織:「あ、そうだ。男性と女性で脳梁?の太さが違うとか言われていませんでしたか?」
千秋:「それは、1982年の男性9人、女性5でのデータだ。データ量が少なすぎる」
詩織:「あれ? 男性と女性で脳の大きさが違うのですよね? 人工脳モデルってどうなっているのですか?」
千秋:「1,500gとしてモデルしている。ここにいる人はすべて同じだ」
詩織:「1,500gのモデルだと、ほとんどの人のMRIの値をマッピングできるということですか… ん? 2,000gのイワンさんでしたっけ? その人が人工脳モデルになったら? マッピングできない部分はどうなるのですか?」
千秋:「捨てることになる。だから、どうなるかわからん。イワンのデータが欲しかったな」
詩織:「千秋先生はすべての人のデータで試しそうで、怖いです」
千秋:「データがあれば、試験するのは当然だろ?」
詩織:「そうかもしれないですけど… それにしても、同じ人工脳モデルなのに、個性が出るって不思議ですよね」
千秋:「そうだな。人工脳モデルのシナプスの接続の初期状態はほぼ全てが繋がっている状態だ。そこにMRIのデータで得た、強く繋がっている情報を足しているだけだ。だから、元の人とは全く同じではないが、本人として認識している。まだまだわからないことは多い」
千秋先生でもわかっていないことがあるんだ…
千秋:「人工脳モデルでの生活での経過による変化も調べたいな。現在の地球の詩織のデータと詩織のデータを比較がよかったが、同期したのが悔やまれるな」
詩織:「千秋先生で試せばいいじゃないですか?」
千秋:「私か? そういえば、アンジェが地球に行くんだからアンジェで試すか…」
ごめんなさいアンジェ。




