火星と地球の現状レポート
私は端末の画面を非可視の状態にして火星と地球の情報を探索した。
さらに、火星の人工脳モデルのDavidとKatieのことを調べたが、あまりにもよくある名前なのでNASAでもかなりの人数がヒットした。そもそもDavidとKatieが本名かどうかもわからない。これでは、調べても意味がない。手詰まりよね…
私は切り替えて、今の火星の状況はどうなんだろう?と思って火星の現状を記載したレポートを見た。
明らかに水と電気不足だね。火星の事故で農地改良のやり直しが原因だけど、人が火星で自給自足のハードルはものすごく高いと思う。
私には無理だ。だって、地球からの食材は消費したら地球から補給するしかない。
使える食材はユーグレナとジャガイモぐらいでしょ?
ユーグレナって調べたら、中学生の時に習ったミドリムシじゃない!
食べるのに抵抗がある。我慢したとしても、食材が少なすぎる。
これじゃ、食にうるさくない人でも我慢できないと思うけど、科学的な探究心が強い志願者なんだろうねぇ… 真似はできないわ。
さらにレポートを読み進めると、火星で水や鉱物の探索も進展がない。
もとから水があまり見つかってないからねぇ。
その状況と比較すると、アステロイドベルトが如何に資源を獲得するのが容易な場所かがわかる。
火星では金属を見つけるには重機でかなり掘って、精製する必要がある。
でもここだと、スペクトル分析で目的の物質が含まれる小惑星を見つけて、シロナガスクジラで捕食して、精製すればいい。
岩石を砕かないので重機のような消耗がないだけでなく、欲しい金属はそれほど苦労せずに見つかる。
重機って意外と消耗が激しいし、メンテナンスも大変なんだよねぇ。
初期のころは以外にも岩石掘削の原因より火星の砂が原因の故障が多かったし、掘削する場所によって故障のしやすい箇所が違った。だから、重機の改良、メンテナンス計画、輸送計画と考えることが山積みだった。
でも、ここでは考えなければならないのは、シロナガスクジラも大きくするか、数を増やすべきかは悩むぐらいで、難しくない。
そう考えると、惑星での資源開発は時代遅れな気がしてくる。
火星の中国ベースの開発はちょっと進んでいるけど、大きくは変わらないように見える。農場と太陽光パネルは少しは増えているようだけど、この生産体制で100名を受け入れるって大丈夫なのかなぁ。
ん? 中国ベースの全体を見渡すと、私が小さい時に見た宇宙基地のようにみえるなぁ。それと比較してNASAの火星ベースは火星の土を利用した建物は茶色いドームが多いため、子供の遊び場みたいに見える。
一般の人から見たら、中国の方が進歩しているように見えるような気がする…
火星を離れたから、客観的に見れるようになったのかしら…
次は地球のレポートか…
工場が減った影響のため中国、東南アジア、インドの輸出量は激減しているわね。世界的な貿易量が減少しているわね。
アメリカ、欧州、日本は工場が増えても経済が良くなっていない。
スカイプラットフォームの完成やO’Neill Cylinderの開発など宇宙産業ができたけど、好景気ということはなさそうだ。
スカイプラットフォームとO’Neill Cylinderの開発はアメリカが中心で、欧州、日本の企業が参加しているが中国は参加していない。
失業率は世界中悪いわね。そのため、世界中治安も悪くなっている。
スカイプラットフォームの大気は10%以下で非常に薄いので人が生身の体で動き回ることができないので、基本はローバーが作業をする。O’Neill Cylinderもローバーが作業をする。
ローバーはアルジャーノンが操作するため、大量の人はいらない。
今はFRPや水素製造などの産業が地上で増えているが、私たちが鉱物などを提供する計画があるため、宇宙での製造に移行すると記載されている。
うふふ。私達は儲けるチャンスね。
20年後は宇宙生活者が1万人に達すると予想が書いてあるけど、スカイプラットフォームで地球から宇宙に行くコストは下がったかもしれないけどできるのかなぁ。
1万人の食糧を宇宙で生産できるの?
どのくらいの大きさのO’Neill Cylinderが必要になるんだろう…
人は肉も食べるよね? 牛や豚も飼うの?
うーん。無理じゃないかなぁと思ってレポートを読み進めると、人工肉を計画しているのね。
流石に1万人が食べる肉は年間に何キロになるのか想像ができないけど、無理よねぇ。
人工肉は3Dプリンタで肉を整形して、培養時に電気を流して、筋肉を鍛える!?と書いてある。
筋肉を鍛える? すごい発想ねぇ。歯応えができるそうだけど…
カニカマはものすごく上手くできているけど、培養なんてしていないよね?
構造で歯応えを実現した方がいいんじゃないかなぁ。
私が考えても、仮想空間の私には関係ない話だけど…
アメリカ、欧州、日本が参加している宇宙開発で産業が起きている。この状況を近くで見ている中国は焦っているから、火星に100人送り込むと考えたのかな。




