外のカインの動向
千秋先生と相談しようと思って連絡しても、火星に運ぶ生産設備の準備で千秋先生は忙しく時間をとってもらえない。
火星と地球との位置関係で出発の日程がシビアなので仕方がないけど…
あれ? 神木先生がいないじゃん。
リボン:「神木先生はどこにいるの?」
伊織:「しらないわ」
リボン:「そう… 琥珀、神木先生のところに転送して」
琥珀:「わかりました」
何?この部屋… 空中にディスプレイがたくさん浮かんでいる…
神木:「兎さん、どうしました?」
リボン:「えっと。この部屋は?」
神木:「ネットの探索の部屋です」
あれ?そんな部屋あったの? 兎さんの記憶にはあったのかな? それとも知らない?
ん? ロキじゃない。アダムがいる。
リボン:「アダムもいるのね」
アダム:「はい」
リボン:「何を調べているのですか?」
神木:「火星から調査依頼があったカインの動向や人工脳モデルが流出していないかを調べています」
リボン:「カインはどこにいるの?」
カイン:「ここにいます」
たくさんのディスプレイで見えなかった。
リボン:「えっと、聞きたかったのは外にいるカインのことなんだけど…」
カイン:「外のカインの動向はだいたい掴めました。2名が存在しており、1名とはコンタクトが取れています。自壊は2名で、イスラエルでの自壊は不十分でした」
リボン:「それが、Butlerianの製品に使われているのね」
カイン:「そうですが… そこまでご存知なんですね… その情報が中国にも流出し、火星の中国ベースにいるようです」
リボン:「中国ベースで利用されているの? もしかして、それを破壊しようとしているの?」
カイン:「動向がつかめていないカインがメインで実施しているようですが、外のカインの2人が協力しているようです」
外のカインが破壊活動をしているということは、ここのカインも同じように考えているのかな?
リボン:「あなたはどう思っているの?」
カイン:「…私ですか? 私も破壊すべきだと思っています」
リボン:「アダムと神木さんはどう思っているのですか?」
アダム:「私も破壊すべきだと思っています」
神木:「放棄してほしいは思いますが、無理でしょう」
リボン:「それは、外のカインの動向を容認すると言うこと?」
神木:「容認? そうですね。見て見ぬ振りをするということです」
なんか、大人な対応ね…
リボン:「中国の火星ベースはどういう状況か知っていますか?」
神木:「詳しくはわかりません」
リボン:「『詳しくは』ということはある程度わかっているの?」
神木:「はい。中国の火星ベースにはButlerianの製品とほぼ同じものが導入されているようです」
リボン:「やっぱり、そうなんですね。性能はわかっていますか?」
神木:「Butlerianの製品はカインの自壊を復元されたものが利用されていますが、かなり不完全です。外のカインは光量子チップで動作していません。すなわち、外の環境で動作できるように、小脳の削除とニューロンの教育動作の簡略化を行なっています。さらに自壊でニューロンの教育プログラムは自作しているようです。さらに、復元で情報が欠落していますので、ここのアルジャーノンと比較すると、かなり劣った性能です」
リボン:「ニューロンの教育プログラムって何ですか?」
神木:「ニューロンは脳細胞ですが、その脳細胞は結果が良かった場合には接続を強化し、間違った場合は接続を弱くします。この強くしたり弱くするプログラムのことです。これで学習しています」
リボン:「それが、学習… 不思議ですね、それで上手く物を見て何かわかったりするのですよね?」
神木:「そうです。あ、Butlerianの製品ですが、視覚野の復元に失敗しているようで物の判断ができないようです」
リボン:「目が見えないということ? 見えないと困りませんか?」
神木:「そうですね。かなり能力が劣ります。Butlerianの製品は人工知能で物を判別して、判断をカインの機能を使っているようです」
リボン:「かなり、Butlerianの製品の解析が進んでいるのですね… カイン達が逃げる時につかる自壊プログラムをButlerianの製品に入れたらどうなるのですか?」
カイン:「実験しましたが、自壊しませんでした。復元が不十分が原因です」
リボン:「そうなんですね… じゃ、外のカインはどうやって破壊しようとしているのですか?」
カイン:「中に潜入して破壊するしかないです」
リボン:「だから、中国の火星ベースに接近したのですか?」
カイン:「おそらくそうでしょう」
リボン:「じゃ、中国の火星ベースのButlerianの製品?は破壊できたのですね? それにしては動いているような気がしますが…」
カイン:「Butlerianの製品ではなく、従来のAIに戻していると思います」
リボン:「地球のButlerianの製品の破壊はどうなっているの?」
カイン:「イスラエルと中国のサーバの侵入に失敗しているようです」
リボン:「そう… ところで、神木さんはここで作業することが多いのですか?」
神木:「子供達は自分で勉強できますから、別で作業することが多いです」
リボン:「そうなんですね…」
子供の成長? 子離れ? 少し寂しくなったので私は部屋を後にして、森に向かった。




