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子供達の同期に対する見解

「琥珀、入手可能な図書などのデータをガラス記憶デバイスに保存して。火星に持っていくわ」

「わかりました」


 ノアの方舟みたいに、地球のすべてのデータを火星に保管するなんて理由で著作権なんて関係なしで保存できないかなぁ… 日本には出版物を国会図書館に納本する必要があるから、それを活用して人類の叡智を火星で保存なんて建前でできそうな気がする。

 うーん。これはお父さんに働きかけてもらう必要があるな。それとも千秋先生の方がいいのかな…


「琥珀、子供達のところに転送して」

「わかりました」


 転送先は教室だった。教室では机にみんなが座って勉強?をしている。

 リボン:「みんな、おはよう」

「「おはようございます」」


 リボン:「みんなは何をしているの?」

 颯人:「朝は学習の時間と詩織先生が決めましたよね?」

 みんなが怪訝な顔をする。うーん。そういえば指示したような気がする。


 リボン:「あぁ。そうね… そうだったわね。で、どんな勉強をしているの?」

 颯人:「私は行動原理学です」


 リボン:「難しいことしているのね。悠人は何を勉強しているの?」

 悠人:「私は計算機科学です」


 リボン:「計算機科学? コンピュータのこと?」

 悠人:「そうです」

 うーん。みんな難しいことしているわね…


 理人:「詩織先生、詩織先生は火星の兎先生でしょうか? それとも地球の詩織先生でしょうか?」

 リボン:「そうねぇ。よくわからないの。みんなはどう思う?」


 理人:「わかりません」

 伊織:「詩織先生は詩織先生でいいんじゃないの?」


 理人:「そうかもしれないけど…」

 小織:「私たちのコピーも火星にいるけど、同期したら私たちは消えるの?」

 子供達が考え始めた…


 颯人:「火星のコピーの元は自分で、同じなんだから問題ないだろ?」

 悠人:「元が同じというなら、私たちも同じだぞ」


 小織:「あ、そうか。そうだね。私たちはみんな詩織先生の2日目だっけ? そこからそれぞれになったのよね? ということは私たちも同期できるのか… じゃ、伊織と同期したらどうなるの?」

 伊織:「小織と同期? 融合しちゃうの?」


 小織:「詩織先生、どうやって同期したのですか?」

 リボン:「兎さんの部屋で一緒に寝たら同期したわ」


 伊織:「それだけで? 私と伊織は一緒に寝たことなんて何度もあるわよ。でも同期していないと思うけど…」

 小織:「うん。同期していないと思うわ。颯人達はどうなの?」


 颯人:「一緒に寝る? 一緒に瞑想はしたことはあるけど、一緒に寝るというこはないな」

 悠人:「そうだな」

 理人:「詩織先生、寝るとは瞑想ですか?」


 リボン:「瞑想とは違うわね。寝るとしか説明が難しいわ」

 理人:「みんなは寝ることができる?」


 伊織:「私は寝るがよくわからないわ。お風呂に入ってリラックスして横になることはしているけど…」

 小織:「私も同じね」

 悠人:「私は横にならずに座って瞑想するだけだな」

 颯人:「私は浮かんで瞑想する」


 伊織:「浮かんで?」

 颯人:「重力なしにして暗くして漂う(ただよう)ようにしている。NASAの無重力を体験してからはこれだね」


 理人:「伊織と小織は寝ているの? 瞑想なの?」

 伊織:「寝ているかなぁ。小織は?」

 小織:「私も寝ているような気がする」


 理人:「そうか。じゃ、一緒に寝ても同期するとは限らないか…」

 颯人:「詩織先生が雰囲気が少し変わったことがあったじゃん」


 悠人:「あれば、アバターを変えたからじゃないのか?」

 颯人:「アバターを変えたけど、それほど大きな変化じゃないだろ?」


 悠人:「アバターを変えれば、行動も変化すると思うぞ」

 颯人:「あの時に、実体の猫先生と兎先生が同期したんじゃないのかな?」


 リボン:「そうよ」

 颯人「やっぱり!」


 伊織:「じゃ、同期できるのは詩織先生だけということ?」

 悠人:「でも、私たちも詩織先生の2日目のデータで同じだろ? これじゃ話がループする」


 理人:「…もしかして大きな変化があると同期できないのでは?」

 伊織:「どういうこと?」


 理人:「実体の猫先生と兎先生の変化は少ないだろ? 伊織と小織は変化が大きすぎる」

 伊織:「変化?」


 理人:「伊織は伊織の意識があるし、小織は小織の意識がある。別の人物と思っているだろ?」

 伊織:「そりゃ、別よね?」


 理人:「変化が大きすぎると同期できないのでは?」

 颯人:「じゃ、火星の自分とは同期できるということか?」


 理人:「可能性があるな」

 悠人:「じゃ、コピーを作れば確かめることができるんじゃないか?」

 なるほどねぇ。私と実体の詩織とは同期できない気がしたこともこれで説明できる気がする。

 でも、危険な気がする。


 リボン:「このことは千秋先生に相談するわ。勝手に実験しないように! いいわね」

「「わかりました」」

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