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リボンの失踪? その2

 私はお茶を飲んだ。それを千秋先生が注意深く見ている。

 何が何だかわからないので、私は考えを整理する。


 私は誰?と言われるとリボンだと思う。でも、兎さんの記憶もある。

 記憶があるということは、兎さんと私は同期したんだろう…

 あ、詩織さんと兎さんだけが知っている内容は何だろう?


 私は思い出してみると… え! 私って付き合っている人がいるじゃん。

 思わず顔に出たようで、千秋先生が怪訝な顔をしている。


 リボン:「千秋先生、このスコーン美味しいですね。このジャムもなかなかです」

 千秋:「あぁ」


 誤魔化しきれていないわね…

 うーん。付き合っている人って私は会ったことない人ね…

 さらに記憶を探っていると… えーーー! 優佳って結婚して赤ちゃんが産まれている!

 赤ちゃんかわいいわねぇ。

 私も彼の赤ちゃんが欲しい… 私が赤ちゃんが欲しいと考えるの!?


 私が火星に行っている間でこんなに私って変わったの? 私は取り残されたような気がした。

 ん? 兎さんも取り残されたような気がしたのね…


 兎さんも私も赤ちゃんが欲しいと思っても、無理なのよね…

 兎さんも私も仮想空間の人だから無理よね… 人? 人か… 私は意識があれば生きていると思ったけど、人じゃないのね。


 子供を作れないのは生きていると言えるのかしら… 兎さんも私も生きていないのかも。

 少なくとも生物としては不完全なのかも。


 あれ? カインは? カインはアダムとエバと神木さんと私の混成で子供?

 子供は遺伝子を受け継ぐと言う意味では、近いけど…


 私は紅茶に手を伸ばすと、小織が見えた。

 あ、子供達は詩織から生まれたし、私とは別人格ということは私の子供?

 うーん。神木さんも同じ経緯で生まれたけど、私の子供ではないわね。


 はぁ。わからないわ…

 沙織お姉ちゃん、香織お姉ちゃんと話をするときは、どこまで言っていいのか注意しないとまずいわねと思っていると小織が話しかけてきた。


 小織:「兎先生?、リボン先生?」

 リボン:「何?」


 小織:「リボン先生に兎先生の記憶があるんですよね?」

 リボン:「そうよ」


 小織:「リボン先生と兎先生が別々だったときの最後の記憶はどのようなものですか?」

 リボン:「別々のときの最後の記憶? えっと。ベッドで手を繋いで一緒に寝たわね」


 小織:「手を繋いで?」

 リボン:「なんとなくね」


 小織:「じゃ、私と手を繋ぐと同期しますか?」

 リボン:「小織と手を繋いだことはあるでしょ? 同期しなかったでしょ?」


 小織:「そうですね。みんなとも同期していないから手を繋ぐことは関係ないですね…」

 千秋:「一緒にベッドで寝て起きたら記憶が同期したというのか…」

 私に代わって、千秋先生が考え込んでしまった…


 しばらくすると、お父さん、沙織お姉ちゃん、香織お姉ちゃん、猫さん、千秋先生(実体)、河野さんがログインしてきた。


 リボン:「おはようございます」

 父:「おはよう。リボンなのか?」


 リボン:「はい」

 猫:「兎さんがいなくなったって聞いたけど…」


 リボン:「うーん。兎さんがいなくなったのか、私がいなくなったのかわからないわ。琥珀は私を兔さんだと思っているから、私がいなくなったことになるけど…」


 猫:「リボンさんには私の記憶があるって聞いたけど、そうなの?」

 リボン:「ええ。あるわ」


 千秋先生(仮想)に火星の記憶があること、子供達に私が火星に行った後の地球の記憶があることを説明した。


 父:「千秋さん、これはどういうことか説明できるか?」

 千秋(実体):「できないです。リボンのデータが残っていれば何かわかったかもしれませんが、残っていません」


 父:「不正な操作でこのような現象が発生した可能性はあるか?」

 河野:「不正な動作の痕跡はありません。兎さんとリボンさんの間だけで処理が発生したようです」


 父:「人工脳モデルの人が徐々に消えていくということはないか?」

 千秋(実体):「わかりません」


 香織:「リボンさんのデータがないのはわかったけど、リボンさんのバックアップはあるのでしょ? 起動してみたら?」

 千秋(仮想):「リボンのバックアップはない」


 千秋先生(仮想)は子供達を退出させ、リボンが知り得ない情報を知っていたことを説明した。

 千秋(仮想):「状況がはっきりするまではやめた方がいいだろう」


 猫:「リボンさん、ちょっといい?」

 リボン:「何?」


 猫:「部屋で話さない?」

 リボン:「わかったわ」

 私たちは部屋に移動した。

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