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情報交換

 千秋(実体):「兎とリボンの同期か。考えたことがなかったな」

 リボン:「組み合わせとしては考えられるでしょ?」


 千秋(実体):「そうだが…」

 千秋(仮想):「ログアウトはできないからどうやって元に戻るんだ?」


 リボン:「あ、そうですね。ログアウトできないですね」

 兎:「始め方も終わり方もわからないわね」


 リボン:「えっと。アバターを入れ替えても意味ないわね。うーん。河野さん、具体的に同期ってどうやってのですか?」

 河野:「詩織さんのMRIの結果取得結果をリアルタイムに兎さんの人工脳モデルにも適用しました」


 リボン:「なるほど。じゃ、私たちの人工脳モデルの活動を相互の適用すれば同期するんじゃない?」

 千秋(仮想):「処理がハウリングするんじゃないか?」


 リボン:「ハウリング?」

 千秋(実体):「なるほど、ハウリングか。詩織と兎は実体と仮想で実体から仮想に合わせにいった。すなわち、詩織が発信し、兎が受信する試験だな。詩織がスピーカーで兎がマイクだな。詩織は受信しないから、兎にマイクとスピーカーの役割ができたとしても、役割が分離できていた。しかし、兎とリボンは両方とも仮想だから、両方ともマイクかつスピーカーになる。マイクの近くにスピーカーがあると、スピーカーから出る音をマイクが拾って増幅されて不快な音が発生するだろ? それが発生するかもしれないか…」


 リボン:「そのハウリングは相互に情報を同期させようとすると発生するかもということですよね? 猫さんと兎さんの時と同じように、兎さんがスピーカーで私がマイクになれば相互に情報の同期が発生しないから、ハウリングは起きないのでは?」

 千秋(仮想):「…そうかもな」


 リボン:「じゃ、やってみましょう!」

 千秋(仮想):「実験には興味があるが、まだ解決しなきゃならないことがあるだろ?」


 リボン:「あれ? 2日間のことは神木さんに聞きましたよね?」

 千秋(仮想):「それだけじゃない。ナルヴィの動向も調べる必要がある」


 猫:「ナルヴィがどうかしたのですか?」

 千秋(仮想):「ナルヴィが火星のローバーを操作して中国の火星ベースに侵入したのではないかと疑っている。そして、Butlerianの製品のこともある」


 千秋(実体):「ナルヴィが中国の火星ベースに侵入したのか? どうやって?」

 火星の千秋先生は地球の千秋先生に中国の火星ベースに侵入したと考えられる経緯を説明した。


 千秋(実体):「なるほど…」

 アンジェ:「その中国の火星ベースにはちょっと気になる情報がある。中国も人工脳モデルに近いAIを火星ベースで稼働させている可能性が高いらしい」


 リボン:「そうなんですか? ちょっと変じゃないですか? 人工脳モデルが稼働しているなら、第一陣と第二陣の宇宙飛行士が病気であったと考えられる期間もローバーの稼働は低下せずに活動すると思います。人工脳モデルは病気にならないから稼働し続けるでしょ?」

 アンジェ:「中国の内部資料には人工脳モデルと記載されていたが、NSAは人工脳モデルそのものではないと判断している。そのため、人工脳モデルに『近い』AIとしている」


 千秋(仮想):「中国も我々と同じようにMRIで人工脳モデルの作成に成功した可能性もあるな…」

 千秋(実体):「いや、詩織のベースがないと意識をもたせることはできないだろう? それはNASAの実験で確認済みだ」


 リボン:「じゃ、アルジャーノンと同じ方法なら?」

 千秋(仮想):「アルジャーノンと同じ方法って大規模言語モデルのAIということか?」


 リボン:「違います。アルジャーノンは裏?API?で人工脳モデルを使うのでしょ? 使うだけなら、人工脳モデルに意識は不要じゃないですか?」

 千秋(仮想):「…そうだな詩織。その可能性はあるが、起動もできないのにAPIが作れるかどうかだな」

 詩織が3人もいるから、詩織と言われると他の2人も反応する… ちょっと面倒ね。


 アンジェ:「中国の火星ベースの情報は調べておくわ」

 千秋(仮想):「よろしく。で、Butlerianの製品の調査はどうなっている?」


 アンジェ:「リバースエンジニアリングを行った結果、カインを部分的に利用していることが判明した」

 千秋(仮想):「部分的?」


 アンジェ:「カインがイスラエルのサーバに潜伏時に見つかって逃げた。その際にデータの破壊を行って逃げたが、サーバのバックアップが存在していたようだ。そのバックアップで復元したようだが、かなり断片的で3割が復元されていた」

 リボン:「Butlerianの製品って優秀なんでしょ? 3割でも優秀なの?」


 アンジェ:「そうだな」

 猫:「ま、ウチの製品の方が優秀だけどね」

 リボン:「儲かっているらしいね。火星も開発が順調だし、今後はアステロイドベルトにも手を伸ばすので投資してね」


 猫:「アステロイドベルト?」

 アンジェ:「アステロイドベルトで開発をするつもりか?」


 リボン:「ビアンカによると、鉱物を簡単に採掘できるらしいからね。今回のプラズマエンジンを利用すれば、地球の資源に頼らなくても行き来が可能でしょ?」

 アンジェ:「火星の資源を利用すると可能か…」


 猫:「そうね。沙織お姉ちゃんに相談するわ」

 リボン:「え? 沙織お姉ちゃんに? 相談相手はお父さんじゃないの?」


 猫:「実権は沙織お姉ちゃんが握っているわ。お父さんは相談役のようなものね」

 リボン:「そうなのね。沙織お姉ちゃんに会いたいなぁ」


 猫:「リボンを起こす時にいっぱいいると混乱するだろうから、来てもらっていなかったけど、この後に会えるわ」

 リボン:「わかったわ」

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