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Butlerianその2

 またカイン?

 兎:「どうして、カインが関わっている可能性が高いことがわかったのですか?」

 千秋:「Butlerianの製品を購入して、リバースエンジニアリングしたそうだ」


 兎:「リバースエンジニアリング?」

 千秋:「Butlerianのソフトウェアを解析してAPIを調べた」


 兎:「解析なんてできるのですね。でもAPIがわかったからってカインが関係しているとは限らないですよね?」

 千秋:「API(Application Programming Interface)だが、我々というか人工脳モデルに酷似していた」


 兎:「人工脳モデルのAPIってアルジャーノンとかが使っているものですか?」

 千秋先生がどう説明しようかと少し考えたようだったので、河野さんが説明を始めた。

 河野:「私から説明しますね。APIには複数のレベルがあります。アルジャーノンが利用しているのは公開レベルのAPIです。そのAPIで型番を取得できます」


 兎:「型番?」

 河野:「私たちはすべて型番が異なります。ただし、地球の兎さんと火星の兎さんのようにコピーしたものは同じ型番になります。厳密には起動回数と起動環境で番号が変化する部分があります。カインには起動環境の番号はロキ達が逃亡した後に追加したコードですが…」


 兎:「ん?起動環境?」

 千秋:「明人君が不要なことまで説明するから、詩織が混乱しているじゃないか」

 河野:「すみません。要は型番でカインであることが特定できたということです」


 兎:「えーっと。カインは起きている?起動している?状態なのですか?」

 河野:「いえ、起動していません」


 兎:「起動していないのにAPIは使えるのですか?」

 河野:「もともとは人工脳モデルの解析用に作成したものですから、起動していなくても利用できます」


 兎:「カインの意志でButlerianのソフトウェアになっているということはないですよね?」

 千秋:「わからない」


 兎:「起動すれば教えてもらえるのでは?」

 千秋:「地球で解析した結果を見ると、起動しなかったそうだ」


 兎:「ここのカインというか、ナルヴィはこのことを知っているのですか?」

 千秋:「知らせていない。ナルヴィに聞くかどうかを話し合いたいと思って詩織を呼び出した」


 兎:「アンジェは聞いた方がいいと思いますか?」

 アンジェ:「聞いた方がよいかと思うが… 中国の火星ベースに侵入もカインの仕業だと考えられるだろ? 何に影響するのかが読めない」


 河野:「ナルヴィとカインが共謀していないとは確定できていないので、私は反対です」

 兎:「どちらの意見も理解できますね…」


 千秋:「詩織、どうする? 決めなさい」

 兎:「えー。私が?」


 千秋:「リーダーが決断するものだ」

 私ってリーダーに向いていないと思うんだけど… 私が迷っているとアンジェが話し始めた。

 アンジェ:「ナルヴィのバックアップのAPIを利用すれば、質問することができるぞ。しかも、ナルヴィに気づかれずに」


 兎:「ダメです! ナルヴィの人権を無視しています。今後もバックアップのAPIの利用は禁止です」

 アンジェ:「わかった」

 千秋:「ふふ。詩織がリーダーで正解だな。で、リーダーの決断は?」


 兎:「ナルヴィに聞きましょう。そうしないと進まないわ」

 千秋:「わかった。ナルヴィを呼び出そう」


 私はちょっと落ち着きたいので、琥珀に紅茶を用意してもらった。

 紅茶を一口飲んだところに、ナルヴィが到着した。


 ナルヴィ:「なんでしょうか?」

 兎:「座って。琥珀、ナルヴィに紅茶をお出しして」


 私はButlerianのソフトウェアについて説明した。その説明をナルヴィは黙って聞いていた。


 兎:「ナルヴィ、Butlerianって知っている?」

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