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食事:それぞれの状況

 AIのセバスチャンがシーザーサラダを配膳する。

 セバスチャンもかなり動きが洗練されてきた。いきなりテーブルに配膳されてもいいんだけど、やっぱり運ばれる方がいい。


 私たちはシーザーサラダを食べ始める。


 兎:「ここのところ、ビアンカは食事が終わるとすぐに部屋に戻ってしまいますけど、何をしているのですか?」

 ビアンカ:「精錬は兎の依頼だろ?」


 兎:「そんなに大変なんですか?」

 ビアンカ:「大変だよ。高出力レーザーで一定の温度を保つのは結構面倒なんだ」


 兎:「鉱物が溶ければいいのですよね?」

 ビアンカ:「プラズマ化させる必要がある」


 兎:「じゃ、ドカンとレーザーを当てればいいのでは?」

 ビアンカ:「ドカン? 温度が上がりすぎると、容器まで溶ける」


 兎:「あ、そうか。容器まで溶けちゃうのですね。ビアンカはレーザーを研究で利用していたのに難しいということは、千秋先生の専門は医者だから半導体は難しいのでは?」

 千秋:「あぁ。半導体は専門じゃないな」


 兎:「人工脳モデルを作るときに光量子チップを使ったのでしょ? あれって使っていたのは生命科学室だけでしたよね?」

 千秋:「そうだ。あれは、一ノ瀬グループの試作品だったからな」


 兎:「その試作品をどういう経緯で千秋先生が使うことになったのですか?」

 千秋:「私が依頼したデータ処理に光量子チップが利用できないかと明人君が試行錯誤していたんだ」


 河野:「千秋先生が依頼した薬品を作り出すのに、安い材料で簡単な組み合わせで作れというので、利用できないかと使っていました。それで動作を説明していたら、いつのまにかニューロンの動作シミュレーションになっていました」

 兎:「それで、ニャン吉につながるのですね」

 ニャン吉はもういないのよねぇ…


 アンジェ:「ニャン吉?ってなんだ?」

 兎:「アンジェは生命科学室の黒猫を知りませんか?」


 アンジェ:「あぁ。そういえばいたな。で、どうしてニャン吉につながるんだ?」

 兎:「ニャン吉の大脳は人工脳モデルですから」


 アンジェ:「そうなのか!? 動物実験をしたのか!? ひどいな」

 千秋:「はぁ… ニャン吉は脳腫瘍で腫瘍を摘出すると死んでしまう状態だったからな」


 アンジェ:「脳を入れ替えたのか。それで生き延びたのか… そんなことはレポートになかったぞ」

 千秋:「レポートの内容とは直接関係がないからな…」


 兎:「食事にはふさわしくない内容だわ。やめましょう」

 アンジェ:「わかった。千秋、後で詳しく教えてくれ」

 千秋:「あぁ」


 私が話をぶった斬ったため、私が話を振る。

 兎:「千秋先生、半導体の製造は大変では?」

 千秋:「そうだな。よくわからないことだらけだ。アルジャーノンと明人君がいないと無理だな」


 河野:「千秋さん、『アルジャーノンと明人君』って、その順番ですか?」

 千秋:「そりゃ、アルジャーノンの方が活躍しているからな。明人君は使う方の専門家だろ?」


 河野:「そうですけど…」

 千秋:「アルジャーノンは指示した内容を調べたり、指示した作業は正確にこなすが、明人君は明確に指示しなくてもできるから便利だぞ」


 千秋先生がフォローしたつもりかもしれないけど、フォローになってないような気がする…

 河野:「便利って…」

 千秋:「神木君も手伝ってくれているので、助かっているよ」


 神木:「人類の半導体の歴史の追体験ができているので楽しいので問題ないです」

 兎:「追体験ってどういう意味ですか?」


 神木:「半導体が作られるようになって半世紀です。人類の産業の中心は半導体で、発展したといえます。地球では問題の大半は克服済みですが、ここで再現しようとすると過去の問題が出ることが多いです。それを解決するということは歴史を体験していることと同じです」

 兎:「そうですか… 神木さんって半導体は専門じゃないのによくついていけますね」


 神木:「ついていけているかどうかはわかりませんが、面白いですよ」

 河野:「神木さんは何でもすぐに理解しますよ」


 神木:「そんなことはないですよ」

 神木さんって、運動もできるし、賢いし、オールマイティだねぇ。

 千秋先生を見ると考え込んでいる… 何か気になることがあるのかな?


 私たちの食事はほとんど終わり、デザートが運ばれてきた。

 今日は、生のいちじくを使ったケーキだ。私は一口食べた。うん。これはケーキというよりフルーツが勝っているわね。少し改良の余地があるかも…


 兎:「河野さん、クラゲの水槽はできました?」

 河野:「作ったよ。見に行くかい?」

 河野さんって忙しいはずなのに、水族館は乗り気だねぇ。

 アンジェ:「クラゲ?ってなんだ?」


 兎:「クラゲ… そういえばクラゲってなんだろう? お魚じゃないよね? ゼラチン質のからだでフヨフヨ動くよね?」

 アンジェ:「ジェリーフィッシュか?」


 兎:「そういえば、英語名はジェリーフィッシュでした。お魚じゃないのにフィッシュって変ですね」

 アンジェ:「そうだな。スターフィッシュも魚じゃないな」


 兎:「スターフィッシュ? ヒトデか…変なの。 河野さん、後でくらげを見せてください」

 河野:「わかりました」

 アンジェ:「私も行く」

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