リゾートでの考察
私は河野さんからリゾートのデータを受け取り、作成にとりかかる。
どんなデータかな? どれどれ。
メドゥファルー島のリゾートをイメージしたのか… ということはモルディブだったかな。
ヌーヌ環礁で浅瀬にコテージを建ているわね。水上コテージね。
建物は南国風ね。そして、優雅な曲線の桟橋で島に行けるのか。
ザ、リゾートという感じね。
早速、出してみるか… でも海だよね? どうやって行き来していたんだろう?
もしかして転送のみ? 最近、私もみんなも、お城に転送しているからそういうものかな?
私的にはつながっていないと気持ち悪い。お城もちゃんとつないでいる。だから、扉を開けたらリゾートを実現するか。
じゃ、どこにつなぐかなぁ。リゾートのコテージの部屋が妥当かもしれないけど、訪れた感じがしないわよね。
ということはコテージ以外になるわねぇと思いながら、扉の場所を選定した。
「琥珀、このリゾートのデータを展開して。そして、リゾートの砂浜のこのへんに扉を設置して、その扉とつないで」
私は指差ししながら、琥珀に指示した。
「わかりました。できました」
ふふふ。私は扉を開けたら、そこは眩しい光が注ぐ南国だ。
日焼けしそうね… しないか。ということは、日焼け止めクリームもいらないのね。なんて便利! 素敵じゃない!
私が踏み出すと、砂浜… 靴に砂が入る。こんなところまで再現しているの? 気持ち悪いじゃない。
ということは、衣装チェンジね。
水着か。ま、誰もいないからビキニでもいいか。私は白のビキニと白のサンダルを選択して衣装を変更した。
再度、砂浜に! おー。空も海も透き通るように青いわ。私は少し砂浜を歩いて回りを見渡す。ふと振り返ると、ポツンと扉が見えた。砂浜に扉だけ立っている。どこでもドアみたい…みたいというか、そのものか… でも今まで完全に空間が切り替わるような場所に配置したことがなかったからなぁ。
私は曲線を描いた桟橋を渡ってコテージを見て周り、吊るされたハンギングチェアに座り、海を眺めた。なかなかね。
「琥珀、トロピカルジュースをちょうだい」
「わかりました」
琥珀は青紫のトロピカルジュースを出してきた。綺麗なんだけど、どんな味?と思って飲んでみた。
「ライム味? お花の香りもするわね。初めて飲むわ。これは何?」
「バタフライピーというものです。チョウマメの花は青なのですが、ライムで紫に変化させたものです」
「ありがとう。気に入ったわ」
私は海を眺めながら、ロキの話を思い出す。
カインが首謀者だとすると、カインはいったい何がしたいのかしら…
カインとはあまり接触がないのよねぇ。だからイメージが掴みにくいのよねぇ。どんなことしたっけ…
そうそう、実験でできた喋れないかわいそうな子供達をトロイの木馬だっけ?で自壊させたけど、これは救ったのよね…
今度は中国の火星ベースを調べたり、亡命の手助け?
以前はNASAの実験でかわいそうな子供ができたということは、中国にも同じような子供がいるの?
その場合は、亡命ではなく自壊させるわね…
今回は亡命を要求しているんだから、意思があるから前回とは違う。
うーん。わからないわね…
伊織:「ここって… あ! 兎先生ひどい! 一人で楽しんでる!」
小織:「きれいねぇ」
颯人:「これ、海だよね。端はどうなっているんだろう?」
悠人:「魚いるかな?」
理人:「…」
兎:「あー。うるさい! なによ!」
伊織:「これ何ですか?」
颯人:「海はどこまで続いているのですか?」
小織:「夕食はみんなで食べるのでしょ? 兎先生がいないから呼びに来たの」
はぁ… 私は小織以外を無視して、小織に話しかけた。
兎:「ごめんね。時間が経っていたことを忘れていたわ。行きましょう」
私たちは転送した。
千秋:「兎、食事にその格好か?」
は! 水着のまんまじゃん。
河野さんのニヤニヤしている顔を見つけ、無性に殴りたくなった…
私は衣装を元に戻して何事もなかったかのように優雅に座った。
兎:「すみません。遅くなりました」




