表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
312/459

ハッキング方法解明

 千秋:「詩織、心当たりじゃなく予想はできるか?」

 兎:「予想? 予想はできないですけど… 送信した人は… ここの私のアドレスを知っていて私に直接依頼ですよね? 私に権限がないのにどうしてですかね? ここの実情に詳しくない? 亡命を私に依頼するのだからここの人ではないですよね? そして、かなりここのシステムに詳しい人… 予想がつかないです」


 千秋:「そう並べると確かに予想もつかないな」

 河野:「システムに関してはシステムに詳しい人に依頼すればいいだけでは?」


 千秋:「明人君、それじゃここの人間が手引きしたということか?」

 河野:「そうかもしれません」


 兎:「中国のベースに風船型ローバーを密かに接近させることができるぐらいだから、ここのシステムを欺くのは難しくないのでは?」

 河野:「そんなことないです! ここのシステムはかなり高度です」


 兎:「じゃ、風船型ローバーを操作したのは地球のカインですよね? 地球のカインならできるのでは?」

 河野:「…」

 千秋:「そうかもしれん… カインが亡命を希望するならロキかアダムか猫を頼ればいいのだろ?わざわざ火星の兎を指定する意味がない。カインが手助けしたということか…」


 兎:「じゃ、誰なんでしょう?」

 千秋:「火星の兎を知っているということは人工脳モデルであることも知っているだろう。だとすると、人工脳モデルか…」


 兎:「人工脳モデルの人って、地球のお金持ちの人たちもいますよね? その中の一人?」

 千秋:「誰が人工脳モデルになったかは非公開情報だが、仮想空間内で自由に暮らしているはずだ」


 兎:「その人達が地球に不満があって、火星に来たいということは?」

 千秋:「地球の仮想空間はリゾート仕様になっているらしいぞ」


 河野:「リゾートかぁ。いいなぁ」

 千秋:「明人君は水族館を作って楽しんでいるだろ?」


 河野:「そうですけど…」

 兎:「河野さん、リゾートいいですよね。作りますか?」


 千秋:「計算機リソースが許して、私の作業に影響を与えなければ、勝手に作ればいい」

 兎:「いいのですか? 何を作ろうかなぁ」


 千秋:「データがあるんだからそれでいいだろ?」

 兎:「データ?」


 千秋:「仮想空間を作ったんだから、リゾートのデータはある」

 兎:「あ、そうか。それをベースに改造でいいか」


 千秋:「改造か… さて、ロキを呼び出すか?」

 兎:「ロキに犯人を聞くということですか?」


 河野:「ロキが犯人というか共犯者だったら?」

 千秋:「その可能性はあるな…」


 二人が悩んでしまった…

 兎:「じゃ、ロキにカインの調査を依頼しているから、その進捗を聞いてみませんか? その中にヒントがあるかもしれないでしょ」

 千秋:「そうだな」


 ロキを呼び出すと、ロキがすぐに現れた。

 ロキ:「なんでしょうか?」


 兎:「カインの調査の進展を聞きたかったの。進展はどう?」

 ロキ:「気球型ローバーの操作はカインが実施したようです」


 河野:「どうやって気球型ローバーを操作したかわかるか?」

 ロキ:「私とナルヴィの人工脳モデルのAPIを利用したようです」


 兎:「どういうこと?」

 ロキ:「以前にアルジャーノンが人工脳モデルのAPIを利用しました。その方法です」


 兎:「そんなことってできるのですか?」

 千秋:「神木君の人工脳モデルを利用した方法か…」


 河野:「そのAPIは封鎖しましたよ」

 ロキ:「それはニューロンの接続情報の更新を伴わない変更ですよね? アルジャーノンは利用できます。そのAPIを利用して私とナルヴィの人工脳モデルのAPIを利用して、アルジャーノンを操作したようです」

 は? 人工脳モデルを外部から利用してアルジャーノンを操作した!?


 河野:「それじゃ、アルジャーノンのログに記録が残るじゃないか?」

 ロキ:「正確には試験用アルジャーノンです」


 河野:「試験用?」

 ロキ:「アルジャーノンのインタフェース試験用のシナリオを活用しています」


 河野:「なるほど… プログラムはプライベートAPIなどでガードしているけど、試験の方法を利用するのか。ログは残らないな。これは参ったな。どう防ぐかな…」

 河野さんは考え始めてしまった。


 兎:「あのう。プログラムに問題があったということですか?」

 河野:「ん? えーっと。どう説明しようかな… プログラムは外部からの攻撃を考慮して外部からは利用できないインタフェースでガードします。それがプライベートAPIです。その設計は正しいのです。そうするとプライベートAPIの試験ができないので、試験するためにリフレクションなどを駆使します。それを悪用されたということです」


 兎:「リフレクションというのがよく分かりませんが… 試験しないわけにはいかないので、防げないということですか?」

 河野:「使われたAPIを変えてしまえばいいのですが、システムの大幅リニューアルになります。ちょっと難しいですね」


 千秋:「明人君、じゃ、今はハッキングし放題ということか?」

 河野:「はい… ただし、これを実行できるのはアルジャーノンのコードを持っていて、内部を理解できて、アルジャーノンの試験方法を知っている者に限られます。ここのシステムのAPIや気球型ローバーのAPIはアルジャーノンの試験方法を知っていれば調べることができます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ