設備増強計画
カーボン空気二次電池システムと空気鉄電池の試作機がロケット上で完成した。
地球から送ってきていない酸素を貯めるシリコンゴム風船、鉄などの鉱物は火星からロケットに送って作った。
試作機はロケット上で性能確認を行い、組み立てキットにしてフォボスに送り利用する予定だ。
これでフォボスの開発も進むよね。
今は子供のおもちゃのスコップで開発しているようなものだからほとんど開発できていない。
火星の重機もそれなりには進歩しているので火星の開発のスピードは上がったが、ジップラインでの輸送が限界に達している。
ジップラインは電波の中継機も兼ねているので間隔が狭いので何度も積み替えが必要だ。
今日の議題は輸送問題だ。
兎:「今日は、ジップラインの輸送能力の増強についてです。ジップラインの昼間の稼働率は90%になります。重機の稼働が順調なので輸送能力がパンクします。何か意見がありますか?」
颯人:「輸送能力も問題だけど、鉱物の発掘では鉱脈に沿って行うため、ジップラインまでの運搬に時間がかかるようになっています。重機が稼働が増えているので、もっと顕著になると思います」
兎:「なるほど… ジップラインが現状に合わなくなっていますね」
悠人:「どうせ、運び出すのにトラックを作っているから、すべてトラックで運んでは?」
理人:「ジップラインはワイヤにひっかけるだけで勝手に運んでくれる。エネルギー効率がものすごくいいです。それに、トラックだと谷を迂回する必要があるので効率が落ちます」
兎:「悠人はどう思う?」
悠人:「確かにジップラインはエネルギー効率がいいね。ベアリングも火星産で余裕ができたしね。でも、複数のジップラインを経由するけど、載せ替えが面倒だよね? トラックなら載せ替えは不要だよ」
伊織:「載せ替え専用の機械を作れば?」
理人:「今はジップラインで届いた荷物をエレベータもどきであげて引っ掛けているね。ローバーの腕だけが2つ必要だね。フックの位置は固定されているので、簡単な装置でできるかも…」
兎:「ローバーの腕のメンテナンスも必要なので簡単な装置の方がいいわね。いっそのこと、鉄道にする?」
千秋:「鉄道はまだ無理だな。今まで出たアイデアのいいとこ取りをすればいいじゃないか?」
兎:「いいとこ取り?」
千秋:「あぁ。長距離ジップラインを増設して、載せ替え回数を減らす。載せ替えは簡単な装置を新設する。そして、長距離ジップラインまでは小距離ジップラインで繋ぐかトラックを利用するかは効率を考えて選択すればいいんじゃないか?」
兎:「なるほど。長距離ジップラインできるのですか? あれが限界でしたよね?」
千秋:「当初はワイヤの性能が良くなかったが、材料の改良が進んだので強く長くできる」
重機とか作ったので、強度に関するノウハウが溜まったものね。
兎:「谷?クレーター?の敷設は大変でしたよね? ワイヤが長くなると運ぶのが大変ですよ。どう敷設しますか?」
千秋:「今のジップラインのワイヤがあるんだから、それを利用すればいいだろ?」
兎:「そっか、そうですね。ジップラインを作ったら、そのジップラインで材料を送ってジップラインを作りましたよね。その方法ですね」
千秋:「そうだ。ワイヤがすでに張ってあるんだから、そのワイヤを利用すればワイヤを運ぶのは簡単だ」
兎:「じゃ、長距離ジップラインの敷設は問題なさそうですね。理人、ジップラインの載せ替えの機械って考えてくれる?」
理人:「うーん。河野さんに質問するかもしれないですけど、いいですか?」
河野:「いいよ。なんでも聞いて」
兎:「悠人、シャベルやブルトーザーはバッテリはなしで有線の方が安全かもしれないけど、トラックは空気鉄電池を使ってみて」
悠人:「わかりました」
兎:「じゃ、他には?」
小織:「鉱物の精製が増えるなら、処理が間に合わなくなります」
兎:「そうね… 増強が必要ね」
ビアンカ:「プラズマで精錬をするか?」
兎:「そんなことできるのですか?」
ビアンカ:「作ってみないと効率はわからないが、不純物が少ない精錬が可能だ」
千秋:「純度が高いのはいいな。半導体に使える」
兎:「では、ビアンカにお願いします」
ビアンカ:「トリウム溶融塩炉の増設とキャパシタの作成が必要だがな」
兎:「あっちもこっちも必要ですね… 必要だから作りましょう。以上でいいですか?」
アンジェ:「もう少ししたら、中国からロケットが到着する」
兎:「…わかりました。有人ですよね?」
アンジェ:「どうだろうな」




